天下一武道会へ
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天下一武道会。
それは、シマロン支配下の国々から選りすぐりの投手達が集い、心技体を尽くして競い合う。
4年に一度の肉体の祭典。
優勝の栄冠を得た国は、不滅の栄誉を手にし、投手には大シマロン国王ベラール陛下によって思いのままに望みの物が与えられる。
大シマロンの使いの報告を受けてから有利達は城に戻った。
「へぇ~、4年に1度の肉体の祭典か。スポーツマン魂をくすぐられるな~」
「…困った事になりましたな~…」
ベイカーはそう言うと紙を1枚出し広げる。
「どうしたの?」
その内容というと。
「第1回大会優勝大シマロン、第2回大会優勝大シマロン、第3回大会優勝大シマロン、第4回大会優勝大シマロン。…何?これ」
今までの大会全てが大シマロン優勝と書いてある事に有利は驚く。
「これまでに優勝したのは全て大シマロンなのです」
「へー、大シマロンって随分強いんだね」
有利は関心していたが、フリン達は違っていた。
「公正な試合ならそうですが、」
「天下一武道会は、大シマロンの為の大会なの」
「よくある方法だ。総主国が属国に権威を誇示する為って事だな」
「ええ。八百長試合って事ね」
双子の説明を聞いた有利は首を傾げる。
「八百長?」
「属国の選手を本国の闘技場に引きずり出して叩きのめす。総主国との力の差を、そんな形で見せつけるのよ」
「ひっでー。スポーツの祭典をそんな事に使うなんて、」
「カロリアには選手団を組む余裕も無いと知りながら、」
「足元を見てるのよ。断ればまた見返りを要求するつもりだわ」
すると有利はフリンに尋ねる。
「それ、おれも出てもいいのかな?おれ達で選手団を組むんだよ!スポーツマンシップを踏みにじる八百長試合は断固粉砕だ!」
「とんでもない!いけませんよ、陛下!」
有利の提案にすぐ否定したのはギュンターだったが、有利は笑いながら彼らに説明をする。
「まあ、聞いてよ。優勝すれば、何でも望みの物を与えられるんだろ?」
「「?」」
いったい何の事だか、双子は首を傾げる。
「だったら!」
「だったら?」
「あの箱!‘風の終わり’だよ!大シマロンにあるんだろ?優勝して、それを貰うんだよ!‘地の果て’の箱も回収したんだし、ほおっておけないだろ」
「無茶を仰らないで下さい。どんな手で潰されるか…。ああ、考えただけでも恐ろしいっ」
彼が考えた作戦を聞いたギュンターはゾッとしており、ヴォルフラムも呆れるだけだった。
「おめでたい奴だ。勝ったとしても大シマロンが箱なんかくれる訳ないだろう」
「面白いじゃない」
「!」
だが健だけは違っていた。
面白いと言う健に全員は驚く。
「健?」
「出ようよ。渋谷ならきっと箱を手に入れるささ」
「さっすが友達!分かってるなー、村田!」
健が味方になってくれた事に有利は喜んだ。
「駄目です!いかに猊下のお言葉といえど、そんな無謀な!」
「大丈夫。いいでしょ?フリンさん」
「あ、」
いきなりの事でフリンは戸惑っていたが、健は有利の肩に手を置きながらグウェンダル達を見る。
「皆、安心してよ。彼の実力は僕が一番よく知ってるからね」
「諦めるしかないんじゃない?」
「そうだな。駄目だって言っても行く気満々みたいだし」
双子にまで言われてしまい、ギュンター達は渋々了承したのだった。
こうして大シマロンに行くメンバーは有利、双子、ヴォルフラム、ヨザック、健、ダカスコスの7人になった。
「天下一武道会カロリア選手団!これより大シマロンへ出発しま――す!」
「陛下―――!!」
「うわっ!」
ギュンターは泣きながら有利に抱き着く。
「危険に赴く陛下にご一緒できないとは…っ」
「泣くなって。‘地の果て’を眞魔国に持ち帰るっていう使命があるだろ」
「王が自分で決めた事だ。謹んで見送るのが臣下の務めだぞ」
「そうですわ、ギュンター。見苦しいです」
泣いているギュンターに有利だけでなく、グウェンダルとピリアーチェも呆れていた。
するとフリンは深刻そうな表情で有利に近づき、持っていた物を手渡す。
「お願いします」
「これは?」
「天下武は国際試合だからね。戦う時は国旗を挙げるんだ」
フリンから受け取ったのは、カロリアの国旗だった。
「頼みますよ」
「君には大切なものを教えてもらった。王として、国を治める者として。約束する。君の国に恥ずかしくない戦いをしてみせる。
そして、おれの国の使命も果たす。箱を回収するのは作った魔族の使命だから。もう二度と災厄は起こさせない」
「箱は貰えんと思うが」
と、突っ込むヴォルフラムだった。
「気をつけろよ」
出向する前にグウェンダルは双子に声を掛けると、アリアは頷く。
「ええ。場所は大シマロン本国だし、色々と気をつけるわ」
ピリアーチェもまたセルセの元へ近づく。
「あたくしとギーゼラは復興作業を手伝う為に、ここに残りますわ。セルセ、ご無事で」
「心配するなって」
「………」
心配そうにしているピリアーチェにセルセは微笑みながら、彼女の頬に触れる。
「必ず戻って来るから、」
「…分かりましたわ。お気をつけて、」
「ああ」
こうして有利達は大シマロンへ向けて出港したのだった。
それは、シマロン支配下の国々から選りすぐりの投手達が集い、心技体を尽くして競い合う。
4年に一度の肉体の祭典。
優勝の栄冠を得た国は、不滅の栄誉を手にし、投手には大シマロン国王ベラール陛下によって思いのままに望みの物が与えられる。
大シマロンの使いの報告を受けてから有利達は城に戻った。
「へぇ~、4年に1度の肉体の祭典か。スポーツマン魂をくすぐられるな~」
「…困った事になりましたな~…」
ベイカーはそう言うと紙を1枚出し広げる。
「どうしたの?」
その内容というと。
「第1回大会優勝大シマロン、第2回大会優勝大シマロン、第3回大会優勝大シマロン、第4回大会優勝大シマロン。…何?これ」
今までの大会全てが大シマロン優勝と書いてある事に有利は驚く。
「これまでに優勝したのは全て大シマロンなのです」
「へー、大シマロンって随分強いんだね」
有利は関心していたが、フリン達は違っていた。
「公正な試合ならそうですが、」
「天下一武道会は、大シマロンの為の大会なの」
「よくある方法だ。総主国が属国に権威を誇示する為って事だな」
「ええ。八百長試合って事ね」
双子の説明を聞いた有利は首を傾げる。
「八百長?」
「属国の選手を本国の闘技場に引きずり出して叩きのめす。総主国との力の差を、そんな形で見せつけるのよ」
「ひっでー。スポーツの祭典をそんな事に使うなんて、」
「カロリアには選手団を組む余裕も無いと知りながら、」
「足元を見てるのよ。断ればまた見返りを要求するつもりだわ」
すると有利はフリンに尋ねる。
「それ、おれも出てもいいのかな?おれ達で選手団を組むんだよ!スポーツマンシップを踏みにじる八百長試合は断固粉砕だ!」
「とんでもない!いけませんよ、陛下!」
有利の提案にすぐ否定したのはギュンターだったが、有利は笑いながら彼らに説明をする。
「まあ、聞いてよ。優勝すれば、何でも望みの物を与えられるんだろ?」
「「?」」
いったい何の事だか、双子は首を傾げる。
「だったら!」
「だったら?」
「あの箱!‘風の終わり’だよ!大シマロンにあるんだろ?優勝して、それを貰うんだよ!‘地の果て’の箱も回収したんだし、ほおっておけないだろ」
「無茶を仰らないで下さい。どんな手で潰されるか…。ああ、考えただけでも恐ろしいっ」
彼が考えた作戦を聞いたギュンターはゾッとしており、ヴォルフラムも呆れるだけだった。
「おめでたい奴だ。勝ったとしても大シマロンが箱なんかくれる訳ないだろう」
「面白いじゃない」
「!」
だが健だけは違っていた。
面白いと言う健に全員は驚く。
「健?」
「出ようよ。渋谷ならきっと箱を手に入れるささ」
「さっすが友達!分かってるなー、村田!」
健が味方になってくれた事に有利は喜んだ。
「駄目です!いかに猊下のお言葉といえど、そんな無謀な!」
「大丈夫。いいでしょ?フリンさん」
「あ、」
いきなりの事でフリンは戸惑っていたが、健は有利の肩に手を置きながらグウェンダル達を見る。
「皆、安心してよ。彼の実力は僕が一番よく知ってるからね」
「諦めるしかないんじゃない?」
「そうだな。駄目だって言っても行く気満々みたいだし」
双子にまで言われてしまい、ギュンター達は渋々了承したのだった。
こうして大シマロンに行くメンバーは有利、双子、ヴォルフラム、ヨザック、健、ダカスコスの7人になった。
「天下一武道会カロリア選手団!これより大シマロンへ出発しま――す!」
「陛下―――!!」
「うわっ!」
ギュンターは泣きながら有利に抱き着く。
「危険に赴く陛下にご一緒できないとは…っ」
「泣くなって。‘地の果て’を眞魔国に持ち帰るっていう使命があるだろ」
「王が自分で決めた事だ。謹んで見送るのが臣下の務めだぞ」
「そうですわ、ギュンター。見苦しいです」
泣いているギュンターに有利だけでなく、グウェンダルとピリアーチェも呆れていた。
するとフリンは深刻そうな表情で有利に近づき、持っていた物を手渡す。
「お願いします」
「これは?」
「天下武は国際試合だからね。戦う時は国旗を挙げるんだ」
フリンから受け取ったのは、カロリアの国旗だった。
「頼みますよ」
「君には大切なものを教えてもらった。王として、国を治める者として。約束する。君の国に恥ずかしくない戦いをしてみせる。
そして、おれの国の使命も果たす。箱を回収するのは作った魔族の使命だから。もう二度と災厄は起こさせない」
「箱は貰えんと思うが」
と、突っ込むヴォルフラムだった。
「気をつけろよ」
出向する前にグウェンダルは双子に声を掛けると、アリアは頷く。
「ええ。場所は大シマロン本国だし、色々と気をつけるわ」
ピリアーチェもまたセルセの元へ近づく。
「あたくしとギーゼラは復興作業を手伝う為に、ここに残りますわ。セルセ、ご無事で」
「心配するなって」
「………」
心配そうにしているピリアーチェにセルセは微笑みながら、彼女の頬に触れる。
「必ず戻って来るから、」
「…分かりましたわ。お気をつけて、」
「ああ」
こうして有利達は大シマロンへ向けて出港したのだった。