【シェパード×リージョン】名前を付けられないもの
──ノルマンディー、食堂にて。
「おはよー」
「っはよー。今日も朝から目死んでんなぁ」
「うっさい、余計な一言だよ」
「いて、いてて! ひっかくなよ! イケメンが台無しだろ!」
「アンタがイケメンなら世の中の全男みーんなイケメンだっつーの」
「ひっでぇ言いよう!!」
「で、どうせアンタ朝食まだなんでしょう、一緒に食べるわよ」
「え、俺の意見は?」
「あるわけないじゃん」
「ひでぇ!!」
「どうせボッチ飯でしょアンタ」
「更にひでぇ!! 事実だけども!!」
「はー、今日も飯がうめぇぇえ……身に染みるうぅ……」
「ほんっとうに美味しくなったわよねぇ……。
ガードナーには悪いけど、少佐が食料を買ってきてくれなかったら、あたし船降りてたわ」
「いやぁ……あん時の飯のまずさはもう言葉にできたもんじゃねぇよ……
まじで少佐様々っつーか、俺たちのことも考えてみてくれてるってのが嬉しいよなぁ」
「あたし、少佐のこと鉄の女だと思ってたんだけど
一緒に船に乗って、話かけられたりしたら、全然印象違うのよね」
「わかる、一見すると近寄りがたい美人だよな少佐って」
「そうそう。あの人、パーツが凄い整ってるのよねー。
お化粧しなくても映えて羨ましいわ」
「化粧なくても華がある、ってやつ?」
「そんな感じ。でも決して柔らかくない。
だから普段は凄い『指揮官!』って雰囲気が強いのよ。
いや、実際に上官だから『指揮官』って雰囲気がないと困るのだけども」
「腕っぷしも強い、俺たち一般クルーのことも見てくれる、冷静沈着で眉目秀麗。
完璧な上官だよな、少佐」
「完璧すぎて『女として負けた』とかつまんない僻みすら出てこないわ」
「そういえば少佐で思い出したけどよぉ
最近あれ、よく見かけるよな」
「あれって何の……あー、あぁ、少佐が朝礼で言ってたゲスのこと?」
「そうそう、そのゲス。いやまあ、この船にも色んな種族はいるし、今更驚きはしねぇけど……
でもまさか、言葉を喋るゲスを拾ってくるとは思わねぇって!」
「拾ったって言い方よ……」
「いやこれは少佐が自分で話してくれたというか……個人的に質問した時の返事、そのまんまだぜ」
「なんて聞いたのよ」
「いや普通に『あのゲスが船に乗ることになった経緯ってなんですか?』って」
「そしたら?」
「『リーパー船で拾った』って……」
「…………いや拾ったって物じゃないんだから」
「俺に言うなよ。少佐に言え」
「いや言えるわけないでしょ!」
「でもあれ、最初見た時は正直ビビったよな。マジでゲス。」
「そりゃあ、少佐が嘘言うわけないし」
「そうなんだどさ……」
「そういえばあのゲス、ずっと少佐の後ついてるわよね。まあなんか観測のためとか少佐が言ってた気がするけど」
「それな、まじでずっと着いてってる」
「この前コナーが廊下で少佐とすれ違ったけど
ちょっと離れた距離でゲスが後をついてってたから、二度見した。
って言ってた」
「うわぁ、目に浮かぶ。コナーあいつ、無駄に目ぇデカイから取れそうなくらい見開いてたんじゃね」
「ちょっと笑わせないでよ! 想像しちゃったじゃない!!」
「で、それ以外でもしょっちゅう見かけたって聞くじゃない?」
「聞く聞く、ってかこの前俺たちも見たじゃん」
「そう! 少佐の後ろを一定距離保ってカシャカシャ言わせながらついてってた!」
「少佐が立ち止まるとピタッと止まるし、座ったらちょっと離れた所で待ってるし……。
で、また動き出したら一定距離開けてついていく
……いやこれ、本当にゲス?」
「ゲスよ、見た目はちゃんとゲス」
「別の種族と間違えてねぇか?」
「現実を見て、あれはれっきとしたゲスよ」
「いやでもさ、なんか……見てるとなんか、あれなんだよ……」
「あれって何よ」
「ほらあれだよ……鳥の雛」
「……」
「……」
「いやうん、ゲスよ」
「わかってるよ!」
「じゃあ何言ってんのよ」
「でも似てるじゃん! ちょこちょこついてってるのがさぁ!」
「………」
「………」
「……ちょっとわかる」
「やっぱわかるんじゃねぇか!」
男は女にひっぱたかれた。
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