18話
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城の庭園は森の中の花園を思わせるものだった。ルーナは王城についてすぐ部屋に通された。マティス卿はエアデルトの白魔法使いたちと早速会議をしている。
「うわぁ、すごく素敵なお庭ですね!」
感じ入ったように零すルーナに、案内をしていた女官は分かりやすく機嫌を良くした。他国の令嬢ということもあり接し方はあくまで丁寧だが、元々面倒見がいいのだろう、言葉の端々に子供に接するような気安さが漂う。
ルーナは女官の態度に内心ため息をつきながら、にこやかに話を合わせた。これもすべてカインを見つけるためである。
カインが失踪する少し前、彼と二人で町に出たときにごろつきに襲われたことがあった。捕えた魔法使いは不審な死を遂げ、彼が身に着けていた宝石が、エアデルトの細工を施されているものだと後に判明したのだ。
宝石にかけられていた魔法を辿って、部屋に飾られた国王の肖像画からそこがエアデルトであると確信したものの、以降の調査は行き詰った。ルーナはそこで派遣に同行し今に至る。宝石が細工された店を見つけることが、カインを見つける手がかりになるだろうと信じていた。
「クレセニアに帰るときには、お母様へのお土産に何かって思ってるんです。どこか有名な細工職人さんとか知りませんか?」
「そうねぇ、有名なのはネルグの工房やエマーソンね。個性的なのはビアンカのお店かしら」
(ネルグの工房……)
それは宝石が細工されたと思われる工房だった。ルーナは湧き上がる興奮をひた隠しにし、何気ない様子でその工房の場所を尋ねる。女官は気前よく店の場所を地図に描くと言ってくれた。
すっかり庭園を堪能した後、場内へ戻ろうと歩き始めたルーナは、不意に足を止めた女官を訝しげに見上げた。彼女は前方に見える渡り廊下を指さすと、小声でルーナに教える。
「王妃陛下だわ」
薄紫のドレスを纏い、背筋をピンと伸ばして歩く姿はまさに女王といった風格だ。彼女はルーナに気づかないままロッタのいる宮殿へ進んでいった。聞くと、冷たく激しい気性の持ち主で、特に王太子が絡むと尚更厳しく当たられるとのことだった。
(ロッタ、大丈夫かな……)
ルーナは大人しい友人のことを思い浮かべて、密かに眉をひそめたのだった。