噂の魔物
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「島の乙女に恋をすりゃ、ヴァン・ダー火山も大噴火~、ともに海は渡れねど~、見上げる空に同じ月、あこりゃ、ヴァン、ヴァン、ヴァンダヴィーア、夢の島~、一度来たなら忘られぬ~」
シマロンの巡視船から脱出した##アリア達は無事にヴァン・ダー・ヴィーア島に到着したのだった。
「…その曲、もう聞き飽きた」
「巡視船の時からずーっと歌ってて、飽きないのかよ」
ボートに乗って海を渡っている時から、島に到着をして山を登っている間ですらヨザックは歌をずーっと歌っていた事に双子は呆れるだけだった。
「ハァ、ハァ、ハァ、…ったく、ありえねー。何処が夢の島だ…!」
ヨザックの歌に突っ込む有利。
「…ヴォル、大丈夫?目が死んでるけど」
アリアがヴォルフラムを心配していると、少し先を見てきたヨザっクが呼んでいた。
「お~い!そこに休憩場があるよ~ん!」
「ヴォル、聞こえた?もう少しで休憩場だから頑張ってよ」
休憩所があると聞き、有利はどこかホッとしたのだ。
何とか休憩所に到着した彼らはお茶とお菓子を注文をする。
「は~…。煎茶にみたらし団子って訳にはいかないか…」
「ここは日本じゃないんだから、仕方ないわよ」
「そうだけどさ…」
お茶を飲みながら愚痴を零す有利にアリアは苦笑する。
休憩という事もあり、双子やコンラート、ヨザック達もお茶を飲んでいたのだが。
「……ハァ―――…」
「ヴォル、ホントに大丈夫?」
「駄目だと思うな~。目が死んでるぞコイツ」
1人だけグロッキー状態でうつ伏せになっているヴォルフラムを見て、どうしても心配になってしまうアリアだった。
「あの――…」
すると遠慮がちに店員が話しかけてくる。
「お客さんら、ご存知だとは思うんだけどね、祭の神輿が出るのはここじゃ無くって隣の山なんだけどね…」
「へ?祭…?」
店員は頷く。
「そ、それって間違えて来ちゃったって事?ウッソー、下山してまた登るなんて勘弁してくれよ!……俺はまだしも…」
有利はそう言いながら目が何処かに行ってしまっているヴォルフラムを見る。
「コイツなんかもう、別の世界に行っちゃってるし…」
「ご心配なく。間違ってはいませんよ」
「俺達は、この山のてっぺんに泉に用があるんだ」
ガシャン
「?」
ヨザックの話を聞いた店員は持っていたお盆を落としてしまったのだ。
不思議に思った有利達だったが、彼女は信じられない様子で話し始める。
「ありゃ、15・6年前のある夏の夜だったんだけどもね、天から赤い火の玉が降ってきて泉に落っこちて、泉は三日三晩煮えたんさ」
「隕石かな?」
「いんやー。魔物だったんす」
「魔物?」
「なんでも、泉の湯に触れただけでビビッと痺れてさ、心臓が止まったり、大火傷したそうで。ありゃ魔物の祟りに間違いないですってさ~」
「た、祟り…?」
その話に双子やコンラート、ヨザックもどこか真剣な表情になる。
「その時から泉にはだーれも入れなくなってしまって。あ、でも、1人だけ泉の奥まで行ってその魔物を見たって言う人がいたんですけどもね、」
「どんな?」
「それが、結局その人は半身半焼で助け出されたんですけども、『顔が、顔が』って」
店員の話はそこで終わったので、有利達は頂上へ行こうとした時だった。
「有利達、行ってきてよ。私はここで待ってるから」
「…え?アリア、行かないのか?」
「いや、ここで死んでる子が可哀相だしね…。それに大人数で行ってもしょうがない気がするから」
アリアは苦笑しながら隣で死んでいるヴォルフラムを指すと、彼女の言い分に納得したセルセも呆れながら残ると言い出す。
「俺も残るよ」
「セルセも?」
有利に聞かれ、セルセは頷く。
「ああ。コンラート、ユーリを頼むな」
「…ああ」
そう言って有利、コンラート、ヨザックの3人がモルギフを取りに頂上へ行ったのだった。
その後セルセ達はヴォルフラムを部屋に運ぶと、アリアは持っていた小瓶を渡そうとする。
「ヴォル、薬を貰って来たから、これ飲んで少し寝て」
「……ああ」
ヴォルフラムはアリアの言葉に素直に従って薬を手に取るが飲もうとしないのだ。
そんな彼にアリアは首を傾げる。
「どうしたの?ヴォル」
「…いや」
「それが人間の薬だから飲みたくないって言わないよな?」
「……」
「「(図星か…)」」
無言になったヴォルフラムに双子は呆れるだけだった。
「人間が作った薬でも、具合が悪いんだから飲みなさい」
「……」
アリアがそう言っても、ヴォルフラムは躊躇した。
「…ハァ、」
それを見たアリアは小さく溜息をはく。
「この辺りなら薬草もあると思うし、それで薬作ってあげる。それなら飲めるでしょう?」
「……ああ」
ヴォルフラムが頷いた事を確認すると、アリアは薬草を探しに休憩所辺りの森へと入って行った。
そうしていくつかの薬草から簡単な薬を作って戻ってきたアリアはヴォルフラムに小瓶を渡す。
「……」
先程の約束通り、彼は何も言わずに受け取ったのだ。
「香術を使ったのか…?」
「うん。じゃなかったら作れないわよ。ヴォル、薬飲んで」
ヴォルフラムは素直にアリアから薬を貰って飲んだ。
「…苦い」
「文句を言わない。この辺にある薬草で作ったんだから、しょうがないでしょう?
飲んだらさっさと寝なさい。少しでも寝たら気分も良くなるはずだから」
「……ああ…」
頷いた彼は薬を全て飲み干し、大人しくベッドで眠り始めたのだ。
彼が眠り始めた事を確認してからセルセは呆れながら話しかける。
「…大丈夫か?ユーリ達は」
「コンラートもいるし、大丈夫だと思いたいけど、」
「ヨザ、か」
ヨザックの事を思い出し、アリアは溜息をつく。
「この間の巡視船から、有利の事、なんか毛嫌ってる感じがする…」
「ああ。なんか様子が可笑しいんだよな」
いつもと違うヨザックに双子はどこか心配そうな様子になっていたのだ。
「「……不安だ…」」
そして双子が思っていた事が見事に的中したのであったのだ。
しばらくして有利達が無事に帰って来たのが、彼らは手ぶらだった。
「…ごめんな、アリア、セルセ」
モルギフを持って来れなかった事に有利は落ち込んでいた。
「私は気にしないから平気。有利が無事だったんだしね」
「そうだな。怪我がなくて良かった」
落ち込んでいる彼に双子は笑いながら答えた。
シマロンの巡視船から脱出した##アリア達は無事にヴァン・ダー・ヴィーア島に到着したのだった。
「…その曲、もう聞き飽きた」
「巡視船の時からずーっと歌ってて、飽きないのかよ」
ボートに乗って海を渡っている時から、島に到着をして山を登っている間ですらヨザックは歌をずーっと歌っていた事に双子は呆れるだけだった。
「ハァ、ハァ、ハァ、…ったく、ありえねー。何処が夢の島だ…!」
ヨザックの歌に突っ込む有利。
「…ヴォル、大丈夫?目が死んでるけど」
アリアがヴォルフラムを心配していると、少し先を見てきたヨザっクが呼んでいた。
「お~い!そこに休憩場があるよ~ん!」
「ヴォル、聞こえた?もう少しで休憩場だから頑張ってよ」
休憩所があると聞き、有利はどこかホッとしたのだ。
何とか休憩所に到着した彼らはお茶とお菓子を注文をする。
「は~…。煎茶にみたらし団子って訳にはいかないか…」
「ここは日本じゃないんだから、仕方ないわよ」
「そうだけどさ…」
お茶を飲みながら愚痴を零す有利にアリアは苦笑する。
休憩という事もあり、双子やコンラート、ヨザック達もお茶を飲んでいたのだが。
「……ハァ―――…」
「ヴォル、ホントに大丈夫?」
「駄目だと思うな~。目が死んでるぞコイツ」
1人だけグロッキー状態でうつ伏せになっているヴォルフラムを見て、どうしても心配になってしまうアリアだった。
「あの――…」
すると遠慮がちに店員が話しかけてくる。
「お客さんら、ご存知だとは思うんだけどね、祭の神輿が出るのはここじゃ無くって隣の山なんだけどね…」
「へ?祭…?」
店員は頷く。
「そ、それって間違えて来ちゃったって事?ウッソー、下山してまた登るなんて勘弁してくれよ!……俺はまだしも…」
有利はそう言いながら目が何処かに行ってしまっているヴォルフラムを見る。
「コイツなんかもう、別の世界に行っちゃってるし…」
「ご心配なく。間違ってはいませんよ」
「俺達は、この山のてっぺんに泉に用があるんだ」
ガシャン
「?」
ヨザックの話を聞いた店員は持っていたお盆を落としてしまったのだ。
不思議に思った有利達だったが、彼女は信じられない様子で話し始める。
「ありゃ、15・6年前のある夏の夜だったんだけどもね、天から赤い火の玉が降ってきて泉に落っこちて、泉は三日三晩煮えたんさ」
「隕石かな?」
「いんやー。魔物だったんす」
「魔物?」
「なんでも、泉の湯に触れただけでビビッと痺れてさ、心臓が止まったり、大火傷したそうで。ありゃ魔物の祟りに間違いないですってさ~」
「た、祟り…?」
その話に双子やコンラート、ヨザックもどこか真剣な表情になる。
「その時から泉にはだーれも入れなくなってしまって。あ、でも、1人だけ泉の奥まで行ってその魔物を見たって言う人がいたんですけどもね、」
「どんな?」
「それが、結局その人は半身半焼で助け出されたんですけども、『顔が、顔が』って」
店員の話はそこで終わったので、有利達は頂上へ行こうとした時だった。
「有利達、行ってきてよ。私はここで待ってるから」
「…え?アリア、行かないのか?」
「いや、ここで死んでる子が可哀相だしね…。それに大人数で行ってもしょうがない気がするから」
アリアは苦笑しながら隣で死んでいるヴォルフラムを指すと、彼女の言い分に納得したセルセも呆れながら残ると言い出す。
「俺も残るよ」
「セルセも?」
有利に聞かれ、セルセは頷く。
「ああ。コンラート、ユーリを頼むな」
「…ああ」
そう言って有利、コンラート、ヨザックの3人がモルギフを取りに頂上へ行ったのだった。
その後セルセ達はヴォルフラムを部屋に運ぶと、アリアは持っていた小瓶を渡そうとする。
「ヴォル、薬を貰って来たから、これ飲んで少し寝て」
「……ああ」
ヴォルフラムはアリアの言葉に素直に従って薬を手に取るが飲もうとしないのだ。
そんな彼にアリアは首を傾げる。
「どうしたの?ヴォル」
「…いや」
「それが人間の薬だから飲みたくないって言わないよな?」
「……」
「「(図星か…)」」
無言になったヴォルフラムに双子は呆れるだけだった。
「人間が作った薬でも、具合が悪いんだから飲みなさい」
「……」
アリアがそう言っても、ヴォルフラムは躊躇した。
「…ハァ、」
それを見たアリアは小さく溜息をはく。
「この辺りなら薬草もあると思うし、それで薬作ってあげる。それなら飲めるでしょう?」
「……ああ」
ヴォルフラムが頷いた事を確認すると、アリアは薬草を探しに休憩所辺りの森へと入って行った。
そうしていくつかの薬草から簡単な薬を作って戻ってきたアリアはヴォルフラムに小瓶を渡す。
「……」
先程の約束通り、彼は何も言わずに受け取ったのだ。
「香術を使ったのか…?」
「うん。じゃなかったら作れないわよ。ヴォル、薬飲んで」
ヴォルフラムは素直にアリアから薬を貰って飲んだ。
「…苦い」
「文句を言わない。この辺にある薬草で作ったんだから、しょうがないでしょう?
飲んだらさっさと寝なさい。少しでも寝たら気分も良くなるはずだから」
「……ああ…」
頷いた彼は薬を全て飲み干し、大人しくベッドで眠り始めたのだ。
彼が眠り始めた事を確認してからセルセは呆れながら話しかける。
「…大丈夫か?ユーリ達は」
「コンラートもいるし、大丈夫だと思いたいけど、」
「ヨザ、か」
ヨザックの事を思い出し、アリアは溜息をつく。
「この間の巡視船から、有利の事、なんか毛嫌ってる感じがする…」
「ああ。なんか様子が可笑しいんだよな」
いつもと違うヨザックに双子はどこか心配そうな様子になっていたのだ。
「「……不安だ…」」
そして双子が思っていた事が見事に的中したのであったのだ。
しばらくして有利達が無事に帰って来たのが、彼らは手ぶらだった。
「…ごめんな、アリア、セルセ」
モルギフを持って来れなかった事に有利は落ち込んでいた。
「私は気にしないから平気。有利が無事だったんだしね」
「そうだな。怪我がなくて良かった」
落ち込んでいる彼に双子は笑いながら答えた。