政略結婚
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「うわあ―――――!!!」
ある日、血盟城では相変わらずの叫び声が聞こえてくる。
中庭でお茶をしていた双子とエイルは全く気にしていなかった。
「今日も平和だな」
「そうね」
「グウェン、可哀相…」
そう思っていた3人でした。
「例の秘密結社に関しては、新しい手掛かりは掴めてませんね~」
グウェンダルの執務室ではいつものメンバーが揃っており、各国で集めてきた白い鴉の情報をヨザックは説明している。
「ま、最近はこれといった事件もありませんが、」
「気を抜くな。引き続き、調査を続けろ」
「はい」
頷いたヨザックは途中から話を変える。
「で、閣下。それ、ひょっとして…、またアニシナちゃんですか?」
グウェンダルの額には怪我を負った後があり、それを見ていた双子やコンラートは小さく笑うだけだった。
有利は彼の怪我を心配するが。
「休んでる暇は無い。なにせ我が国の王は書類仕事が苦手だからな」
と、思いっきり否定され、事実まで述べられた有利の頭にはグウェンダルの言葉が頭に刺さる。
「うっ だ、だって、難しい書類を読むのはまだ時間がかかるし…」
すると突然ドアが開き、何か怒っているのか、真剣な顔のままアニシナが部屋に入って来たのだ。
そして何も言わずにグウェンダルの前に立ち止まる。
「お聞きなさい、グウェンダル」
「アニシナ?」
「どうしたんですの?血相を変えて、」
グウェンダルの近くで書類整理等をしているアリアとピリアーチェは、いつもと雰囲気が違うアニシナに少し驚く。
2人に問いかけられたアニシナは感情を表に出す。
「陰謀です!策略です!実の兄がわたくしを陥れようとしているのです!」
「アニシナさんのお兄さんって確か、」
まだ十貴族の顔と名前が一致していない有利は思い出そうとしたが、それに時間がかかると思ったのかセルセが付け足す。
「フォンカーベルニコフ卿デンシャム。十貴族の1人だよ」
「デンシャムが、アニシナに何かしたのか?」
「兄は、このわたくしに、見合いをしろと言うのです!」
言葉を溜めて、溜めて言った内容はどこにでもありそうな内容だった為に有利は呆気となる。
「は?」
『でねでね、相手はフォンロシュフォール家の次男、フォンロシュフォール卿チャンリュック。
日程はもうこっちで決めといたから、よろしくね、妹~vv』
「フォンロシュフォール卿?」
あまり聞いた覚えが無いのか、有利はギュンター達を見る。
「鉱山資源が豊富なロシュフォール地方を治めている一族です」
「鉱山資源、という事は…」
健の言葉に全員がアニシナを見る。
「その通り。政略結婚を狙っているのです!」
「それで、見合いはいつ?」
「2日後です」
どうしても見合いが許せないらしい。
アニシナはわなわなと怒りが押さえ切れていない。
「魔動装置の研究と、女性の地位向上に人生を懸けたわたくしに、なんという屈辱的な!」
「じゃあ、キッパリ断ったら、」
「それでは気が済みません!二度とこの様な気を起こさぬよう、兄を懲らしめてやらないと!」
「懲らしめるって、どうやって?」
今までの話を聞いていたセルセは小さな声で呟く。
「実の兄を懲らしめようとするか?普通」
するとアニシナは持っていた1冊の本とテーブルに叩きつける。
「えっと、ロ…『ロメロとアルジェント』…小説?」
「眞魔国3代悲劇の1つ。身分違いの男女が結婚を反対され、毒を飲み心中するという悲恋物です」
何とか題名だけでも読めた有利にコンラートが本の詳しい説明を話した。
「どこかで聞いた事があるような…」
「どっちの世界でも似たような話しが受けるんだね」
眞魔国でも、地球でも、似たような話が受けるという事を改めて分かった。
そしてアニシナは背後にいるグウェンダルに向きなおし命令した。
「という訳でグウェンダル、わたくしと心中しなさい!」
『ええぇ~~!?』
「…っ」
まさかのアニシナの提案に全員(グウェンダル以外)は驚くだけだった。
そしてグウェンダルは珍しく?怒りが押さえてきれていなかった。
「心中って!」
「もちろん偽装です。わたくしの発明した、一時的に仮死状態になる毒薬を飲み死んだふりをするのです」
「なるほど。そうすれば兄上も、君を利用した事を後悔するかもね」
「さすが猊下、飲み込みが早い」
書類を持ちながらアリアはさすがにマズイと思ったのか、アニシナに尋ねる。
「でも毒薬はさすがにグウェンに負担がかかるんじゃ…」
「解毒剤も開発済みです。抜かりはありません」
アリアの問いにそう答えたアニシナだが、ピリアーチェは今までの事を知っているからこそ。
「(アニシナの発明品というだけで、危険極まりないと思いますけど…)」
と、心の中で思ったのだ。
「さぁ!グウェンダル!」
「………断る」
肩を震わせながら、グウェンダルは小さな声でそう呟いた。
「はい?今、なんと言いました?」
すると突然グウェンダルは机を叩いたのだ。
「断る」
「…グウェン?」
「…お兄様?」
隣にいたアリアとピリアーチェもまさか彼が机を叩くとは思っておらず、驚いた顔でグウェンダルを見ると、同じ様にアニシナも心なしか驚いている。
グウェンダルは手で机を叩いた後、姿勢を元に戻しながら話を続ける。
「そんな事に関わっている暇は無い!未熟な魔王の補佐に秘密結社、大シマロンの新しい王!
わたしは忙しいのだアニシナ。魔動装置のモニタアになるのももう止めだ!わたしは金輪際、お前とは付き合わん!」
「え?」
「兄上?」
「ありゃー」
「言っちゃった」
まさかの絶縁宣言をしたグウェンダルに有利とヴォルフラムだけでなく、ヨザック、セルセも呆れながら驚いた。
今までの事を思い出してか、有利は小さな声で話し出す。
「今回は本気で怒っちゃってるみたいだな」
「こう度々じゃ仕方ないかな」
「…分かりました。では別の相手を探しましょう」
何か考えたのか、アニシナはそう言うとさっさと部屋から出て行ってしまったのだった。
「今回ばかりは本気ですわね、お兄様」
「本当に…」
アリアとピリアーチェは苦笑しながら気にせずに書類に判子を押していくグウェンダルを見るだけだった。
ある日、血盟城では相変わらずの叫び声が聞こえてくる。
中庭でお茶をしていた双子とエイルは全く気にしていなかった。
「今日も平和だな」
「そうね」
「グウェン、可哀相…」
そう思っていた3人でした。
「例の秘密結社に関しては、新しい手掛かりは掴めてませんね~」
グウェンダルの執務室ではいつものメンバーが揃っており、各国で集めてきた白い鴉の情報をヨザックは説明している。
「ま、最近はこれといった事件もありませんが、」
「気を抜くな。引き続き、調査を続けろ」
「はい」
頷いたヨザックは途中から話を変える。
「で、閣下。それ、ひょっとして…、またアニシナちゃんですか?」
グウェンダルの額には怪我を負った後があり、それを見ていた双子やコンラートは小さく笑うだけだった。
有利は彼の怪我を心配するが。
「休んでる暇は無い。なにせ我が国の王は書類仕事が苦手だからな」
と、思いっきり否定され、事実まで述べられた有利の頭にはグウェンダルの言葉が頭に刺さる。
「うっ だ、だって、難しい書類を読むのはまだ時間がかかるし…」
すると突然ドアが開き、何か怒っているのか、真剣な顔のままアニシナが部屋に入って来たのだ。
そして何も言わずにグウェンダルの前に立ち止まる。
「お聞きなさい、グウェンダル」
「アニシナ?」
「どうしたんですの?血相を変えて、」
グウェンダルの近くで書類整理等をしているアリアとピリアーチェは、いつもと雰囲気が違うアニシナに少し驚く。
2人に問いかけられたアニシナは感情を表に出す。
「陰謀です!策略です!実の兄がわたくしを陥れようとしているのです!」
「アニシナさんのお兄さんって確か、」
まだ十貴族の顔と名前が一致していない有利は思い出そうとしたが、それに時間がかかると思ったのかセルセが付け足す。
「フォンカーベルニコフ卿デンシャム。十貴族の1人だよ」
「デンシャムが、アニシナに何かしたのか?」
「兄は、このわたくしに、見合いをしろと言うのです!」
言葉を溜めて、溜めて言った内容はどこにでもありそうな内容だった為に有利は呆気となる。
「は?」
『でねでね、相手はフォンロシュフォール家の次男、フォンロシュフォール卿チャンリュック。
日程はもうこっちで決めといたから、よろしくね、妹~vv』
「フォンロシュフォール卿?」
あまり聞いた覚えが無いのか、有利はギュンター達を見る。
「鉱山資源が豊富なロシュフォール地方を治めている一族です」
「鉱山資源、という事は…」
健の言葉に全員がアニシナを見る。
「その通り。政略結婚を狙っているのです!」
「それで、見合いはいつ?」
「2日後です」
どうしても見合いが許せないらしい。
アニシナはわなわなと怒りが押さえ切れていない。
「魔動装置の研究と、女性の地位向上に人生を懸けたわたくしに、なんという屈辱的な!」
「じゃあ、キッパリ断ったら、」
「それでは気が済みません!二度とこの様な気を起こさぬよう、兄を懲らしめてやらないと!」
「懲らしめるって、どうやって?」
今までの話を聞いていたセルセは小さな声で呟く。
「実の兄を懲らしめようとするか?普通」
するとアニシナは持っていた1冊の本とテーブルに叩きつける。
「えっと、ロ…『ロメロとアルジェント』…小説?」
「眞魔国3代悲劇の1つ。身分違いの男女が結婚を反対され、毒を飲み心中するという悲恋物です」
何とか題名だけでも読めた有利にコンラートが本の詳しい説明を話した。
「どこかで聞いた事があるような…」
「どっちの世界でも似たような話しが受けるんだね」
眞魔国でも、地球でも、似たような話が受けるという事を改めて分かった。
そしてアニシナは背後にいるグウェンダルに向きなおし命令した。
「という訳でグウェンダル、わたくしと心中しなさい!」
『ええぇ~~!?』
「…っ」
まさかのアニシナの提案に全員(グウェンダル以外)は驚くだけだった。
そしてグウェンダルは珍しく?怒りが押さえてきれていなかった。
「心中って!」
「もちろん偽装です。わたくしの発明した、一時的に仮死状態になる毒薬を飲み死んだふりをするのです」
「なるほど。そうすれば兄上も、君を利用した事を後悔するかもね」
「さすが猊下、飲み込みが早い」
書類を持ちながらアリアはさすがにマズイと思ったのか、アニシナに尋ねる。
「でも毒薬はさすがにグウェンに負担がかかるんじゃ…」
「解毒剤も開発済みです。抜かりはありません」
アリアの問いにそう答えたアニシナだが、ピリアーチェは今までの事を知っているからこそ。
「(アニシナの発明品というだけで、危険極まりないと思いますけど…)」
と、心の中で思ったのだ。
「さぁ!グウェンダル!」
「………断る」
肩を震わせながら、グウェンダルは小さな声でそう呟いた。
「はい?今、なんと言いました?」
すると突然グウェンダルは机を叩いたのだ。
「断る」
「…グウェン?」
「…お兄様?」
隣にいたアリアとピリアーチェもまさか彼が机を叩くとは思っておらず、驚いた顔でグウェンダルを見ると、同じ様にアニシナも心なしか驚いている。
グウェンダルは手で机を叩いた後、姿勢を元に戻しながら話を続ける。
「そんな事に関わっている暇は無い!未熟な魔王の補佐に秘密結社、大シマロンの新しい王!
わたしは忙しいのだアニシナ。魔動装置のモニタアになるのももう止めだ!わたしは金輪際、お前とは付き合わん!」
「え?」
「兄上?」
「ありゃー」
「言っちゃった」
まさかの絶縁宣言をしたグウェンダルに有利とヴォルフラムだけでなく、ヨザック、セルセも呆れながら驚いた。
今までの事を思い出してか、有利は小さな声で話し出す。
「今回は本気で怒っちゃってるみたいだな」
「こう度々じゃ仕方ないかな」
「…分かりました。では別の相手を探しましょう」
何か考えたのか、アニシナはそう言うとさっさと部屋から出て行ってしまったのだった。
「今回ばかりは本気ですわね、お兄様」
「本当に…」
アリアとピリアーチェは苦笑しながら気にせずに書類に判子を押していくグウェンダルを見るだけだった。