17話
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事態が落ち着いたのち、ニコラスの事情聴取が行われた。彼の話では、宿で出会った男にちょっとした
自分の行いによって父親にまで迷惑をかけることになったニコラスは流石に反省したようだ。二人に声をかけたルーナに彼は素直に謝罪した。馬車は二人を置いて再び王都へ向けて出発したのだった。
門をくぐり抜けた瞬間、人々の賑わいが耳に入る。襲撃から五日後、一行は無事、エアデルトの王都ディレシアに到着した。エアデルトとクレセニアは元々一つの国であったものが分かれたという史実もあり、文化などは似通ったところが多い。しかし優美な街並みのクレセニアとは違い、エアデルトは豪壮な、力強い印象があった。
丘陵地にそびえ立つ王城は、一行が王都に入る前から存在感を放っていた。ロッタは窓から王城を眺める度に、胸が高鳴るのを感じた。三台の馬車のうち、技術者とミゲルを乗せた馬車は城下町に留まることになっている。残りの二台、つまりロッタたちとルーナたちの乗る馬車は王城まで行くのだ。
二台の馬車は人の賑わいから離れ、再び石の門をくぐった。門の向こうには石畳の道が坂になって続いており、道の左右は
「目の前に立ってみると、圧倒されるような城ですね」
坂を上りきり馬車を降りたロッタを待っていたのは壮麗な王城だった。壁面は白く、尖塔の屋根は対照的な
息を呑んで見上げるロッタを、リュシオンとジーンは微笑みながら見ていた。親しくなればなるほど、無表情がちな彼女が実は感情豊かな人間だと分かってくる。
「だが、少し雰囲気がネグロ侯爵邸に似てないか?」
「私もそう思いました」
リュシオンの言葉にジーンはすぐさま同意した。荘厳な外観と、それに呼応するような固く人を寄せ付けない佇まいには確かにネグロ侯爵の別邸を思い出させるものがある。
「こちらの方が何倍も素敵です。しかし、ネグロ侯爵領はトーレス街道の延長にあるので、エアデルトの文化の影響を受けやすいのは確かです」
トーレス街道とはベルデの森を北に迂回する、クレセニアとエアデルトを繋ぐもう一つのルートである。今回通ってきたメレディス街道が王都へ行く一番の近道なら、トーレス街道は主にエアデルトの港町として栄える、セリオン以西に行くときに多く利用される。そのため、ネグロ侯爵家の財源は主にエアデルト商人との取引や通行料だった。
ロッタの説明を聞き、二人は納得したようにうなずいた。それはネグロ侯爵家の別邸についてだけでなく、なぜ彼女がエアデルトの王太子の婚約者に選ばれたかという疑問に対してもだった。歴史的にネグロ侯爵家はエアデルトに近いようだ。
「とにかく中に入るか」
リュシオンの一言で、馬車を降りていた人々は彼に付き従い白い石段を上り始めた。