栄光の時代
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とある土地、一人の男性と女性が座っていた。
『…風が吹いてきたわね…』
『この土地も、ついに邪悪なモノに取り込まれるか…』
『そうね…』
彼の言葉に同意したように空を見ていた女性は何者かが近づいてくるのに気づいた。
『…ん?』
木の下で本を読んでいる双黒の男性と、ピンクが少し混じった紅い髪の女性は近づいて来る2人の男性を見る。
『破滅が近づいているのに、のん気なものだな』
近づいて来ているのは馬に乗った金髪で青い瞳をした男性と、後ろの馬に乗っている同じ金髪に紫の瞳をしている男性だった。
そのうちの1人は双黒の男を見て笑う。
『ほう?本当に黒い髪、黒い瞳なのだな』
『好奇心旺盛なのは結構ですが、わたしに関わるとろくな事になりませんよ。なにしろ、呪われし双黒の者ですから』
『そうは見えないが綺麗な黒だ。お前もそう思うだろ?ヘリオス』
『まぁな。今まで見た事なかったし、』
先頭にいた男は馬から降り、双黒の男へ近づく。
『それに、俺はお前を向かえに来たのだ。お前のその類い稀な知識と知略を俺の元で使え』
『何の為に?』
『創主達と、戦う為に!』
『!』
その言葉に女性は驚きながら彼を見上げると、双黒の男も信じられない様子だった。
『創主と?あの強大な力に勝ていると思ってるのですか?』
『俺達とお前ならできる。信じろ』
そう言って男は双黒の男に手を出し、それを見た双黒の男は笑う。
『貴方は大ホラ吹きか、でなければ真の英雄ですね』
2人は笑いながら握手を交わす。
その双黒の男が大賢者と呼ばれ、金髪の男が後に言われる眞王と呼ばれる。
『そこにいる女は?』
眞王は木の幹の所で座っている女の事を聞く。
女が答えるよりも先に大賢者が答えた。
『わたしの幼馴染です。術は使えませんが特殊な術を使えます』
『(どうしてお前が答える)』
大賢者の説明を聞き、女の方を見直し名前を聞く。
『ほう…。名は?』
『…………』
名前を聞かれた女は無言で眞王を睨む。
『テイア、』
眞王を睨んでいる女に大賢者は呆れ、女の名を呼ぶ。
『…テイア・ディオネ』
大賢者に言われ少し考えた後、自分の名前だけ話した。
『テイアか…。お前も素晴らしい髪の色だな。お前も来い。特殊な術があるなら、相手も驚くだろう』
『そうですね。テイアも来てもらいましょう』
『私も?』
まさか自分もだとは思っていなかったテイアは驚くが眞王は全くと言っていい程気にしていない。
『そうと決まれば、さっさと行くぞ』
そう言うと眞王は馬に乗りなおす。
そして、『あ、』と 思い出したように後ろにいる男を紹介する。
『こいつは俺の従弟のヘリオス・アスタルテだ。ヘリオスも特殊な魔術を使う。剣も一流と言っていいほどの腕前だ。きっと役に立つ』
『お前は俺をそういう風にしか見てないのか?』
『いや、言葉の綾だ』
ヘリオスは眞王の言葉に呆れる。
だが、いつもの事だと思いテイアと大賢者の方を見る。
『まぁいい、これからよろしく頼むな』
『はい』
『よろしく…』
こうして大賢者の幼馴染であるテイアも仲間に加わり、眞王の従弟であるヘリオスとも知り合った日だった。
暫くして少しづつ軍の編成も出来ていったある日、また新しい仲間が増えた。
『この様な姿で申し訳ありません。わたしはエアハルト・ウィンコット、これは弟のクリステル・ウィンコット。そして、友人のローレンツ・ウェラーです』
『我軍によく来てくれた。歓迎する。何しろ、創主とまともに戦おうなどと考える馬鹿に加勢してくれる者は、そうそう多くなくてな』
呆れながら笑う眞王に他の者達も一緒に笑う。
その馬鹿に加勢している者達だからだ。
その中で眞王の隣にいた大賢者が話しだす。
『貴方々の噂は聞いています。その勇敢な戦いぶりで、北大陸の創主達の進行を随分防いできたとか…』
『結局俺が居たシマロンも、エアハルト達のカロリアも創主の軍に飲み込まれた』
『だが貴方々の軍に居れば、まだ戦えます』
『お願いいたします!故郷の者達の仇を討ちたいのです!』
ローレンツは自らの剣を眞王の方へ見せる。
『俺は術は使えないが、剣の腕ならかなり役に立てる。遠慮なく使ってくれて構わない』
そうハッキリ言うローレンツに眞王は笑いながら、大賢者の方を見る。
『そんな事を言うと、本当にこいつに使われるぞ』
『ええ、貴方には特に働いていただかないと』
『でないと他の者がついて来ないかもしれないしね…』
『お前には我慢してもらわなくちゃな、』
眞王の言葉に肯定しながら、大賢者、ヘリオス、テイアは話していく。
『ほらな。俺にこんな事を言えるのはこいつ等だけだ』
『誰かが貴方の手綱を引いておかなければ暴走しますからね』
『お前を軍師、ヘリオスとテイアを側近にしたのは誤ったかもしれん』
溜め息を吐く眞王に3人はクスリと笑う。
『私はテイア・ディオネ』
『俺はヘリオス・アスタルテ。一応、そこにいる司令官とは従兄弟同士だ』
そんな4人のやり取りについていけないエアハルト達は何も言えなかったが、気にせず2人は自己紹介をした。
すると違う場所から笑い声が聞こえ、そこを見ると男が2人歩いて来る。
『どうした皆、気にするな!いつもの事だ!』
『我等が司令官と軍師殿、そして側近2人は仲が良いのか悪いのか…。僕はルーファス・ビーレフェルト』
『ジークベルト・ヴォルテールだ』
お互い初めて会った者達で自己紹介をしていた。