宴席準備
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
血盟城の中庭では、有利はアオに乗って何かの練習をしているのだ。
有利の後ろには同じく自分の愛馬に乗っているヴォルフラム、有利の横には普通に歩いているコンラートや双子、エイルがいる。
「はい、では陛下いきますよ?左向いて笑顔、右向いて笑顔」
見た目で作り笑いをしているんだという事がわかる有利はアオに乗ったまま手をふる。
「そうそう、その調子」
「コンラッド、双子。こんな練習本当に必要なの?」
あまり好きではない有利の問いに苦笑する3人。
「すいません。ギュンターがどうしてもと言うもので」
「明日は各国の代表と王都を行進するからな」
後ろでは淡々と述べるヴォルフラム。
「お前が民にみっともない姿を見せないか、心配なんだろう。僕も同感だ」
ヴォルフラムの言葉に有利はムッとする。
「なんだよ、挨拶ぐらい出来るっての。あ、そうだ。コンラッド、双子。今夜のパーティーにはヒスクライフさん達も来るんだよな?」
「ええ。同盟諸国の友好を深める為の宴席だからね」
「各国代表の人達は全員くる予定になってるぞ」
「そっか…」
そう言いながら有利はカロリアで会ったフリンの事を思い出す。
「元気にしてたかな~…」
「誰を思い出していた?」
「え?わぁ…」
何かを思い出していた有利の顔の横に後ろにいたはずだったヴォルフラムの顔があった。
そして、有利の胸ぐらを掴む。
「僕という者がありながら、誰を思い出していた!?」
「よせ!よせって、ヴォルフラム!落ちるってば~!!」
「陛下」
少し離れた場所から声がした。
その方を見ると、そこにはヒスクライフと娘のベアトリスがいた。
「ヒスクライフさん!ベアトリス!」
「お久しぶりです、陛下。相変わらず仲がお宜しいようで」
「約束とおり、遊びに来ました!ユーリ陛下!」
「うん。ようこそ、眞魔国へ」
笑っていたベアトリスの目の前に、グレタがおずおずと近づいてきた。
「?」
グレタに気づいたベアトリスは階段から降り、彼女の側へ駆け寄る。
「グレタ、紹介するよ。彼女がベアトリス。ベアトリス、その子がおれの娘のグレタ。仲良くしてやってくれよな」
「はいっ」
お互い無言だったが、グレタは持っていた花束を渡した。
「あの花束って…」
「朝から花壇で摘んでたヤツか」
ずっと花壇で綺麗な花を摘んでいた。
それはベアトリスにあげる為だったらしい。
2人はラザニア達に呼ばれ、仲良く城の中へ走って行き、ヒスクライフもグウェンダルに話しがあるという事で挨拶しに行った。
「コンラッド、双子、少し休もうよ。ベアトリスとも話しがしたいしさ」
「しょうがないですね~。じゃあ少しだけ」
「そう言うと思った」
「ああ、考え通りだな」
「陛下らしいって事ですね」
有利の考えが簡単にわかってしまっていた4人。
「やった!(なんか、エイルがどんどん双子に似てきているのは気のせい…?)」
そう思った有利はアオから降り始めた。
「うわっ!」
「!」
だがバランスを崩したのかアオから落ちそうになり、すぐにコンラートは支えようとしたのだが…。
「っ!」
「!」
「わぁっ」
「! 危ねっ」
「陛下っ」
一瞬体が痛み出したのか、落ちて来る有利を支えきれなかったのだが、咄嗟に反応したセルセが有利を支えた。
アリアはすぐにコンラートの側に寄った。
「ユーリ!何をやっているんだ、コンラート!」
有利の側に駆けつけたヴォルフラム。
「陛下、大丈夫ですか?」
「おれは大丈夫、セルセが支えてくれたから。だけど…」
有利はコンラートの左腕を見る。
「!」
その視線に気づいたコンラートは変わらない笑顔になる。
「大丈夫、何でもありませんから」
コンラートの様子がわかった双子は何も言えず、アリアもまた無言で左腕に触れる。
「アリア…」
自分の腕に触れたアリアに気づき、もう片方の手で彼女の頬に触れる。
そして先程別れたヒスクライフはグウェンダルの元へ赴いていた。
「これはヒスクライフ様、お久しぶりですわ」
「お久しぶりです、フォンギレンホール卿」
グウェンダルと一緒にいたピリアーチェは相変わらずの笑顔でいた。
ヒスクライフはグウェンダルに大シマロンの報告をする。
「監視は続けておりますが、その後、大シマロンに動きは無いようです」
「間違いありませんか?」
「心配いりませんよ~」
話しにヨザックが入ってきた。
「ベラールのヤツ、国内でもすっかり嫌われちゃったみたいでしてね。軍からの脱走者も後を絶たないようです。当分、大人しくしているでしょう」
「そうか、それならいいのだが…」
グウェンダルはイスにもたれるたが、ずっと片手で左目を抑えていた。
「お兄様?」
「どうかしました?頭痛ですか?」
その様子に気づいた2人。
「いや、少し目が疲れているだけだ。お前達が気にする事ではない」
左目を抑えながら答えるが、それを聞いたヨザックは苦笑する。
「あの坊ちゃんの相手を毎日してるんですからね~。そりゃあ疲れますよ。何しろ元気な方ですからね」
「そうですな」
ヨザックとヒスクライフは有利の事を思い出しながら話している。
いつもハプニングを起こすから…。
「お兄様…」
「心配するな、ピリアーチェ」
「いえ、それもあるのですが、双子の事ですわ」
「双子…?」
「?」
すると笑っていたヨザックもピリアを見る。
ヨザックも幼馴染の双子が心配だからだ。
「いえ、近頃なんですかセルセは左足が、アリアは喉が痛いとおっしゃっていましたわ」
「何だと?」
「詳しい理由はわかりませんが。お2人もあまり気にしていない様子でしたし…」
心配そうな顔をしているピリアーチェに、ヨザックは笑いながら答える。
「大丈夫ですって。あの双子は強いですからね。もし何かあったとしても、ちゃんとお互いでカバーできますよ」
子どもの頃からの幼馴染の言葉は違う。
心配していても、あの双子なら自分達で道を見つけるはずだと知っているからだ。
「「っくしゅっ」」
「風邪ですか?兄様、姉様」
「いや…」
「違うと思うけど…」
コンラート達と別れた後、アリア達はセルセの部屋へ移動したのだ。
テーブルの上には紅茶やお菓子が乗っている。
この部屋でお茶していた双子だが、誰か(グウェンダル・ピリアーチェ)が噂をしていた為かクシャミをした。
「今日は宴席だからな。エイルも眞魔国では初めてだから嬉しいだろ?」
「それに、ディオネの者も来るって言ってたしね」
「はい。今からとても楽しみなんです」
本当に嬉しそうに答えるエイル。
コンコン
「誰だ?」
「サングリアです」
「入っていいぞ」
セルセの許しが出たサングリアは部屋に入ってきた。
そしてサングリアと共に入って来たラザニアは手に何かを持っていた。
「どうしたんだ?」
「はい、実はツェリ様からアリア様に?」
「ツェリ様が、私に…?」
不思議そうにアリアはラザニアからその物を受け取る。
そして、中身を見てみると…。
「!」
「どうしたんだ?」
「姉様?」
中に入っていたのは綺麗な薄い紅桜色をしたドレスが入っていた。
その他にもネックレスやブレスレット等の装飾品もあったのだ。
「…今日の宴席用の服…、ですよね?」
「軍服じゃなくて、これを着ろって事だろうな」
「……だよね…」
本当に嫌な顔をしているアリア。
「お時間になりましたら、わたしがアリア様の準備を手伝えとツェリ様が仰ったので。また後程伺います」
失礼しますと一言言うと、サングリアとラザニアは部屋から出て行った。
「諦めろ。ツェリ様の命令なんだからさ」
「わかってるけど、」
そう言いながらも嫌な顔でドレスを見る。
「楽しみですね」
「…そうね」
「そうだな」
相変わらずの笑顔のエイルに双子は苦笑するしかなかった。
有利の後ろには同じく自分の愛馬に乗っているヴォルフラム、有利の横には普通に歩いているコンラートや双子、エイルがいる。
「はい、では陛下いきますよ?左向いて笑顔、右向いて笑顔」
見た目で作り笑いをしているんだという事がわかる有利はアオに乗ったまま手をふる。
「そうそう、その調子」
「コンラッド、双子。こんな練習本当に必要なの?」
あまり好きではない有利の問いに苦笑する3人。
「すいません。ギュンターがどうしてもと言うもので」
「明日は各国の代表と王都を行進するからな」
後ろでは淡々と述べるヴォルフラム。
「お前が民にみっともない姿を見せないか、心配なんだろう。僕も同感だ」
ヴォルフラムの言葉に有利はムッとする。
「なんだよ、挨拶ぐらい出来るっての。あ、そうだ。コンラッド、双子。今夜のパーティーにはヒスクライフさん達も来るんだよな?」
「ええ。同盟諸国の友好を深める為の宴席だからね」
「各国代表の人達は全員くる予定になってるぞ」
「そっか…」
そう言いながら有利はカロリアで会ったフリンの事を思い出す。
「元気にしてたかな~…」
「誰を思い出していた?」
「え?わぁ…」
何かを思い出していた有利の顔の横に後ろにいたはずだったヴォルフラムの顔があった。
そして、有利の胸ぐらを掴む。
「僕という者がありながら、誰を思い出していた!?」
「よせ!よせって、ヴォルフラム!落ちるってば~!!」
「陛下」
少し離れた場所から声がした。
その方を見ると、そこにはヒスクライフと娘のベアトリスがいた。
「ヒスクライフさん!ベアトリス!」
「お久しぶりです、陛下。相変わらず仲がお宜しいようで」
「約束とおり、遊びに来ました!ユーリ陛下!」
「うん。ようこそ、眞魔国へ」
笑っていたベアトリスの目の前に、グレタがおずおずと近づいてきた。
「?」
グレタに気づいたベアトリスは階段から降り、彼女の側へ駆け寄る。
「グレタ、紹介するよ。彼女がベアトリス。ベアトリス、その子がおれの娘のグレタ。仲良くしてやってくれよな」
「はいっ」
お互い無言だったが、グレタは持っていた花束を渡した。
「あの花束って…」
「朝から花壇で摘んでたヤツか」
ずっと花壇で綺麗な花を摘んでいた。
それはベアトリスにあげる為だったらしい。
2人はラザニア達に呼ばれ、仲良く城の中へ走って行き、ヒスクライフもグウェンダルに話しがあるという事で挨拶しに行った。
「コンラッド、双子、少し休もうよ。ベアトリスとも話しがしたいしさ」
「しょうがないですね~。じゃあ少しだけ」
「そう言うと思った」
「ああ、考え通りだな」
「陛下らしいって事ですね」
有利の考えが簡単にわかってしまっていた4人。
「やった!(なんか、エイルがどんどん双子に似てきているのは気のせい…?)」
そう思った有利はアオから降り始めた。
「うわっ!」
「!」
だがバランスを崩したのかアオから落ちそうになり、すぐにコンラートは支えようとしたのだが…。
「っ!」
「!」
「わぁっ」
「! 危ねっ」
「陛下っ」
一瞬体が痛み出したのか、落ちて来る有利を支えきれなかったのだが、咄嗟に反応したセルセが有利を支えた。
アリアはすぐにコンラートの側に寄った。
「ユーリ!何をやっているんだ、コンラート!」
有利の側に駆けつけたヴォルフラム。
「陛下、大丈夫ですか?」
「おれは大丈夫、セルセが支えてくれたから。だけど…」
有利はコンラートの左腕を見る。
「!」
その視線に気づいたコンラートは変わらない笑顔になる。
「大丈夫、何でもありませんから」
コンラートの様子がわかった双子は何も言えず、アリアもまた無言で左腕に触れる。
「アリア…」
自分の腕に触れたアリアに気づき、もう片方の手で彼女の頬に触れる。
そして先程別れたヒスクライフはグウェンダルの元へ赴いていた。
「これはヒスクライフ様、お久しぶりですわ」
「お久しぶりです、フォンギレンホール卿」
グウェンダルと一緒にいたピリアーチェは相変わらずの笑顔でいた。
ヒスクライフはグウェンダルに大シマロンの報告をする。
「監視は続けておりますが、その後、大シマロンに動きは無いようです」
「間違いありませんか?」
「心配いりませんよ~」
話しにヨザックが入ってきた。
「ベラールのヤツ、国内でもすっかり嫌われちゃったみたいでしてね。軍からの脱走者も後を絶たないようです。当分、大人しくしているでしょう」
「そうか、それならいいのだが…」
グウェンダルはイスにもたれるたが、ずっと片手で左目を抑えていた。
「お兄様?」
「どうかしました?頭痛ですか?」
その様子に気づいた2人。
「いや、少し目が疲れているだけだ。お前達が気にする事ではない」
左目を抑えながら答えるが、それを聞いたヨザックは苦笑する。
「あの坊ちゃんの相手を毎日してるんですからね~。そりゃあ疲れますよ。何しろ元気な方ですからね」
「そうですな」
ヨザックとヒスクライフは有利の事を思い出しながら話している。
いつもハプニングを起こすから…。
「お兄様…」
「心配するな、ピリアーチェ」
「いえ、それもあるのですが、双子の事ですわ」
「双子…?」
「?」
すると笑っていたヨザックもピリアを見る。
ヨザックも幼馴染の双子が心配だからだ。
「いえ、近頃なんですかセルセは左足が、アリアは喉が痛いとおっしゃっていましたわ」
「何だと?」
「詳しい理由はわかりませんが。お2人もあまり気にしていない様子でしたし…」
心配そうな顔をしているピリアーチェに、ヨザックは笑いながら答える。
「大丈夫ですって。あの双子は強いですからね。もし何かあったとしても、ちゃんとお互いでカバーできますよ」
子どもの頃からの幼馴染の言葉は違う。
心配していても、あの双子なら自分達で道を見つけるはずだと知っているからだ。
「「っくしゅっ」」
「風邪ですか?兄様、姉様」
「いや…」
「違うと思うけど…」
コンラート達と別れた後、アリア達はセルセの部屋へ移動したのだ。
テーブルの上には紅茶やお菓子が乗っている。
この部屋でお茶していた双子だが、誰か(グウェンダル・ピリアーチェ)が噂をしていた為かクシャミをした。
「今日は宴席だからな。エイルも眞魔国では初めてだから嬉しいだろ?」
「それに、ディオネの者も来るって言ってたしね」
「はい。今からとても楽しみなんです」
本当に嬉しそうに答えるエイル。
コンコン
「誰だ?」
「サングリアです」
「入っていいぞ」
セルセの許しが出たサングリアは部屋に入ってきた。
そしてサングリアと共に入って来たラザニアは手に何かを持っていた。
「どうしたんだ?」
「はい、実はツェリ様からアリア様に?」
「ツェリ様が、私に…?」
不思議そうにアリアはラザニアからその物を受け取る。
そして、中身を見てみると…。
「!」
「どうしたんだ?」
「姉様?」
中に入っていたのは綺麗な薄い紅桜色をしたドレスが入っていた。
その他にもネックレスやブレスレット等の装飾品もあったのだ。
「…今日の宴席用の服…、ですよね?」
「軍服じゃなくて、これを着ろって事だろうな」
「……だよね…」
本当に嫌な顔をしているアリア。
「お時間になりましたら、わたしがアリア様の準備を手伝えとツェリ様が仰ったので。また後程伺います」
失礼しますと一言言うと、サングリアとラザニアは部屋から出て行った。
「諦めろ。ツェリ様の命令なんだからさ」
「わかってるけど、」
そう言いながらも嫌な顔でドレスを見る。
「楽しみですね」
「…そうね」
「そうだな」
相変わらずの笑顔のエイルに双子は苦笑するしかなかった。