ウィンコットの遺産
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『素晴らしいぞ、エアハルト!』
ある日の眞魔国。
そこでは新しい国としての城、血盟城を作っている時だった。
『これがお前の発明か』
『相変わらず、すごいな~』
眞王とヘリオスはある物を見上げながら感心していたのだ。
『はい、我が国を守る新たな力になればと作りましたが…』
『本当に、この様な形で良いのでしょうか?』
戸惑いながらエアハルトが作った物を見上げるが、眞王とヘリオスはただ笑っていた。
『俺は気に入った。黒い瞳に黒い髪、実に美しい。この眞魔国を守る者として相応しい姿だろう?』
『(あいつが見たら絶対に怒ると思うけどな、俺は)』
相変わらず双黒が気に入っている眞王に対してヘリオスだけは苦笑しながら大賢者の事を思い出していた。
『しかし、出来る事ならこの様な物が必要の無い世界になればと…』
『兄上…』
『エアハルト…』
作った本人が一番戸惑っていたのだ。
『創主は封印し破滅は去ったが、戦は無くならない。真の平和を得る為には、まだまだお前達の力が必要だ』
『当たり前だろ、その為に俺達がいるんだからな』
微笑みながら答えたヘリオスにエアハルト達もすぐに同意する。
『…はい』
『力の限りお使いします』
『頼むぞ』
今日はウィンコットの毒を作った兄弟の子孫でもあり、現ウィンコットの当主のデル・キアスンとその息子のリンジーが血盟城へ来る日なのだ。
1台の馬車が到着すると、デル・キアスンが降りてくる。
「これはこれは、魔王陛下直々のお出迎え、痛み入ります」
「いらっしゃい」
すると有利はジッと彼を見つめていると、デル・キアスンは不思議そうに首を傾げる。
「わたしの顔に何か?」
「え!?ううん」
すぐに首を振った有利はもう一度彼を見てしまったのは、彼はスザナ=ジュリアの弟でもあり、顔つきなどが彼女に似ていたからなのだ。
今まで有利を見ていたデル・キアスンも隣に立っている3人を見る。
「ウェラー卿もアスタルテ卿も、お元気そうですね。要件が終わりましたら久しぶりにお手合わせ願いますか?」
「コンラートがやるってよ」
面倒だったのか、セルセは笑いながら隣に立っているコンラートを見ると、彼は微笑んで頷く。
「ああ、俺でよければ」
3人の会話を聞いていた有利は不思議そうにコンラートとセルセを見ていると、それに気づいたコンラートが詳しい説明をする。
「以前、フォンウィンコット家で剣術の指南をしていた事があるんです」
「ウェラー卿はわたしの剣の師なのですよ」
「へぇ~、そーなんだ」
初めて聞いた事に有利は驚いていると、デル・キアスンはくすくす笑いながら双子を見る。
「お2人もよく来ていましたね。わたしは一度もお2人に勝った事はありませんでしたね」
「ま、暇だったからな」
「私はその付添い」
セルセにとって多くの、色んな人と手合わせをしたいと思っていたからこそ、よくコンラートについて行ったのだ。
「それと、ご懐妊したと聞きました。おめでとうございます」
「あ、ありがとう」
有利達が和やかに話している中、なぜかギュンターだけは落ちこんでいる様な、どこか気乗りしてない様子だったのだ。
「ギュンター!」
「!?」
すると馬車の中から幼い男の子の声が聞こえてくる。
『?』
有利達は不思議そうに馬車を見ると、中からデル・キアスンの息子であるリンジーが降りてくると同時に持っていた物をギュンターの顔に投げ飛ばす。
ビタンッ
「!?」
驚いたギュンターは顔面に直撃した物を手に取ったのだが…。
「ゲコッ」
「えぇ!!??」
カエルだったらしく、驚いたギュンターはすぐにそれを投げ捨てすぐにハンカチで顔を拭くが、それを見ていたリンジーは大笑い。
「ハハハハハ!相変わらず弱いな、ギュンターは!そんなんじゃアニシナには勝てないぞ!」
そう大笑いしている彼を見て双子とピリアーチェは呆れる。
「むしろ勝ちたくねーな」
「同感ね」
「勝っても嬉しくありませんもの」
3人はそう思っていたが、リンジーの悪戯を見たデル・キアスンは怒る。
「リンジー!なんという事を!」
「ぼく、遊んでくる!」
怒られても気にしていないリンジーはその場からさっさと走り去って行った。
「あ」
そんなリンジーにデル・キアスンは溜め息をつく。
「申し訳ありません。息子の悪戯には手を焼いておりまして…、次期当主としての自覚がまだまだ足りず、お恥ずかしい所を…」
詫びている彼に有利は苦笑する。
「まだ子どもだしね」
「その内に自覚も出てくると思いますよ。なぁ、ギュンター」
「え?あ、ああ、男の子は元気なぐらいがいいんですよ、ハハハ…」
完全に苦笑いのうえ、作り笑いしているギュンターに双子とピリアーチェは苦笑するだけだった。