幸せアイス
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「樺地」
跡部が一声かければ、どこからともなく現れた樺地が紫のケーキを下げた。
……スミレの砂糖漬けなんて、美味いもんでもないしな。とどのつまりは、残飯を食べさせたようなものやないか。アイツもこんなことで頬赤くさせて、ほんまアホやなぁ。
ピスタチオケーキの続きをゆっくりと頬張りながら、忍足は周囲を見回した。跡部の気まぐれによって自称雌猫たちは突っ伏したり泣き出したりと大袈裟なことになっている。
「罪作りやなぁ、跡部は」
「お前の従姉妹、よく励んでいるようだぞ。文武ともに成績は上位、授業や課外活動にも積極的で、教師陣からも信頼を集め始めている」
「なんや青春謳歌する言うてはりきってたからなぁ。だからご褒美っちゅうことか。うちの生徒会長はごっつ優しいな」
「浅慮だったことは認めよう。お前たちがあまりにも仲が良さげだったからつい釣られちまった」
……別に仲良くないし。普通やろ。
周囲の混乱は次第に嫉妬、憎悪となって早速従姉妹に向き始めている。ひそひそとささやきながらスマホの画面を覗き合い、中には従姉妹の後ろ姿を撮影している者までいた。
……ふざけんな。やり過ぎや。
立ち上がって消去させようとしたところ、跡部が指を軽く鳴らす。樺地に何か耳打ちすると、大きな躯体は忍足が今まさに行こうとしていた女生徒の所へ向かって行った。
「自分、まさかと思うけどな、アイツのこと狙ってたりする?」
深い泉を思わせる神秘的な瞳が、驚いたように瞬きする。それからじわじわと、生暖かいものを見る目に変わっていった。
「さあて、どうだかな。その言葉、そっくりそのままお返ししてやるぜ」
「要らんわ」
オープンテラスを春の強い風が駆け抜けた。桜吹雪の中、従姉妹が飲み物のカップを三つ持って、こちらへと戻ってくる。
跡部が一声かければ、どこからともなく現れた樺地が紫のケーキを下げた。
……スミレの砂糖漬けなんて、美味いもんでもないしな。とどのつまりは、残飯を食べさせたようなものやないか。アイツもこんなことで頬赤くさせて、ほんまアホやなぁ。
ピスタチオケーキの続きをゆっくりと頬張りながら、忍足は周囲を見回した。跡部の気まぐれによって自称雌猫たちは突っ伏したり泣き出したりと大袈裟なことになっている。
「罪作りやなぁ、跡部は」
「お前の従姉妹、よく励んでいるようだぞ。文武ともに成績は上位、授業や課外活動にも積極的で、教師陣からも信頼を集め始めている」
「なんや青春謳歌する言うてはりきってたからなぁ。だからご褒美っちゅうことか。うちの生徒会長はごっつ優しいな」
「浅慮だったことは認めよう。お前たちがあまりにも仲が良さげだったからつい釣られちまった」
……別に仲良くないし。普通やろ。
周囲の混乱は次第に嫉妬、憎悪となって早速従姉妹に向き始めている。ひそひそとささやきながらスマホの画面を覗き合い、中には従姉妹の後ろ姿を撮影している者までいた。
……ふざけんな。やり過ぎや。
立ち上がって消去させようとしたところ、跡部が指を軽く鳴らす。樺地に何か耳打ちすると、大きな躯体は忍足が今まさに行こうとしていた女生徒の所へ向かって行った。
「自分、まさかと思うけどな、アイツのこと狙ってたりする?」
深い泉を思わせる神秘的な瞳が、驚いたように瞬きする。それからじわじわと、生暖かいものを見る目に変わっていった。
「さあて、どうだかな。その言葉、そっくりそのままお返ししてやるぜ」
「要らんわ」
オープンテラスを春の強い風が駆け抜けた。桜吹雪の中、従姉妹が飲み物のカップを三つ持って、こちらへと戻ってくる。