ウィンコットの毒
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有利達はカロリアからフリンが来るという事で、港で迎えに来ていた。
「お久しぶりです、陛下」
「いらっしゃい」
フリンと久しぶりに会った有利は喜んでいると、船から『もしかして~』と言いながら降りてきたモノがいた。
「Tゾウ!お前も来たの?」
とっても喜んでいるTゾウは有利の顔を舐めている。
「フリンさんが来てくれるなんて嬉しいよ。でも、どうしたの?急に…」
「ウィンコットの毒を眞魔国へとお返ししないと思って…」
「ウィンコットの毒。っていうと、あの時の?」
以前、ギュンターが襲われた時に使われたのがウィンコットの毒だったのだ。
「そうです。ああ、思い起こすも悍ましき人生最大の汚点…!」
「ああ、あの後も大変だったみたいだね」
「陛下がいらっしゃらなかった事が不幸中の幸いでした。あんな姿を見られたら生きていけません!」
「そういえば、まだ少し残っているんでしたね、」
「この際、眞王廟に収めてしまいましょう」
「あら」
フリンは初めてみたエイルを不思議に思った。
「そちらにいる子どもは?」
「あ、初めまして、アスタルテ・エイルです」
「アスタルテは確か…」
エイルの姓を聞いたフリンは双子を見ると、セルセは彼女が何を言いたいのか分かって頷く。
「俺達の義弟(オトウト)。母方の親戚だったんだけど、色々あってこっち側の者になったんですよ」
「そうだったんですか」
その後フリン達を血盟城へと連れて行き、応接間でウィンコットの毒を受け取った。
そこにはいつものメンバーとツェリまでもが揃っていた。
「確かに受け取りました」
「話しには聞いていたけど、実物を見るのは初めてだな」
「かつて、カロリアを治めていたフォンウィコット家の祖先が作ったという世にも奇妙な毒。ウィンコット家がカロリアを去った後も、そのままギルビット家に残され継承された」
「本来なら眞魔国にありべき物です。あんな事に関わった者として、もっと早くお持ちする責任があったのですが…」
「気にしないでよ、こちらも色々あったしね。復興の方はどう?子ども達も皆元気にしてる?」
あの時、禁忌の箱で壊滅状態になったカロリア。
初めの時は一緒に有利達も復興作業を手伝い、その時に子ども達とも仲良くなっていた。
「ええ、眞魔国派同盟のおかげで小シマロンや大シマロンも少しずつ変わってきました。
帰国が許された若者達も、祖国で復興と発展に尽くしています。圧制に苦しんでいた頃が日々遠のいていく様です。これも陛下のおかです」
「そんな!そういうのは、フリンさん達カロリアの人達の功績で、おれなんか…」
「わたしを変えてくれたのは陛下です。もし陛下と出会わなかったら、わたしはまだ大シマロンや小シマロンの言い成りになっていたでしょう」
苦笑していた有利にフリンは嬉しそうな顔で話した。
彼女を変えたのは有利だからだ。
フリンの言葉に何も言えなかった有利だが、後ろにいたコンラートが補足として話す。
「出会いとは時として、大きな力を生むって事です」
「出会い…」
「陛下、これからも末永くお付き合いできますよう」
「ありがとう、フリンさん」
嬉しそうに笑いあう2人。
「ん?………いって!」
それを見ていたヴォルフラムは有利に近づき、足の指を踏んでいた。
ウィンコットの毒を眞王廟へ収めようという事になった。
もちろん、現魔王として有利が自ら託宣の間で眞王に渡す事となった。
「随分大げさなんだね」
道には巫女が並び、有利も正装をしていた。
「これが眞王廟に納める時の古式にのっとった儀式です」
「へえー」
初めての儀式に関心していた有利だったが、彼とは別にとっても安心したい者がいた。
「眞王陛下に預かって頂ければ、これ以上安心な事はありません」
「ギュンターにとったら安心でしょうけどね」
「あのような悍ましい事件には二度と遭いたくないからな」
「それは同感だな」
以前にも毒を受けた事があるギュンターにとって、眞王廟で眞王陛下に守ってもらえる事が本当に安心するのだ。
「ではこれより、儀式を執り行います。陛下の手で、あちらに納めて頂くのが習わしです」
「そうなの?」
ウルリーケからウィンコットの毒を受け取った有利は、その場から歩き出した。
「ウーアーー!!」
「うわっ」
突然モルギフが歌い出した事に驚いた有利はいったい何なのか焦る。
「儀式の歌です、陛下」
「え?」
「気をつけろよー。零れた滴がかかっただけでも、そいつは効果を発揮するんだ」
「マジかよ…」
改めて有利はその場から歩き始める。
「あ!」
「!」
すると有利は歩いている最中、躓いて後ろへ倒れそうになってしまったのだ。
「陛下―――――!!!」
すぐに気づいたギュンターが反応して有利を助けようとしたが、零れた滴が体に当たってしまい気を失った。
「ギュンター!ギュンター!」
すぐにギュンターをアニシナの所へ運んだ。
「大丈夫かな?ギュンター」
「フォンカーベルニコフ卿が上手くやってくれてるよ」
しばらくするとアニシナが部屋から出てくる。
彼女は笑顔で『手術は成功しました』と報告する。
全員が中に入ると、そこには冷凍保存して仮死状態となっているギュンターが眠っていた。
「ギュンター!」
「心配する事は無い」
「ええ。前回もそうでしたが、毒が体の組織を犯す前に自ら仮死状態になっています」
「仮死?」
「処置も施しました。魂もちゃんと捕らえております」
「魂?」
いったい何の事だかわからない有利は首を傾げるが、アニシナは笑いながら持っていた箱を見せる。
「これです」
すると中から何かの泣き声が聞こえる。
「またアレですのね」
「ああ、アレだな」
「あの時のアレね」
「『アレ』…?」
双子とピリアが苦笑しながら見ている。
アレという事がわかっていないエイルは不思議そうな顔で見上げる。
「さぁ!何をしているんです!出てらっしゃい!」
「とんでもない事です!こんな姿を陛下にお見せするなんてぇっ エッ エッ」
と泣きながら叫ぶ声。
「え?何かいるの?」
さすがの有利の何の事だからわからない。
「なにをメソメソしているのです!さぁギュンター!早く陛下の前に元気な姿を見せてあげなさい!!」
そう言ってアニシナが箱を開けようとした瞬間、中から『ホゲッ』という声が聞こえたと同時にまたビームなようなものが飛んできた。
「お久しぶりです、陛下」
「いらっしゃい」
フリンと久しぶりに会った有利は喜んでいると、船から『もしかして~』と言いながら降りてきたモノがいた。
「Tゾウ!お前も来たの?」
とっても喜んでいるTゾウは有利の顔を舐めている。
「フリンさんが来てくれるなんて嬉しいよ。でも、どうしたの?急に…」
「ウィンコットの毒を眞魔国へとお返ししないと思って…」
「ウィンコットの毒。っていうと、あの時の?」
以前、ギュンターが襲われた時に使われたのがウィンコットの毒だったのだ。
「そうです。ああ、思い起こすも悍ましき人生最大の汚点…!」
「ああ、あの後も大変だったみたいだね」
「陛下がいらっしゃらなかった事が不幸中の幸いでした。あんな姿を見られたら生きていけません!」
「そういえば、まだ少し残っているんでしたね、」
「この際、眞王廟に収めてしまいましょう」
「あら」
フリンは初めてみたエイルを不思議に思った。
「そちらにいる子どもは?」
「あ、初めまして、アスタルテ・エイルです」
「アスタルテは確か…」
エイルの姓を聞いたフリンは双子を見ると、セルセは彼女が何を言いたいのか分かって頷く。
「俺達の義弟(オトウト)。母方の親戚だったんだけど、色々あってこっち側の者になったんですよ」
「そうだったんですか」
その後フリン達を血盟城へと連れて行き、応接間でウィンコットの毒を受け取った。
そこにはいつものメンバーとツェリまでもが揃っていた。
「確かに受け取りました」
「話しには聞いていたけど、実物を見るのは初めてだな」
「かつて、カロリアを治めていたフォンウィコット家の祖先が作ったという世にも奇妙な毒。ウィンコット家がカロリアを去った後も、そのままギルビット家に残され継承された」
「本来なら眞魔国にありべき物です。あんな事に関わった者として、もっと早くお持ちする責任があったのですが…」
「気にしないでよ、こちらも色々あったしね。復興の方はどう?子ども達も皆元気にしてる?」
あの時、禁忌の箱で壊滅状態になったカロリア。
初めの時は一緒に有利達も復興作業を手伝い、その時に子ども達とも仲良くなっていた。
「ええ、眞魔国派同盟のおかげで小シマロンや大シマロンも少しずつ変わってきました。
帰国が許された若者達も、祖国で復興と発展に尽くしています。圧制に苦しんでいた頃が日々遠のいていく様です。これも陛下のおかです」
「そんな!そういうのは、フリンさん達カロリアの人達の功績で、おれなんか…」
「わたしを変えてくれたのは陛下です。もし陛下と出会わなかったら、わたしはまだ大シマロンや小シマロンの言い成りになっていたでしょう」
苦笑していた有利にフリンは嬉しそうな顔で話した。
彼女を変えたのは有利だからだ。
フリンの言葉に何も言えなかった有利だが、後ろにいたコンラートが補足として話す。
「出会いとは時として、大きな力を生むって事です」
「出会い…」
「陛下、これからも末永くお付き合いできますよう」
「ありがとう、フリンさん」
嬉しそうに笑いあう2人。
「ん?………いって!」
それを見ていたヴォルフラムは有利に近づき、足の指を踏んでいた。
ウィンコットの毒を眞王廟へ収めようという事になった。
もちろん、現魔王として有利が自ら託宣の間で眞王に渡す事となった。
「随分大げさなんだね」
道には巫女が並び、有利も正装をしていた。
「これが眞王廟に納める時の古式にのっとった儀式です」
「へえー」
初めての儀式に関心していた有利だったが、彼とは別にとっても安心したい者がいた。
「眞王陛下に預かって頂ければ、これ以上安心な事はありません」
「ギュンターにとったら安心でしょうけどね」
「あのような悍ましい事件には二度と遭いたくないからな」
「それは同感だな」
以前にも毒を受けた事があるギュンターにとって、眞王廟で眞王陛下に守ってもらえる事が本当に安心するのだ。
「ではこれより、儀式を執り行います。陛下の手で、あちらに納めて頂くのが習わしです」
「そうなの?」
ウルリーケからウィンコットの毒を受け取った有利は、その場から歩き出した。
「ウーアーー!!」
「うわっ」
突然モルギフが歌い出した事に驚いた有利はいったい何なのか焦る。
「儀式の歌です、陛下」
「え?」
「気をつけろよー。零れた滴がかかっただけでも、そいつは効果を発揮するんだ」
「マジかよ…」
改めて有利はその場から歩き始める。
「あ!」
「!」
すると有利は歩いている最中、躓いて後ろへ倒れそうになってしまったのだ。
「陛下―――――!!!」
すぐに気づいたギュンターが反応して有利を助けようとしたが、零れた滴が体に当たってしまい気を失った。
「ギュンター!ギュンター!」
すぐにギュンターをアニシナの所へ運んだ。
「大丈夫かな?ギュンター」
「フォンカーベルニコフ卿が上手くやってくれてるよ」
しばらくするとアニシナが部屋から出てくる。
彼女は笑顔で『手術は成功しました』と報告する。
全員が中に入ると、そこには冷凍保存して仮死状態となっているギュンターが眠っていた。
「ギュンター!」
「心配する事は無い」
「ええ。前回もそうでしたが、毒が体の組織を犯す前に自ら仮死状態になっています」
「仮死?」
「処置も施しました。魂もちゃんと捕らえております」
「魂?」
いったい何の事だかわからない有利は首を傾げるが、アニシナは笑いながら持っていた箱を見せる。
「これです」
すると中から何かの泣き声が聞こえる。
「またアレですのね」
「ああ、アレだな」
「あの時のアレね」
「『アレ』…?」
双子とピリアが苦笑しながら見ている。
アレという事がわかっていないエイルは不思議そうな顔で見上げる。
「さぁ!何をしているんです!出てらっしゃい!」
「とんでもない事です!こんな姿を陛下にお見せするなんてぇっ エッ エッ」
と泣きながら叫ぶ声。
「え?何かいるの?」
さすがの有利の何の事だからわからない。
「なにをメソメソしているのです!さぁギュンター!早く陛下の前に元気な姿を見せてあげなさい!!」
そう言ってアニシナが箱を開けようとした瞬間、中から『ホゲッ』という声が聞こえたと同時にまたビームなようなものが飛んできた。