生きる理由
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「(私はあの時死んだはずだった。
でも、生きてる。
そのかわり、大事な親友が私の代わりに…、死んだ)」
有利が地球に帰ってから数日が過ぎる。
双子はこの頃、腕が鈍っているからと術の稽古をしている。
「(こんな青い空を見ていると、あの時の事を思い出すな。…あの20年前の戦争を)」
アリアはふと空を見上げながら、思い出すのだった。
『…?』
『アリア、目を覚ましたのね』
『ギーゼラ…』
大シマロンとの戦の後、重症となって眞魔国へ戻って来たアリア。
彼女が気づいた場所は血盟城の医務室だった。
『私は、あの時、』
手の平を見ながら、なぜこうなっているのか思い出す。
『!?』
ガバッ
『アリア!』
『いっ つぅ…!』
『無茶よ!まだ体は癒えていないんだから!』
突然起き上がった彼女にギーゼラは驚くがアリアはぐっと彼女の腕を掴む。
『私は、あの時刺された筈!なぜ生きてるの!?』
『……』
言い難そうにしているギーゼラにアリアはなぜをもう一度聞き直した。
『…貴女が刺された時、偶然わたし達の部隊も近くにいたの』
『ジュリアの部隊が?』
『ええ。貴女が刺されて重傷だと分かり、ジュリアが…』
彼女が癒したのだ、とギーゼラは伝える。
『…それで、ジュリアは?』
ギーゼラは言い難そうになる。
『ギーゼラ、』
『……死んだわ』
『!?』
その言葉にアリアは驚きを隠せないで彼女を見る。
『ジュリアが、死んだ?どうして?』
自分と違い、彼女は魔力がある。
なぜ彼女が自分の代わりに死ななければいけないのか。
『…元々、ジュリアは多くの負傷兵を看病し続け、魔力を使い続けた。ジュリアは、もう、』
『……』
ギーゼラの目に涙を溜めている事にハッとなる。
『私の所為で死んだのね』
『それは違う!』
『違わない!私が殺したようなものでしょう!私が、私があの時、』
刺されなければ、と悔しそうになる。
だがギーゼラはそっとアリアの肩に触れる。
『…アリア、貴女は生きなければ。ジュリアの為にも』
『……』
そう言って彼女は部屋から出て行った。
『…ッ』
ギュッとシーツを掴みながら、アリアは只涙を流すしか出来なかった。
数日経った日コンラートがアリアの部屋にやって来た。
『……コンラート…』
その時に分かったのだ。
彼はアリアが生き延びた事を喜んでいないという事を。
『お前の所為でジュリアが死んだのか…』
『…っ!』
目の前で言われた言葉は、アリアを傷つけるには充分だった。
『…あ、ごめ、』
その時、何とか言えたのはその言葉だけだった。
だがコンラートはアリアの言葉も聞かず、部屋から出て行く。
その時、小さく呟いたのだ。
『…お前でなく、ジュリアが生きてれば…』
そう言って彼は部屋から出て行った。
部屋に残されたアリアは何も言えず、涙を流す事しかできなかった。
『…っ…ご、めん…ね、ジュリア……』
もう彼女の目の前は闇しかなかった。
『コンラートが?』
『ああ。眞王廟に行ったのはいいが、その後戻ってこないんだよな』
『そう』
ベッドの上で話しているアリアはふと窓の外を見る。
あまり驚いていない様子にヨザックは苦笑しながら、彼女の頭に手を置く。
『お前もあまり無理するなよ。しっかり傷を治せ。な』
『…うん』
軽く頷いた彼女を見て、彼はアリアの頭をポンポンと軽く叩いてから部屋を出て行った。
その後、傷は癒えても、心の傷が癒える事が無かったアリアは浴槽へ行く。
そして浴槽に水を溜め、自分の右手首を切ったのだ。
浴槽の水は一瞬にして赤く染まった。
『ごめんなさい…』
そう呟いた時には、彼女の意識は無くなった。
『……ん…?』
『起きたのね!アリア』
『…ギー、ゼ、ラ…?』
目を覚ますと自室のベッドの上に寝ていた事に気づいた。
ギーゼラは目に涙を溜めながら、すぐにアリアの側に駆け寄る。
『ど、して…?私…』
『セルセが貴女に用があり部屋に行ったら、浴槽で貴女が自殺を図っている事に気づいたの。
すぐ止血してわたしの所へ連れて来たのよ』
『……そう…』
あまり力が入らなかったが、なんとか体を起こし右手首を見る。
そこには包帯が巻いてあった。
『…ウェラー卿と、何かあったの?』
『…………』
『そうでなければ、貴女が自殺なんてするわけ無いわよね?』
ギーゼラにそう言われ、アリアはコンラートとの事を話した。
『……そうだったの…』
話を聞いたギーゼラは悲しそうな顔をしていた。
そしてアリアは思ったのだ。
この眞魔国で生きていきたくはない、と。
その為に自分がする事。それは。
『ギーゼラ、私は眞魔国を出て行く』
『アリア?』
『もう、ここにはいられない』
出て行くと言う彼女に驚き、ギーゼラはアリアの手を握る。
『お願い、この事は誰にも言わないで』
『セルセにも?ウェラー卿にも?』
尋ねられたアリアはふっと窓の外を見る。
『……言わないで。私、今何のために生きればいいのか、分からない』
『…アリア…』
その様子を見ていたギーゼラは何かを覚悟をする。
『なら、約束して』
『ギーゼラ?』
『いつか必ず、この眞魔国へ帰って来て。何十年経ってもいい。必ず』
『……分かった』
でも、生きてる。
そのかわり、大事な親友が私の代わりに…、死んだ)」
有利が地球に帰ってから数日が過ぎる。
双子はこの頃、腕が鈍っているからと術の稽古をしている。
「(こんな青い空を見ていると、あの時の事を思い出すな。…あの20年前の戦争を)」
アリアはふと空を見上げながら、思い出すのだった。
『…?』
『アリア、目を覚ましたのね』
『ギーゼラ…』
大シマロンとの戦の後、重症となって眞魔国へ戻って来たアリア。
彼女が気づいた場所は血盟城の医務室だった。
『私は、あの時、』
手の平を見ながら、なぜこうなっているのか思い出す。
『!?』
ガバッ
『アリア!』
『いっ つぅ…!』
『無茶よ!まだ体は癒えていないんだから!』
突然起き上がった彼女にギーゼラは驚くがアリアはぐっと彼女の腕を掴む。
『私は、あの時刺された筈!なぜ生きてるの!?』
『……』
言い難そうにしているギーゼラにアリアはなぜをもう一度聞き直した。
『…貴女が刺された時、偶然わたし達の部隊も近くにいたの』
『ジュリアの部隊が?』
『ええ。貴女が刺されて重傷だと分かり、ジュリアが…』
彼女が癒したのだ、とギーゼラは伝える。
『…それで、ジュリアは?』
ギーゼラは言い難そうになる。
『ギーゼラ、』
『……死んだわ』
『!?』
その言葉にアリアは驚きを隠せないで彼女を見る。
『ジュリアが、死んだ?どうして?』
自分と違い、彼女は魔力がある。
なぜ彼女が自分の代わりに死ななければいけないのか。
『…元々、ジュリアは多くの負傷兵を看病し続け、魔力を使い続けた。ジュリアは、もう、』
『……』
ギーゼラの目に涙を溜めている事にハッとなる。
『私の所為で死んだのね』
『それは違う!』
『違わない!私が殺したようなものでしょう!私が、私があの時、』
刺されなければ、と悔しそうになる。
だがギーゼラはそっとアリアの肩に触れる。
『…アリア、貴女は生きなければ。ジュリアの為にも』
『……』
そう言って彼女は部屋から出て行った。
『…ッ』
ギュッとシーツを掴みながら、アリアは只涙を流すしか出来なかった。
数日経った日コンラートがアリアの部屋にやって来た。
『……コンラート…』
その時に分かったのだ。
彼はアリアが生き延びた事を喜んでいないという事を。
『お前の所為でジュリアが死んだのか…』
『…っ!』
目の前で言われた言葉は、アリアを傷つけるには充分だった。
『…あ、ごめ、』
その時、何とか言えたのはその言葉だけだった。
だがコンラートはアリアの言葉も聞かず、部屋から出て行く。
その時、小さく呟いたのだ。
『…お前でなく、ジュリアが生きてれば…』
そう言って彼は部屋から出て行った。
部屋に残されたアリアは何も言えず、涙を流す事しかできなかった。
『…っ…ご、めん…ね、ジュリア……』
もう彼女の目の前は闇しかなかった。
『コンラートが?』
『ああ。眞王廟に行ったのはいいが、その後戻ってこないんだよな』
『そう』
ベッドの上で話しているアリアはふと窓の外を見る。
あまり驚いていない様子にヨザックは苦笑しながら、彼女の頭に手を置く。
『お前もあまり無理するなよ。しっかり傷を治せ。な』
『…うん』
軽く頷いた彼女を見て、彼はアリアの頭をポンポンと軽く叩いてから部屋を出て行った。
その後、傷は癒えても、心の傷が癒える事が無かったアリアは浴槽へ行く。
そして浴槽に水を溜め、自分の右手首を切ったのだ。
浴槽の水は一瞬にして赤く染まった。
『ごめんなさい…』
そう呟いた時には、彼女の意識は無くなった。
『……ん…?』
『起きたのね!アリア』
『…ギー、ゼ、ラ…?』
目を覚ますと自室のベッドの上に寝ていた事に気づいた。
ギーゼラは目に涙を溜めながら、すぐにアリアの側に駆け寄る。
『ど、して…?私…』
『セルセが貴女に用があり部屋に行ったら、浴槽で貴女が自殺を図っている事に気づいたの。
すぐ止血してわたしの所へ連れて来たのよ』
『……そう…』
あまり力が入らなかったが、なんとか体を起こし右手首を見る。
そこには包帯が巻いてあった。
『…ウェラー卿と、何かあったの?』
『…………』
『そうでなければ、貴女が自殺なんてするわけ無いわよね?』
ギーゼラにそう言われ、アリアはコンラートとの事を話した。
『……そうだったの…』
話を聞いたギーゼラは悲しそうな顔をしていた。
そしてアリアは思ったのだ。
この眞魔国で生きていきたくはない、と。
その為に自分がする事。それは。
『ギーゼラ、私は眞魔国を出て行く』
『アリア?』
『もう、ここにはいられない』
出て行くと言う彼女に驚き、ギーゼラはアリアの手を握る。
『お願い、この事は誰にも言わないで』
『セルセにも?ウェラー卿にも?』
尋ねられたアリアはふっと窓の外を見る。
『……言わないで。私、今何のために生きればいいのか、分からない』
『…アリア…』
その様子を見ていたギーゼラは何かを覚悟をする。
『なら、約束して』
『ギーゼラ?』
『いつか必ず、この眞魔国へ帰って来て。何十年経ってもいい。必ず』
『……分かった』