迫り来る敵
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有利達は丘の上から、ある町を見ていた。
「へ~、ここがそうなの?」
「それらしい男達が、この町に滞在していたそうです」
「こんなにぎやかな場所に?」
予想もしてしなかった町の雰囲気に、ヴォルフラムが不思議そうに呟いた。
「こういう場所の方が目立たないのかもね?じゃ、さっそく調査開始!」
そう言って町での捜査を開始した一行なのでした。
「そういや、こうやって他の町に出るのは初めてだー。なんか活気があっていいね~!」
初めての町に興奮気味の有利だったが、少し離れた場所から聞こえてくる声に『?』と首を傾げる。
「はいはいはい!らっしゃい、らっしゃい!眞魔国名物、魔王飴!一粒で魔力全開!」
「これで君も今日から魔王だー!魔王変身セット!お子さんのお土産にどうですか?」
「魔王饅頭、いかがっすかー?」
「魔王パンだよー!焼きたてだよー!」
と、色々と売っていた為に試しに買ってみる事にした。
「なーんだ、黒糖が入ってるだけじゃないか…」
「魔王飴も只の黒飴だな」
「魔王饅頭も中には黒餡が入ってるだけよ」
黒いだけかよ、と突っこむしかなかった。
「こういうのって、よくわからないんだけど、無許可の海賊商品というかなんというか、いいの?」
「ま、大目に見ましょう?皆、新しい魔王陛下を迎えられて喜んでいるんですから」
その言葉に有利は『え?』と思う。
「俺は町の人に少し話を聞いてきますから、ここでちょっと待っていて下さい」
「うん」
コンラートがその場から去って行くと、4人の背後から子どもの声が聞こえてくる。
「ユーリだぞー!」
「「「「?」」」」
有利の名前に不思議に思いながら4人は振り返る。
「我こそは第27代魔王シブヤユーリなり!悪人ども、覚悟せ――い!」
「ちょっと、君達…?」
魔王の恰好をしている子どもと、その友達が有利達の周りをぐるぐるしながら遊んでいた。
ぐいっ
「う、うわっ」
ぐるぐる回っていた子どもの1人が有利の服を掴んで引っ張った為、有利は後ろへと倒れてしまったのだ。
「イテテテ、」
「よ――し!モルギフ!必殺奥義!」
ガツン
「ぐぅっ!!」
すると魔王の恰好をしている子が、持っていたモルギフで有利の頭を叩いたのだった。
そして笑いながら去って行く子ども達。
「大丈夫か?ユーリ」
「っつ~、何とか」
そう言いながら立ったが、ヴォルフラムは笑う。
「本物がお前みたいなへなちょこだと知ったら、あいつ等どう思うかな?」
「へ、へなちょこ言うなぁ~!」
そんな風に話していたら、コンラートが戻って来た。
「賊が、この町にいたのは間違いないようですね。怪しい男達を見かけたと言う者が、何人かいました」
「そう」
返事をした有利は町の人と仲がいいコンラートに感心している。
「コンラッドって町の人とも仲がいいんだね」
「……ああ。そうだな」
そう肯定したヴォルフラムだったが、彼は素っ気無い表情で先に歩き出したのだ。
一応休憩という事で喫茶店へ入った彼らだった。
「もう少し、話を聞いてきます。陛下はここで休んでいてください」
「だったら俺達も行くか」
コンラートが立ち上がり、同じように双子も立ち上がる。
「え?何でだよ?3人じゃ大変だろ?おれも行くって」
「いえ、大勢で行っても人々を警戒させるだけですから。それに、まだ賊が近くに潜んでいるかもしれません。陛下を危険な目に遭わせる訳にはいかないでしょう?」
「せっかく出て来たのに、あんまり役に立ってないって感じ?おれ」
「そんな事ないですよ。いざという時は、頼りにしてます」
「…抑えの切り札って事か。なんか納得できないけど、ま、そういう事にしておこう」
一応納得した、という事でもう一度椅子に深く座り直した有利にコンラート達も笑っていたが、真剣な顔でヴォルフラムを見る。
「ヴォルフラム、陛下を頼んだぞ」
「……ああ」
今までよりも小さな声で返事をした。
「じゃ、また後程」
「またあとでね」
「うん。気をつけてな」
「じゃーな」
そう言って3人は喫茶店から出て行き、賊の情報を聞きに行く。
コンラートの後ろでセルセはアリアに話しかけた。
「…シュトッフェルは、俺達の術を知っていると思うか?」
「…知らないと思うけど。でも、もしかしたら、昨日賊に対して使った術をシュトッフェルに言ってたら、知られちゃってるんじゃない?」
「……。魔術とは別モンだし、他の人間は慣れてない攻撃だもんな。戦争をしたがるアイツにとって詳しく知りたがる物でもあるって事か」
「その可能性は捨てられないね」
そして。
その頃の血盟城では、アニシナの実験中でした。
何度か失敗した後、諦めるものかと思ったギュンターは最後の頼みを真剣な顔でグウェンダルに頼んでいた。
「これだけ頼んでも?」
「断る!返事は断じて否だ!」
「眞魔国最高の魔力と、このわたくしの超!最高の頭脳が作りあげた魔動機械が、ことごとく失敗した今、残された手段は只一つ」
アニシナがそう言うと、グウェンダルは…。
「だから嫌だと言っている!何故、何故私がギュンターに口付けしなければならんのだ!?」
「ギュンターにではありません!!ギュンターにパックリはまった輪っかにです!」
「同じ事だ!!」
2人の会話を聞きながらピリアーチェは呆れている。
「…可哀相なお兄様」
などと言っている。
グウェンダルは付き合いきれないと言って部屋から出て行こうとする。
だが先にギュンターがグウェンダルの前に先回りをした。
「なれば、どうあっても…!」
「くどい!!」
「くどい」
「あっ」
いきなりアニシナはグウェンダルの背中を押す。
その拍子にグウェンダルはそのままギュンターへ行き、ギュンターの頭にはまっている輪っかにキスをした。
その瞬間ワッカが光輝き見事に外れたのだ。
「この手の呪いは口づけによって解けるものと、伝説の時代から決まっているとは言え、」
「何という、何という…、いい加減な…っ」
そう呟いたグウェンダルだった。
「へ~、ここがそうなの?」
「それらしい男達が、この町に滞在していたそうです」
「こんなにぎやかな場所に?」
予想もしてしなかった町の雰囲気に、ヴォルフラムが不思議そうに呟いた。
「こういう場所の方が目立たないのかもね?じゃ、さっそく調査開始!」
そう言って町での捜査を開始した一行なのでした。
「そういや、こうやって他の町に出るのは初めてだー。なんか活気があっていいね~!」
初めての町に興奮気味の有利だったが、少し離れた場所から聞こえてくる声に『?』と首を傾げる。
「はいはいはい!らっしゃい、らっしゃい!眞魔国名物、魔王飴!一粒で魔力全開!」
「これで君も今日から魔王だー!魔王変身セット!お子さんのお土産にどうですか?」
「魔王饅頭、いかがっすかー?」
「魔王パンだよー!焼きたてだよー!」
と、色々と売っていた為に試しに買ってみる事にした。
「なーんだ、黒糖が入ってるだけじゃないか…」
「魔王飴も只の黒飴だな」
「魔王饅頭も中には黒餡が入ってるだけよ」
黒いだけかよ、と突っこむしかなかった。
「こういうのって、よくわからないんだけど、無許可の海賊商品というかなんというか、いいの?」
「ま、大目に見ましょう?皆、新しい魔王陛下を迎えられて喜んでいるんですから」
その言葉に有利は『え?』と思う。
「俺は町の人に少し話を聞いてきますから、ここでちょっと待っていて下さい」
「うん」
コンラートがその場から去って行くと、4人の背後から子どもの声が聞こえてくる。
「ユーリだぞー!」
「「「「?」」」」
有利の名前に不思議に思いながら4人は振り返る。
「我こそは第27代魔王シブヤユーリなり!悪人ども、覚悟せ――い!」
「ちょっと、君達…?」
魔王の恰好をしている子どもと、その友達が有利達の周りをぐるぐるしながら遊んでいた。
ぐいっ
「う、うわっ」
ぐるぐる回っていた子どもの1人が有利の服を掴んで引っ張った為、有利は後ろへと倒れてしまったのだ。
「イテテテ、」
「よ――し!モルギフ!必殺奥義!」
ガツン
「ぐぅっ!!」
すると魔王の恰好をしている子が、持っていたモルギフで有利の頭を叩いたのだった。
そして笑いながら去って行く子ども達。
「大丈夫か?ユーリ」
「っつ~、何とか」
そう言いながら立ったが、ヴォルフラムは笑う。
「本物がお前みたいなへなちょこだと知ったら、あいつ等どう思うかな?」
「へ、へなちょこ言うなぁ~!」
そんな風に話していたら、コンラートが戻って来た。
「賊が、この町にいたのは間違いないようですね。怪しい男達を見かけたと言う者が、何人かいました」
「そう」
返事をした有利は町の人と仲がいいコンラートに感心している。
「コンラッドって町の人とも仲がいいんだね」
「……ああ。そうだな」
そう肯定したヴォルフラムだったが、彼は素っ気無い表情で先に歩き出したのだ。
一応休憩という事で喫茶店へ入った彼らだった。
「もう少し、話を聞いてきます。陛下はここで休んでいてください」
「だったら俺達も行くか」
コンラートが立ち上がり、同じように双子も立ち上がる。
「え?何でだよ?3人じゃ大変だろ?おれも行くって」
「いえ、大勢で行っても人々を警戒させるだけですから。それに、まだ賊が近くに潜んでいるかもしれません。陛下を危険な目に遭わせる訳にはいかないでしょう?」
「せっかく出て来たのに、あんまり役に立ってないって感じ?おれ」
「そんな事ないですよ。いざという時は、頼りにしてます」
「…抑えの切り札って事か。なんか納得できないけど、ま、そういう事にしておこう」
一応納得した、という事でもう一度椅子に深く座り直した有利にコンラート達も笑っていたが、真剣な顔でヴォルフラムを見る。
「ヴォルフラム、陛下を頼んだぞ」
「……ああ」
今までよりも小さな声で返事をした。
「じゃ、また後程」
「またあとでね」
「うん。気をつけてな」
「じゃーな」
そう言って3人は喫茶店から出て行き、賊の情報を聞きに行く。
コンラートの後ろでセルセはアリアに話しかけた。
「…シュトッフェルは、俺達の術を知っていると思うか?」
「…知らないと思うけど。でも、もしかしたら、昨日賊に対して使った術をシュトッフェルに言ってたら、知られちゃってるんじゃない?」
「……。魔術とは別モンだし、他の人間は慣れてない攻撃だもんな。戦争をしたがるアイツにとって詳しく知りたがる物でもあるって事か」
「その可能性は捨てられないね」
そして。
その頃の血盟城では、アニシナの実験中でした。
何度か失敗した後、諦めるものかと思ったギュンターは最後の頼みを真剣な顔でグウェンダルに頼んでいた。
「これだけ頼んでも?」
「断る!返事は断じて否だ!」
「眞魔国最高の魔力と、このわたくしの超!最高の頭脳が作りあげた魔動機械が、ことごとく失敗した今、残された手段は只一つ」
アニシナがそう言うと、グウェンダルは…。
「だから嫌だと言っている!何故、何故私がギュンターに口付けしなければならんのだ!?」
「ギュンターにではありません!!ギュンターにパックリはまった輪っかにです!」
「同じ事だ!!」
2人の会話を聞きながらピリアーチェは呆れている。
「…可哀相なお兄様」
などと言っている。
グウェンダルは付き合いきれないと言って部屋から出て行こうとする。
だが先にギュンターがグウェンダルの前に先回りをした。
「なれば、どうあっても…!」
「くどい!!」
「くどい」
「あっ」
いきなりアニシナはグウェンダルの背中を押す。
その拍子にグウェンダルはそのままギュンターへ行き、ギュンターの頭にはまっている輪っかにキスをした。
その瞬間ワッカが光輝き見事に外れたのだ。
「この手の呪いは口づけによって解けるものと、伝説の時代から決まっているとは言え、」
「何という、何という…、いい加減な…っ」
そう呟いたグウェンダルだった。