クマハチ
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃ、俺ら出かけるから。戻りは明日になると思う」
「あとはよろしくね、リュイ」
「分かりました」
双子に頼まれたリュイはビシッと敬礼をすると、双子は血盟城から出かけた。
ある場所へ向かいながらアリアは少し不安に思う。
「でも、大丈夫かな?」
「何がだ?」
「だって、親衛軍の隊長副隊長がいなくなっちゃったりして、」
「そんなの今更だろ。ユーリの付き合いで出かける事なんて度々あったんだし、大丈夫だろ?」
「確かにそうだけどね」
セルセの説明にアリアは納得するしかなかった。
「それにさ、」
「?」
「久しぶりだろ、叔父様と叔母様に会うのは」
叔父叔母、と言われるとアリアはどこか嬉しそうに微笑む。
「そうね」
「双子~~~~vv」
「エレナ叔母様、」
「お久しぶりです」
とある城に到着すると、水色の髪の毛、紫の瞳を持つ女性が双子を抱きしめた。
「アリア!良かったわ、眞魔国に戻って来てくれて!心配してたのよ」
エレナは本当に嬉しそうに微笑みながら、アリアの両頬に触れる。
「ご心配おかけして、すみませんでした」
「いいのよ。こうして無事に会えたんだから。ね?」
「…はい」
彼女は双子の父親、アスタルテ卿##セオランの妹でもあるアスタルテ卿エレナ。
双子にとっては叔母にあたるのだ。
今回、双子が彼女に会いに来たこの場所は、アスタルテ家が治める領地内の城だった。
「エインも心配してたのよ。早く顔を見せてあげてね」
「「はい」」
こうしてエレナに案内されながら、3人が向かったのは城内にある執務室だった。
コンコン
「エイン、入るわよ――」
中から返事が返ってくる前にエレナは扉を開け、中へ入って行く。
「……エレナ、返事を待つって事は知らないの?」
「何よ今更。何年の付き合いよ」
「そうだけどさ。…あ、双子」
唯我独尊と言うべきなのか、エレナに呆れていた執務室にいた彼は彼女の後ろにいる双子を見つける。
彼は嬉しそうに笑い、椅子から立ち上がり双子の元へ行く。
「アリア、良かった。本当に戻って来てくれたんだね」
「叔父様にも、本当にご心配をおかけしました」
側に来た彼にアリアは真剣な表情で謝ると、エインはニッコリと微笑む。
「いいんだよ。元々、あの戦争を引き起こしたシュトッフェルの所為でもあるんだから」
「……」
「それでも、戻って来てくれて、本当に嬉しいよ」
「…はい」
彼はエレナの双子の弟であり、このアスタルテ家の現当主でもあるアスタルテ卿エイン。
双子にとっては叔父でもある。
4人は執務室から出ると、客室へと赴いた。
「で、新しい魔王陛下はどんな方なの?」
エレナは前々から思っていた事を双子に尋ねる。
「どんな、とは?」
「噂で聞いた話だと、だいぶ破天荒な方だと聞いたわ。部下に任せず、魔剣や魔笛までも自分で手に入れたとか」
他の一族から聞いた噂が本当なのか、それが知りたいのだ。
セルセは肩を竦めながら、でもどこか面白そうに笑う。
「ま、確かにそうですね。自分も一緒にやろうとするのが、ユーリの性格ですかね」
「でも、それが有利の良い所でもあるんですよ。そんな彼だから、私達も協力しようと思うんです」
「「……」」
魔王でもある有利の事を笑顔で話す双子を見て、エレナもエインも内心驚く。
「…良い方なんだね、魔王陛下は」
そんな双子を見てエインはポツリと呟いた。
「はい。まだまだ慣れない事も多いですが、眞魔国の事をちゃんと考えてくれてます」
「だから、もう少し親衛軍の隊長副隊長も頑張ってみようと思ってますよ」
「そう。なら、今度はその陛下も一緒に遊びに来てよ。久しぶりにグウェンダルやコンラート達にも会いたいし、」
ね、とエレナも笑いながら隣に座っているエインを見る。
「そうだね。ぜひ、陛下にお会いしてみたいね」
こうして4人は久しぶりに会ったという事で、ここ最近の近況報告をして盛り上がっていた。
双子を寝室に案内したあと、エレナとエインは安心したように微笑んでいた。
「良かったわ。双子が幸せそうで」
「…そうだね」
「あの戦争の時、本当に悔やんだの。もっとわたし達に力があれば、あんな戦争に双子を行かせなかったのに…」
自分達にとって大切な甥と姪。
しっかりと守りたかった筈なのに、シュトッフェルの強行に反対できなかった。
「うん。でも、今の陛下はお優しい方なんだね。あの2人が嬉しそうに話すんだもん」
「そうね。わたしもいつか会いたいわ」
そう話していたのだった。
そして翌日、双子はエレナとエインに挨拶をしてから血盟城へ戻って行った。
その帰り途中、人間が住んでいる町に行っていたコンラートと合流した。
「どうだったんだ?アスタルテのお2人は?」
何度か会った事があるコンラートは双子にエレナとエインの様子を聞いた。
「ま、いつも通りかな」
「私は色々と心配かけてたから、」
「そうか」
「今度やユーリに会いたいって言ってたぞ」
3人は話しながら血盟城に到着したのだが。
「陛下とヴォルフラムが?」
「はい」
「何してんだか」
戻って来たのはいいが、出迎えた兵の話では有利とヴォルフラムがいないらしい。
何かに気づいたコンラートは歩き出す。
「閣下?」
「ああ、ちょっと手伝ってくれ。何、心配はいらないよ」
「「?」」
いったい何だろうと双子は首を傾げながら、彼の後を追いかけて行った。
「ここって、」
「迎賓棟」
ボロボロになっている迎賓棟へ着くと、その中へ入って行く。
そして穴が開いており覗いてみると、そこには有利とヴォルフラム、そして絶滅危惧種でもあるクマハチが飛んでいた。
無事に2人を見つけたという事で、クマハチと共に迎賓棟から外へ出る。
「迎賓棟にクマハチが産卵したので、狙われない様、人を食う怪物という事にして隠していたんです。
ところが親が息絶えてしまったようで、陛下とヴォルフラムはその親と間違えられたんですよ」
「親と?」
「ヴォル愛用の高級絵の具は、クマハチの糞から採取されてるやつなんだよ」
「そうだったのか」
「陛下――――!!」
「「「「「?」」」」」
するとギュンターの絶叫する声が聞こえ、振り返ると同時に彼は有利に抱き着く。
「よくぞご無事で!」
「ギュ、ギュンターっ 息ができない!」
抱きしめられている有利は苦しそうにしていたが、ふと思い出したのか、コンラートの方を見る。
「それにしてもコンラッド、どうしておれ達があそこにいるって?」
「陛下とヴォルフラムの事なら、検討がつきますよ。いつも側にいるんですから」
すると有利の側に立っていた巨大なクマハチは手を振りながら飛び立つ。
『ノギス、ノギス、ノギス!』
後ろには小さなクマハチ達を連れて空へ飛んで行った。
「クマハチ達が旅立っていく」
「元気でな―-―!」
彼らに手を振った後、有利は嬉しそうにヴォルフラムの方へ振り返る。
「ヴォルフラム、良かったな!迎賓棟が空いて!お前にピッタリな部屋が、」
「来年も待ってるぞ――!」
「え?」
いったい何の事だか分からない有利。
「クマハチは1年間気候の良い土地を巡った後、同じ場所で卵を産むのよ?」
「って事で、必ず戻って来るぞ。ここには両親がいるんだしな」
「って事は、迎賓棟は…?」
双子の説明に有利は悲しそうな表情になる。
「空けておかねばなりません」
「そ、そんな…っ」
ショックを受けている有利とは反対にヴォルフラムは笑顔。
「絆を深めておかなくてはな。帰って来る子の為に」
「おれの1人部屋…、1人部屋の夢が…」
「ア―――…」
呆れるモルギフ。そして。
「ノギス――――――!!!!」
血盟城に有利の叫び声が響きました。
next
(re:2015/11/09,2024/07/03)
「あとはよろしくね、リュイ」
「分かりました」
双子に頼まれたリュイはビシッと敬礼をすると、双子は血盟城から出かけた。
ある場所へ向かいながらアリアは少し不安に思う。
「でも、大丈夫かな?」
「何がだ?」
「だって、親衛軍の隊長副隊長がいなくなっちゃったりして、」
「そんなの今更だろ。ユーリの付き合いで出かける事なんて度々あったんだし、大丈夫だろ?」
「確かにそうだけどね」
セルセの説明にアリアは納得するしかなかった。
「それにさ、」
「?」
「久しぶりだろ、叔父様と叔母様に会うのは」
叔父叔母、と言われるとアリアはどこか嬉しそうに微笑む。
「そうね」
「双子~~~~vv」
「エレナ叔母様、」
「お久しぶりです」
とある城に到着すると、水色の髪の毛、紫の瞳を持つ女性が双子を抱きしめた。
「アリア!良かったわ、眞魔国に戻って来てくれて!心配してたのよ」
エレナは本当に嬉しそうに微笑みながら、アリアの両頬に触れる。
「ご心配おかけして、すみませんでした」
「いいのよ。こうして無事に会えたんだから。ね?」
「…はい」
彼女は双子の父親、アスタルテ卿##セオランの妹でもあるアスタルテ卿エレナ。
双子にとっては叔母にあたるのだ。
今回、双子が彼女に会いに来たこの場所は、アスタルテ家が治める領地内の城だった。
「エインも心配してたのよ。早く顔を見せてあげてね」
「「はい」」
こうしてエレナに案内されながら、3人が向かったのは城内にある執務室だった。
コンコン
「エイン、入るわよ――」
中から返事が返ってくる前にエレナは扉を開け、中へ入って行く。
「……エレナ、返事を待つって事は知らないの?」
「何よ今更。何年の付き合いよ」
「そうだけどさ。…あ、双子」
唯我独尊と言うべきなのか、エレナに呆れていた執務室にいた彼は彼女の後ろにいる双子を見つける。
彼は嬉しそうに笑い、椅子から立ち上がり双子の元へ行く。
「アリア、良かった。本当に戻って来てくれたんだね」
「叔父様にも、本当にご心配をおかけしました」
側に来た彼にアリアは真剣な表情で謝ると、エインはニッコリと微笑む。
「いいんだよ。元々、あの戦争を引き起こしたシュトッフェルの所為でもあるんだから」
「……」
「それでも、戻って来てくれて、本当に嬉しいよ」
「…はい」
彼はエレナの双子の弟であり、このアスタルテ家の現当主でもあるアスタルテ卿エイン。
双子にとっては叔父でもある。
4人は執務室から出ると、客室へと赴いた。
「で、新しい魔王陛下はどんな方なの?」
エレナは前々から思っていた事を双子に尋ねる。
「どんな、とは?」
「噂で聞いた話だと、だいぶ破天荒な方だと聞いたわ。部下に任せず、魔剣や魔笛までも自分で手に入れたとか」
他の一族から聞いた噂が本当なのか、それが知りたいのだ。
セルセは肩を竦めながら、でもどこか面白そうに笑う。
「ま、確かにそうですね。自分も一緒にやろうとするのが、ユーリの性格ですかね」
「でも、それが有利の良い所でもあるんですよ。そんな彼だから、私達も協力しようと思うんです」
「「……」」
魔王でもある有利の事を笑顔で話す双子を見て、エレナもエインも内心驚く。
「…良い方なんだね、魔王陛下は」
そんな双子を見てエインはポツリと呟いた。
「はい。まだまだ慣れない事も多いですが、眞魔国の事をちゃんと考えてくれてます」
「だから、もう少し親衛軍の隊長副隊長も頑張ってみようと思ってますよ」
「そう。なら、今度はその陛下も一緒に遊びに来てよ。久しぶりにグウェンダルやコンラート達にも会いたいし、」
ね、とエレナも笑いながら隣に座っているエインを見る。
「そうだね。ぜひ、陛下にお会いしてみたいね」
こうして4人は久しぶりに会ったという事で、ここ最近の近況報告をして盛り上がっていた。
双子を寝室に案内したあと、エレナとエインは安心したように微笑んでいた。
「良かったわ。双子が幸せそうで」
「…そうだね」
「あの戦争の時、本当に悔やんだの。もっとわたし達に力があれば、あんな戦争に双子を行かせなかったのに…」
自分達にとって大切な甥と姪。
しっかりと守りたかった筈なのに、シュトッフェルの強行に反対できなかった。
「うん。でも、今の陛下はお優しい方なんだね。あの2人が嬉しそうに話すんだもん」
「そうね。わたしもいつか会いたいわ」
そう話していたのだった。
そして翌日、双子はエレナとエインに挨拶をしてから血盟城へ戻って行った。
その帰り途中、人間が住んでいる町に行っていたコンラートと合流した。
「どうだったんだ?アスタルテのお2人は?」
何度か会った事があるコンラートは双子にエレナとエインの様子を聞いた。
「ま、いつも通りかな」
「私は色々と心配かけてたから、」
「そうか」
「今度やユーリに会いたいって言ってたぞ」
3人は話しながら血盟城に到着したのだが。
「陛下とヴォルフラムが?」
「はい」
「何してんだか」
戻って来たのはいいが、出迎えた兵の話では有利とヴォルフラムがいないらしい。
何かに気づいたコンラートは歩き出す。
「閣下?」
「ああ、ちょっと手伝ってくれ。何、心配はいらないよ」
「「?」」
いったい何だろうと双子は首を傾げながら、彼の後を追いかけて行った。
「ここって、」
「迎賓棟」
ボロボロになっている迎賓棟へ着くと、その中へ入って行く。
そして穴が開いており覗いてみると、そこには有利とヴォルフラム、そして絶滅危惧種でもあるクマハチが飛んでいた。
無事に2人を見つけたという事で、クマハチと共に迎賓棟から外へ出る。
「迎賓棟にクマハチが産卵したので、狙われない様、人を食う怪物という事にして隠していたんです。
ところが親が息絶えてしまったようで、陛下とヴォルフラムはその親と間違えられたんですよ」
「親と?」
「ヴォル愛用の高級絵の具は、クマハチの糞から採取されてるやつなんだよ」
「そうだったのか」
「陛下――――!!」
「「「「「?」」」」」
するとギュンターの絶叫する声が聞こえ、振り返ると同時に彼は有利に抱き着く。
「よくぞご無事で!」
「ギュ、ギュンターっ 息ができない!」
抱きしめられている有利は苦しそうにしていたが、ふと思い出したのか、コンラートの方を見る。
「それにしてもコンラッド、どうしておれ達があそこにいるって?」
「陛下とヴォルフラムの事なら、検討がつきますよ。いつも側にいるんですから」
すると有利の側に立っていた巨大なクマハチは手を振りながら飛び立つ。
『ノギス、ノギス、ノギス!』
後ろには小さなクマハチ達を連れて空へ飛んで行った。
「クマハチ達が旅立っていく」
「元気でな―-―!」
彼らに手を振った後、有利は嬉しそうにヴォルフラムの方へ振り返る。
「ヴォルフラム、良かったな!迎賓棟が空いて!お前にピッタリな部屋が、」
「来年も待ってるぞ――!」
「え?」
いったい何の事だか分からない有利。
「クマハチは1年間気候の良い土地を巡った後、同じ場所で卵を産むのよ?」
「って事で、必ず戻って来るぞ。ここには両親がいるんだしな」
「って事は、迎賓棟は…?」
双子の説明に有利は悲しそうな表情になる。
「空けておかねばなりません」
「そ、そんな…っ」
ショックを受けている有利とは反対にヴォルフラムは笑顔。
「絆を深めておかなくてはな。帰って来る子の為に」
「おれの1人部屋…、1人部屋の夢が…」
「ア―――…」
呆れるモルギフ。そして。
「ノギス――――――!!!!」
血盟城に有利の叫び声が響きました。
next
(re:2015/11/09,2024/07/03)