母の日
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「え?女の人の幽霊?」
これはある日の事でした。
「見たんですよ。髪が長くて青白く、恨めしそうな顔で、ジーッとこちらを見てるのを…っ」
昨夜、血盟城の中を見回りをしていたダカスコスは、女の人の幽霊を見たらしい。
そしてその怖さ故、有利に相談していたのだ。
それを聞いていたグウェンダルは書類から目を離さずに話し出す。
「馬鹿馬鹿しい。夢でみ見たんじゃないのか?」
「3日続けてですよ!3日!助けて下さい、陛下~~!!」
同じ様に聞いていたヴォルフラムは机に寄りかかりながら、何かの本を読んでいる。
「情けない。魔族が幽霊を恐れてどうする」
「ヴォルフラムの言う通りですよ」
ヴォルフラムに賛成したのは、机の上で花を生けているギュンターだった。
「しかし、焼き菓子とは手間がかかる…」
「明日は母の日です。幽霊話など相応しくありません」
今まで書類にサインしていた有利はある単語に驚く。
「母の日?眞魔国にもあるの?」
「はい。今年からですけど」
有利の近くのイスに座りながら木で何かを掘っているコンラートが答えたが、どうしても意味が分からない有利は首を傾げる。
「どういう事?」
グウェンダルの向かいに座っているアリアは編み物をしながら答える。
「前にグレタとベアトリスが父の日をお祝いしたでしょ?」
「で、それをツェリ様が知ったら、」
と、ガラスで何かを作っているセルセはその時の事を思い出す。
『父の日があるなら、母の日もお祝いしないと不公平じゃない?』
「って、仰ったんですよ」
アリアの隣で香炉を作っているエイルも苦笑するだけだったが、それを聞いた有利は納得する。
「なるほど、ツェリ様らしいや」
すると有利は何かに気づき、この執務室で関係無い事をしている彼らに尋ねる。
「もしかして皆がしてる事って、母の日の贈り物?」
そう尋ねられたアリア達は一斉に無言のまま頷いた。
「あ…」
「知らなかったの?」
「知らなかった…」
全く知らなかった有利にアリアは呆れるだけだった。
だいたいの事を終えた有利はツェリに渡すプレゼントを探しに、すぐに執務室から出て行ってしまった。
「本当に知らなかったんだな、ユーリ」
「そうらしいわね」
「てっきり知ってるとばかり思ってました」
近い年のエイルでさえ知っていた事なのに…。
そのまま3人がツェリに送るモノを作っている最中、リュイが入ってくる。
「どうしたんだ?リュイ」
「はい、あの、ゾラシア皇国の使者という方がお見えで…」
「「「…は?」」」
リュイから聞いた内容に驚いたが双子はすぐに謁見の間へ赴くと、そこには同じ様に報告を受けた有利達が待っていた。
そして有利の先にはフードで顔を隠してはいるが、跪いている男が1人いたのだ。
「わたくし、ゾラシア皇国の仮称マオリツと申します」
「遠いところようこそ。グレタも喜ぶと、」
「はやり、姫様は、グレタ様はこちらにいらっしゃるのですね?」
有利の言葉を遮って話す彼に有利は言葉を濁す。
「ええ、まぁ…」
「ご無礼を承知の上で率直に申し上げます。グレタ様を帰して頂きたい」
「何だって!?」
まさかの彼の言い分にヴォルフラムは驚くが、同じ様に双子も内心驚いた表情で彼を見る。
「ゾラシアは隣国との戦いに敗れ、一度は滅び去りました。されど、散り散りになった民も徐々に集まっております。
今、我々が欲するのは一握りの麦でも、金色の財宝にもあらず。
生きる為の希望、ゾラシアの正統な世継ぎであるグレタ様がお戻りになれば、民は国の再興の為、力を合わせる事でしょう」
「で、でも、いきなり帰せと言われても…、グレタは今はおれの娘で、」
「我が育った故郷で姫様を待つ者と暮らす事こそ、まごう事なき姫様の幸せとわたしは考えております」
「確かに、そう、かも…」
彼の言い分に有利は反論する事は言えず、納得してしまう部分もあったが、2人が話している途中ドアが開く音が聞こえる。
「!」
中に入って来たのはグレタを連れたダカスコスだった。
「陛下、姫様をお連れしました」
「馬鹿者!どうして連れてきた!?」
突然の事でヴォルフラムはダカスコスに対して怒鳴ったが、それを諫める様に有利が話し出す。
「おれが頼んだんだ。グレタも喜ぶかと思って、」
「そういう事か」
「なんと間の悪い…」
いくら有利が呼んだといえど、このタイミングで来てしまうなんてと双子とギュンターは呆れるだけだった。
『姫様』という言葉を聞いたマオリツはその場に立ち上がると、被っていたフードを外してグレタの方を見る。
「姫様…!」
「マオじい?」
ダカスコスの背後からこっそりと様子を伺いながら見ていたグレタは少し信じられない表情でマオリツを見る。
「姫様…」
「マオじい!」
「姫様!お久しゅうございます!」
グレタは嬉しそうにマオリツに駆け寄ると、マオリツも嬉しそうに彼女を抱き上げた。
久しぶりの再会だった故に2人は笑いあっている姿を見て有利も小さく笑っていた。
これはある日の事でした。
「見たんですよ。髪が長くて青白く、恨めしそうな顔で、ジーッとこちらを見てるのを…っ」
昨夜、血盟城の中を見回りをしていたダカスコスは、女の人の幽霊を見たらしい。
そしてその怖さ故、有利に相談していたのだ。
それを聞いていたグウェンダルは書類から目を離さずに話し出す。
「馬鹿馬鹿しい。夢でみ見たんじゃないのか?」
「3日続けてですよ!3日!助けて下さい、陛下~~!!」
同じ様に聞いていたヴォルフラムは机に寄りかかりながら、何かの本を読んでいる。
「情けない。魔族が幽霊を恐れてどうする」
「ヴォルフラムの言う通りですよ」
ヴォルフラムに賛成したのは、机の上で花を生けているギュンターだった。
「しかし、焼き菓子とは手間がかかる…」
「明日は母の日です。幽霊話など相応しくありません」
今まで書類にサインしていた有利はある単語に驚く。
「母の日?眞魔国にもあるの?」
「はい。今年からですけど」
有利の近くのイスに座りながら木で何かを掘っているコンラートが答えたが、どうしても意味が分からない有利は首を傾げる。
「どういう事?」
グウェンダルの向かいに座っているアリアは編み物をしながら答える。
「前にグレタとベアトリスが父の日をお祝いしたでしょ?」
「で、それをツェリ様が知ったら、」
と、ガラスで何かを作っているセルセはその時の事を思い出す。
『父の日があるなら、母の日もお祝いしないと不公平じゃない?』
「って、仰ったんですよ」
アリアの隣で香炉を作っているエイルも苦笑するだけだったが、それを聞いた有利は納得する。
「なるほど、ツェリ様らしいや」
すると有利は何かに気づき、この執務室で関係無い事をしている彼らに尋ねる。
「もしかして皆がしてる事って、母の日の贈り物?」
そう尋ねられたアリア達は一斉に無言のまま頷いた。
「あ…」
「知らなかったの?」
「知らなかった…」
全く知らなかった有利にアリアは呆れるだけだった。
だいたいの事を終えた有利はツェリに渡すプレゼントを探しに、すぐに執務室から出て行ってしまった。
「本当に知らなかったんだな、ユーリ」
「そうらしいわね」
「てっきり知ってるとばかり思ってました」
近い年のエイルでさえ知っていた事なのに…。
そのまま3人がツェリに送るモノを作っている最中、リュイが入ってくる。
「どうしたんだ?リュイ」
「はい、あの、ゾラシア皇国の使者という方がお見えで…」
「「「…は?」」」
リュイから聞いた内容に驚いたが双子はすぐに謁見の間へ赴くと、そこには同じ様に報告を受けた有利達が待っていた。
そして有利の先にはフードで顔を隠してはいるが、跪いている男が1人いたのだ。
「わたくし、ゾラシア皇国の仮称マオリツと申します」
「遠いところようこそ。グレタも喜ぶと、」
「はやり、姫様は、グレタ様はこちらにいらっしゃるのですね?」
有利の言葉を遮って話す彼に有利は言葉を濁す。
「ええ、まぁ…」
「ご無礼を承知の上で率直に申し上げます。グレタ様を帰して頂きたい」
「何だって!?」
まさかの彼の言い分にヴォルフラムは驚くが、同じ様に双子も内心驚いた表情で彼を見る。
「ゾラシアは隣国との戦いに敗れ、一度は滅び去りました。されど、散り散りになった民も徐々に集まっております。
今、我々が欲するのは一握りの麦でも、金色の財宝にもあらず。
生きる為の希望、ゾラシアの正統な世継ぎであるグレタ様がお戻りになれば、民は国の再興の為、力を合わせる事でしょう」
「で、でも、いきなり帰せと言われても…、グレタは今はおれの娘で、」
「我が育った故郷で姫様を待つ者と暮らす事こそ、まごう事なき姫様の幸せとわたしは考えております」
「確かに、そう、かも…」
彼の言い分に有利は反論する事は言えず、納得してしまう部分もあったが、2人が話している途中ドアが開く音が聞こえる。
「!」
中に入って来たのはグレタを連れたダカスコスだった。
「陛下、姫様をお連れしました」
「馬鹿者!どうして連れてきた!?」
突然の事でヴォルフラムはダカスコスに対して怒鳴ったが、それを諫める様に有利が話し出す。
「おれが頼んだんだ。グレタも喜ぶかと思って、」
「そういう事か」
「なんと間の悪い…」
いくら有利が呼んだといえど、このタイミングで来てしまうなんてと双子とギュンターは呆れるだけだった。
『姫様』という言葉を聞いたマオリツはその場に立ち上がると、被っていたフードを外してグレタの方を見る。
「姫様…!」
「マオじい?」
ダカスコスの背後からこっそりと様子を伺いながら見ていたグレタは少し信じられない表情でマオリツを見る。
「姫様…」
「マオじい!」
「姫様!お久しゅうございます!」
グレタは嬉しそうにマオリツに駆け寄ると、マオリツも嬉しそうに彼女を抱き上げた。
久しぶりの再会だった故に2人は笑いあっている姿を見て有利も小さく笑っていた。