運命の分かれ道
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「いいのですの?コンラートお兄様達と一緒に陛下を迎えに行かなくても…」
「いいよ。そんな大勢で行ってもしょうがないし。
それに私は一応副隊長だし、隊長であるセルセが行けば問題無いでしょう?」
アリアの話にピリアーチェは頷くだけだった。
「あとは面倒だしね」
「…え?」
ぼそりと呟くアリアにピリアーチェはキョトンとなる。
アリアとピリアーチェは今、アニシナの兄が治めている領地でもあるフォンカーヴェルニコフ領のお城に来ている。
「そういえば、グウェンは?」
「お兄様なら向こうで探索隊の指揮をしておりますわ」
そう言って彼女が指さした先に、グウェンダルは探索隊に色々と命令をしていたのだ。
「また面倒な事になって、」
そう言いながら溜息をつくアリア。
どうやら、また新しい事件が起きたらしいのだ。
その頃のセルセはというと。
「陛下――――!!」
有利を迎えに大海原を遊覧船の様な船でギュンター、コンラート、ヴォルフラムと共に迎えに行っていた。
「助けて―――!!」
「ユーリの声だ」
遠くから有利の助けて、という声が聞こえてくる。
不思議に思いながらも有利を見ると、彼はサメに追われながら泳いで逃げていたのだ。
「そこサメ!魚の分際で気安く陛下に触るとは何事ですか?」
するとサメは何もせずに、有利達の側から離れて行った。
その間にコンラートに無事に助けてもらった有利は安心しながら大きく息を吐く。
「ハア、助かった~…。危うく食われるところだった」
「怯えなくても大丈夫ですよ。サメは基本的にベジタリアンですから」
「…へぇ~、そうなんだ~…。この世界の生き物事情って、」
またしても自分の世界と、この世界の違いに何も言えなくなる。
「ん?」
ぐいぃっ
「いたたたっ」
すると有利の頬を、いきなりヴォルフラムは抓ったのだ。
「手をお放しなさい、ヴォルフラム!陛下の綺麗なお顔に痕でも残ったら承知しませんよ!?」
「どうやら本物のようだな」
「ん?本物?」
いったい何の事だか分からない有利は首を傾げるだけだった。
そして彼らは無事に近くの城へ戻った。
「陛下、濡れたお召し物はわたくしが責任を持って管理致します」
「そんで、本物が何だって?」
城に到着してから有利は濡れた服から、いつもの眞魔国での服装に着替えた後に船で言っていた事を尋ねた。
「実は、ユーリの名前を使っている奴がいるんだよ」
「え?渋谷有利原宿不利だって?」
「そんなに詳しくは言ってないよ」
セルセは苦笑するだけだったが、ギュンターは真剣な顔で説明を始める。
「我が国の南に位置する、コナンシアスヴェレラで捕らえられた咎人が、魔王陛下だなどとふざけた噂が流れておりまして」
「捕らえられたって、おれのソックリさん、どんな凶悪犯罪やらかしたの?」
「無銭飲食、らしいですよ」
理由を聞いて有利はがっくりを肩を落とす。
「なんだよー。どうせなら、もっとカッコいい罪で捕らえられてくれよー」
「我々としても、そんな筈はないと取り合わずにおりましたが、その偽物は魔王にしか使いこなせない魔族の至宝、魔笛を所持していたらしいのです」
「魔笛?」
「父上からお聞きした話だが、それはもう素晴らしい音色だという事だ。楽しみだな。ユーリの笛の腕前も」
「おれが吹くの?」
有利は苦笑しながら手をぶんぶんと振る。
「無理だって。縦笛でチャルメラなら吹けるけど」
「魔笛は200年ばかり前に持ち出され、行方が分からなくなっていたのです。しかし、あのモルギフまで手にされた陛下ならば、もしやと」
「へ?」
どういう事?と首を傾げていると、コンラートは微笑みながら話し出す。
「俺達の知らない内に、陛下がこちらの世界に着かれていたという可能性もありますからね。そこで改めてお呼びしたところ、」
「あぁ、おれはバンドウ君と握手しながら、こっちの世界へ、うぐぃっ!」
すると突然背後から腕が伸びて来た。
「バンドウ君とは誰だ!?お前また新たな男と!」
「『また』って何だよ!バンドウ君はイルカ、イルカ!」
『バンドウ君』という名前を聞いたヴォルフラムは怒りながら有利の首を絞めていた。
だがセルセ達はそんな様子にも気にせず、どこかホッとしていた。
「とにかく、ユーリが無事で良かったな」
「無事じゃない~~~っ!」
今にもヴォルフラムによって命の危険があった有利は叫んでいたが、ギュンターは魔笛について考えていた。
「後は魔笛ですね。しかし、処刑される罪人の持ち物を、慈悲深く棺桶に入れてくれるかどうか、」
「え?おれのソックリさん、食い逃げしただけだろ?なのに殺されちゃうの!?」
「どうなさいますか?陛下」
コンラートの問い掛けに、有利は真剣な表情になる。
「助けるに決まってる!」
「えぇ!?」
行くと言う有利にギュンターは驚くが、セルセとコンラートは微笑む。
「そう言うと思ってた」
「馬の準備は出来ています」
「ユーリが行くなら僕も行く」
「よし!行こう!」
こうして有利達はそのソックリさんを助けに行く事にしたのでした。
「いいよ。そんな大勢で行ってもしょうがないし。
それに私は一応副隊長だし、隊長であるセルセが行けば問題無いでしょう?」
アリアの話にピリアーチェは頷くだけだった。
「あとは面倒だしね」
「…え?」
ぼそりと呟くアリアにピリアーチェはキョトンとなる。
アリアとピリアーチェは今、アニシナの兄が治めている領地でもあるフォンカーヴェルニコフ領のお城に来ている。
「そういえば、グウェンは?」
「お兄様なら向こうで探索隊の指揮をしておりますわ」
そう言って彼女が指さした先に、グウェンダルは探索隊に色々と命令をしていたのだ。
「また面倒な事になって、」
そう言いながら溜息をつくアリア。
どうやら、また新しい事件が起きたらしいのだ。
その頃のセルセはというと。
「陛下――――!!」
有利を迎えに大海原を遊覧船の様な船でギュンター、コンラート、ヴォルフラムと共に迎えに行っていた。
「助けて―――!!」
「ユーリの声だ」
遠くから有利の助けて、という声が聞こえてくる。
不思議に思いながらも有利を見ると、彼はサメに追われながら泳いで逃げていたのだ。
「そこサメ!魚の分際で気安く陛下に触るとは何事ですか?」
するとサメは何もせずに、有利達の側から離れて行った。
その間にコンラートに無事に助けてもらった有利は安心しながら大きく息を吐く。
「ハア、助かった~…。危うく食われるところだった」
「怯えなくても大丈夫ですよ。サメは基本的にベジタリアンですから」
「…へぇ~、そうなんだ~…。この世界の生き物事情って、」
またしても自分の世界と、この世界の違いに何も言えなくなる。
「ん?」
ぐいぃっ
「いたたたっ」
すると有利の頬を、いきなりヴォルフラムは抓ったのだ。
「手をお放しなさい、ヴォルフラム!陛下の綺麗なお顔に痕でも残ったら承知しませんよ!?」
「どうやら本物のようだな」
「ん?本物?」
いったい何の事だか分からない有利は首を傾げるだけだった。
そして彼らは無事に近くの城へ戻った。
「陛下、濡れたお召し物はわたくしが責任を持って管理致します」
「そんで、本物が何だって?」
城に到着してから有利は濡れた服から、いつもの眞魔国での服装に着替えた後に船で言っていた事を尋ねた。
「実は、ユーリの名前を使っている奴がいるんだよ」
「え?渋谷有利原宿不利だって?」
「そんなに詳しくは言ってないよ」
セルセは苦笑するだけだったが、ギュンターは真剣な顔で説明を始める。
「我が国の南に位置する、コナンシアスヴェレラで捕らえられた咎人が、魔王陛下だなどとふざけた噂が流れておりまして」
「捕らえられたって、おれのソックリさん、どんな凶悪犯罪やらかしたの?」
「無銭飲食、らしいですよ」
理由を聞いて有利はがっくりを肩を落とす。
「なんだよー。どうせなら、もっとカッコいい罪で捕らえられてくれよー」
「我々としても、そんな筈はないと取り合わずにおりましたが、その偽物は魔王にしか使いこなせない魔族の至宝、魔笛を所持していたらしいのです」
「魔笛?」
「父上からお聞きした話だが、それはもう素晴らしい音色だという事だ。楽しみだな。ユーリの笛の腕前も」
「おれが吹くの?」
有利は苦笑しながら手をぶんぶんと振る。
「無理だって。縦笛でチャルメラなら吹けるけど」
「魔笛は200年ばかり前に持ち出され、行方が分からなくなっていたのです。しかし、あのモルギフまで手にされた陛下ならば、もしやと」
「へ?」
どういう事?と首を傾げていると、コンラートは微笑みながら話し出す。
「俺達の知らない内に、陛下がこちらの世界に着かれていたという可能性もありますからね。そこで改めてお呼びしたところ、」
「あぁ、おれはバンドウ君と握手しながら、こっちの世界へ、うぐぃっ!」
すると突然背後から腕が伸びて来た。
「バンドウ君とは誰だ!?お前また新たな男と!」
「『また』って何だよ!バンドウ君はイルカ、イルカ!」
『バンドウ君』という名前を聞いたヴォルフラムは怒りながら有利の首を絞めていた。
だがセルセ達はそんな様子にも気にせず、どこかホッとしていた。
「とにかく、ユーリが無事で良かったな」
「無事じゃない~~~っ!」
今にもヴォルフラムによって命の危険があった有利は叫んでいたが、ギュンターは魔笛について考えていた。
「後は魔笛ですね。しかし、処刑される罪人の持ち物を、慈悲深く棺桶に入れてくれるかどうか、」
「え?おれのソックリさん、食い逃げしただけだろ?なのに殺されちゃうの!?」
「どうなさいますか?陛下」
コンラートの問い掛けに、有利は真剣な表情になる。
「助けるに決まってる!」
「えぇ!?」
行くと言う有利にギュンターは驚くが、セルセとコンラートは微笑む。
「そう言うと思ってた」
「馬の準備は出来ています」
「ユーリが行くなら僕も行く」
「よし!行こう!」
こうして有利達はそのソックリさんを助けに行く事にしたのでした。