14話
夢小説設定
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落馬した盗賊の中には、そのまま兵士に突っ込んで捕まる者や、戦意を失って逃亡を図る者がいた。
(恐らく
ロッタは思わず深く考え込んでしまいそうな頭を無理やり現実に引き戻す。大男が周りの兵士を挑発しているのとは裏腹に、残っていた盗賊たちは散り散りに逃げて行く。しかしある一人の盗賊は不意に二人の方へ目をやった。彼は一瞬目を丸めたが、途端ににやにやと嫌な表情を浮かべる。
「……お嬢様」
「嫌な予感がするわ」
「はい」
ロッタの言葉通りに、盗賊は他の数人の、同じく逃亡を図ろうとしていた仲間を連れて、二人の方へ走ってきた。数は三人。ミゲル一人ではどう考えても戦力不足だ。
しかしミゲルは彼らをものともしないような表情でゆっくり剣を抜く。その仕草に盗賊たちは少し
「私が引きつけますので、隙が出来たら後ろを振り返らずに走るのです」
「三人は無理でしょう?」
小声で話しかけるミゲルに、ロッタも同じく小声で返した。淡々とした表情を崩さないが、恐らくここでロッタが見捨てたら彼はケガでは済まないだろう。
「少し、少しだけよ」
「お嬢様!」
ロッタはミゲルの
「良い恰好した貴族様じゃねぇか。悪いことは言わねぇ、大人しく人質になれ」
彼らは下品な口調で二人を挑発した。その姿は四カ月前に見た奴隷商人たちと同じであり、ロッタは不快で顔をしかめる。どの世界も人間として何かが欠けた人の浮かべる表情は共通していた。
先に仕掛けたのは盗賊たちだった。彼らは等間隔に散らばると、三方向からミゲルに襲い掛かる。
『リグ・ソルム』
ロッタが
「ギャアァァァ!」
運よく顔に命中し、盗賊は
ミゲルを相手取ろうとしていた二人は互いに目配せすると、一人はロッタの方へ詰め寄る。
「お嬢様!」
「おぉっと、あんたは俺が相手だ」
ロッタへ近づこうとするミゲルに、男は何度も剣を振り下ろし位置を反転させる。それはもう一人の仲間が彼女に集中するための手助けであり、完全な足止めだった。力任せに叩きつけられる剣に、ミゲルは初めて苦し気な表情をにじませる。
(あの防御魔法じゃ一度でも攻撃されたら壊れる!)
先ほどロッタが施したミゲルの防御魔法は、早くも効力を失いかけていた。しかしもう一人の盗賊が彼女に近付くのを見ると、そちらにすべての神経を尖らせる。彼女は魔法の精度を上げるため、右手の手のひらを上にすると、そのまま前に突き出した。
「させるかっ」
『リグ・ロゥム』
彼が切りかかるのと彼女が唱えるのはほぼ同時だった。しかし剣が彼女を捉える前に、火が彼の衣服を燃やす。男の悲鳴が響き渡り、次いで必死に上着を脱ごうとのたうち回る姿が目に入った。