箱の行方
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眞王廟で有利と健が戻ってくるとわかった双子、グウェンダル、ピリアーチェは待っていた。
「アリア」
「何?」
「……大丈夫か?」
双子の隣にいるのはグウェンダルはアリアに聞いた。
「!」
さすがのグウェンダルもアリアの様子が心配だったのだ。
自分の弟が大事にしている幼馴染のアリアを。
「……平気」
心配してくれているグウェンダルに彼女は悲しそうに笑う。
「……たくさん泣いたから…。もう、大丈夫…」
「……そうか…」
哀しそうに笑うアリアを見て何も言えないグウェンダル。
しばらく経つと、有利達が歩いてくる。
「皆も来てたんだ」
有利がグウェンダルの目の前に来ると、グウェンダルはその場で方膝をつく。
「グウェンダル?」
急に方膝をついたグウェンダルを見て有利は驚く。
「無事のご帰還を心より嬉しく思う。また、この度のウェラー卿の不始末だが、愚弟にかわりお詫び申し上げる。どのような処断でも受け入れる覚悟だ」
「兄上…」
「お兄様…」
さすがのピリアーチェもヴォルフラムも驚く。
まさか彼が弟であるコンラートの為に頭を下げたからだ。
「しかし望めるものならば、どうかもうひと時の猶予を願いたい。後任を決め引継ぎをするまでは…。むろん王を守る使命を投げ出し他国へ遁走したコンラートと、またそれを未然に防げなかったわたしの罪は重いと承知している」
「ちょっと待った!あんたに責任があるなんて言ってないだろ!それに、コンラッドだって…、何か理由があるんだよ。
だって…あのコンラッドが眞魔国を、…おれと双子を裏切るわけないじゃん!きっと…なにか…」
裏切られてもコンラートを信じている有利。
その言葉を聞いた双子は安心する。
「そうだよな…」
「セルセ?」
「もし、コンラートがはじめから眞魔国を裏切るつもりだったんなら、あの時の…、20年前の戦争でルッテンベルクに行く前に逃げてたんじゃないか?」
「!」
セルセからコンラートの事を聞き有利はハッとする。
「セルセもそう思ってるのか?コンラッドが裏切るはずが無いって…」
「当たり前だろ。俺らはガキの頃から一緒だったんだし、その大事な幼馴染を簡単に信じなくなるなんて無理なんだよ。
…まぁ、俺はコンラートに一発殴んなきゃスッキリしないけどな」
「え?」
コンラートを殴るとセルセは笑っているが、目が本気である事を察知した有利。
「当たり前だろ。アイツはまたアリアを泣かしたんだ。俺の妹をな。あー、後はヨザックにも殴られんじゃないか?大事な幼馴染を泣かせたってな」
「あら?ヨザックの場合でしたら、お兄様からアリアを奪うのではなくて?」
笑っているが怒っている。
もしコンラートが戻ってきたら、大変な事になるんじゃないんだろうか。
そう思った有利だったが、セルセの話した内容にハッとなる事もあったのだ。
「あ、」
アリアを泣かした。
それを聞き、有利は隣で苦笑しているアリアを見る。
有利が自分を見ていることに気づくと苦笑する。
「帰りの船でね。久しぶりにたくさん泣いたから、すっきりしたけど」
「………」
「でも、あの時に泣いたから…、もう大丈夫。それに私もセルセも信じてるからね。
コンラートが眞魔国を裏切らないって…。私達は子どもの時に、魔族として生きるって決めたんだから。簡単には裏切らない」
「アリア…」
笑いながら話すアリアを見て有利も笑う。
「お立ちなさい、グウェンダル。陛下はこの事で誰を罰するおつもりは無いのですから…」
ギュンターが言うと方膝をずっとついていたグウェンダルはその場から立つ。
託宣の間では回収した箱が置いてある。
「‘地の果て’‘風の終わり’は、こうして眞王陛下なの元に厳重に管理されております。もはや、これらが人間に渡る事はありません」
「はー、良かった」
一安心する有利だったが、もう1つ不思議に思っていた事を尋ねる。
「でもさ、禁忌の箱って、あと3つあるんだよな?えっと~…」
「‘凍土の劫火’と‘鏡の水底’、そして‘天の儚さ’」
「そうそう。…てゆうか、…ああ!村田って、眞王と一緒にいた双黒の大賢者なんだろ。だったらこの箱が作られた時ってそこに居たんじゃ…」
「うん、居たよ。というか、あれを作らせたのは僕」
「ええ!?そうなの!?」
誰もが驚く新事実。
まさか箱を作らせたのが、双黒の大賢者だった事に驚くしかなかったのだ。
それを聞いたギュンターは1人喜んでいる。
「では伝説に残る眞王陛下と創主達の戦いは真なのですね。何という巡り合わせ!こうして、ご本人に歴史の出来事を詳細にお聞きする事が出来るとは…!」
喜んでいる彼を見て健は苦笑する。
「もう何千年も前の話しだけどね…」
「教えてくれよ、村田。あれは一体何なんだ?創主って…」
「ん~…。詳しく話すと長くなるから簡単に言うと、その時代、世界は創主という大きな力の持ち主よって滅ぼされようとしていたんだ。
創主達は強大でただ滅亡を待つだけかと思われた。
しかし、その時1人の青年が立ち上がった。
それが後に眞王と呼ばれる事になる男だ。
眞王と力有る者によって、創主達は倒された。
だけど完全に滅ぼす事は出来なかった。
そこで創主の力を5つに分け、それぞれの箱に封印した。
そしてそれぞれの箱は、その箱の鍵となる…、5人の臣下に預けられた。
健が箱について話すと、有利の隣にいるグレタは創主の話しを聞き怖くなり有利にしがみつく。
「あそこに怖いの入ってるの?」
「大丈夫。鍵を使わなければ、只の箱だから。
それじゃあ、コンラッドのご先祖様も眞王と一緒に戦った人?人間なのに?」
「その頃はまだ人間も魔族に区別なく暮らしてたんだよ。だけど、強い力を持つ者達を人間が恐れ追い出した。そういう者達が集まって眞魔国が出来上がっていったんだ」
「…そうだったんだ…」
数百年前、ウェラー家は眞魔国から遠く離れた人間の国を治めていた。
その治めていた国をべラールの祖先が国を襲ったのだ。
その時の当主のウェラーの左腕が箱の鍵だった。
その鍵を狙ったべラールが襲ってきた。
だがウェラーは自ら腕を切断し、眞王へ還した。
鍵もなくなり、当主も死んだ。
だが、まだ子どもが残っていたのだ。
「アリア」
「何?」
「……大丈夫か?」
双子の隣にいるのはグウェンダルはアリアに聞いた。
「!」
さすがのグウェンダルもアリアの様子が心配だったのだ。
自分の弟が大事にしている幼馴染のアリアを。
「……平気」
心配してくれているグウェンダルに彼女は悲しそうに笑う。
「……たくさん泣いたから…。もう、大丈夫…」
「……そうか…」
哀しそうに笑うアリアを見て何も言えないグウェンダル。
しばらく経つと、有利達が歩いてくる。
「皆も来てたんだ」
有利がグウェンダルの目の前に来ると、グウェンダルはその場で方膝をつく。
「グウェンダル?」
急に方膝をついたグウェンダルを見て有利は驚く。
「無事のご帰還を心より嬉しく思う。また、この度のウェラー卿の不始末だが、愚弟にかわりお詫び申し上げる。どのような処断でも受け入れる覚悟だ」
「兄上…」
「お兄様…」
さすがのピリアーチェもヴォルフラムも驚く。
まさか彼が弟であるコンラートの為に頭を下げたからだ。
「しかし望めるものならば、どうかもうひと時の猶予を願いたい。後任を決め引継ぎをするまでは…。むろん王を守る使命を投げ出し他国へ遁走したコンラートと、またそれを未然に防げなかったわたしの罪は重いと承知している」
「ちょっと待った!あんたに責任があるなんて言ってないだろ!それに、コンラッドだって…、何か理由があるんだよ。
だって…あのコンラッドが眞魔国を、…おれと双子を裏切るわけないじゃん!きっと…なにか…」
裏切られてもコンラートを信じている有利。
その言葉を聞いた双子は安心する。
「そうだよな…」
「セルセ?」
「もし、コンラートがはじめから眞魔国を裏切るつもりだったんなら、あの時の…、20年前の戦争でルッテンベルクに行く前に逃げてたんじゃないか?」
「!」
セルセからコンラートの事を聞き有利はハッとする。
「セルセもそう思ってるのか?コンラッドが裏切るはずが無いって…」
「当たり前だろ。俺らはガキの頃から一緒だったんだし、その大事な幼馴染を簡単に信じなくなるなんて無理なんだよ。
…まぁ、俺はコンラートに一発殴んなきゃスッキリしないけどな」
「え?」
コンラートを殴るとセルセは笑っているが、目が本気である事を察知した有利。
「当たり前だろ。アイツはまたアリアを泣かしたんだ。俺の妹をな。あー、後はヨザックにも殴られんじゃないか?大事な幼馴染を泣かせたってな」
「あら?ヨザックの場合でしたら、お兄様からアリアを奪うのではなくて?」
笑っているが怒っている。
もしコンラートが戻ってきたら、大変な事になるんじゃないんだろうか。
そう思った有利だったが、セルセの話した内容にハッとなる事もあったのだ。
「あ、」
アリアを泣かした。
それを聞き、有利は隣で苦笑しているアリアを見る。
有利が自分を見ていることに気づくと苦笑する。
「帰りの船でね。久しぶりにたくさん泣いたから、すっきりしたけど」
「………」
「でも、あの時に泣いたから…、もう大丈夫。それに私もセルセも信じてるからね。
コンラートが眞魔国を裏切らないって…。私達は子どもの時に、魔族として生きるって決めたんだから。簡単には裏切らない」
「アリア…」
笑いながら話すアリアを見て有利も笑う。
「お立ちなさい、グウェンダル。陛下はこの事で誰を罰するおつもりは無いのですから…」
ギュンターが言うと方膝をずっとついていたグウェンダルはその場から立つ。
託宣の間では回収した箱が置いてある。
「‘地の果て’‘風の終わり’は、こうして眞王陛下なの元に厳重に管理されております。もはや、これらが人間に渡る事はありません」
「はー、良かった」
一安心する有利だったが、もう1つ不思議に思っていた事を尋ねる。
「でもさ、禁忌の箱って、あと3つあるんだよな?えっと~…」
「‘凍土の劫火’と‘鏡の水底’、そして‘天の儚さ’」
「そうそう。…てゆうか、…ああ!村田って、眞王と一緒にいた双黒の大賢者なんだろ。だったらこの箱が作られた時ってそこに居たんじゃ…」
「うん、居たよ。というか、あれを作らせたのは僕」
「ええ!?そうなの!?」
誰もが驚く新事実。
まさか箱を作らせたのが、双黒の大賢者だった事に驚くしかなかったのだ。
それを聞いたギュンターは1人喜んでいる。
「では伝説に残る眞王陛下と創主達の戦いは真なのですね。何という巡り合わせ!こうして、ご本人に歴史の出来事を詳細にお聞きする事が出来るとは…!」
喜んでいる彼を見て健は苦笑する。
「もう何千年も前の話しだけどね…」
「教えてくれよ、村田。あれは一体何なんだ?創主って…」
「ん~…。詳しく話すと長くなるから簡単に言うと、その時代、世界は創主という大きな力の持ち主よって滅ぼされようとしていたんだ。
創主達は強大でただ滅亡を待つだけかと思われた。
しかし、その時1人の青年が立ち上がった。
それが後に眞王と呼ばれる事になる男だ。
眞王と力有る者によって、創主達は倒された。
だけど完全に滅ぼす事は出来なかった。
そこで創主の力を5つに分け、それぞれの箱に封印した。
そしてそれぞれの箱は、その箱の鍵となる…、5人の臣下に預けられた。
健が箱について話すと、有利の隣にいるグレタは創主の話しを聞き怖くなり有利にしがみつく。
「あそこに怖いの入ってるの?」
「大丈夫。鍵を使わなければ、只の箱だから。
それじゃあ、コンラッドのご先祖様も眞王と一緒に戦った人?人間なのに?」
「その頃はまだ人間も魔族に区別なく暮らしてたんだよ。だけど、強い力を持つ者達を人間が恐れ追い出した。そういう者達が集まって眞魔国が出来上がっていったんだ」
「…そうだったんだ…」
数百年前、ウェラー家は眞魔国から遠く離れた人間の国を治めていた。
その治めていた国をべラールの祖先が国を襲ったのだ。
その時の当主のウェラーの左腕が箱の鍵だった。
その鍵を狙ったべラールが襲ってきた。
だがウェラーは自ら腕を切断し、眞王へ還した。
鍵もなくなり、当主も死んだ。
だが、まだ子どもが残っていたのだ。