12話
夢小説設定
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大きな破裂音と同時に結界が壊れる気配がして、リュシオンとジーンは話を止めて眉をひそめた。
「ジーン」
「はい。何者かによって結界が内部から破壊されたようですね」
リュシオンは椅子から立ち上がり人が集まる馬車の近くへ足早に移動する。そのあとをジーンも警戒した面持ちでついていった。
「結界が破られた。魔法が使えるものはマティス卿の指示に従い結界を張りなおせ! 兵士は分隊で行動し周囲の警戒を怠るな!」
激しい言葉に休憩中だった彼らは不安な面持ちでただ状況を見守る。兵士の半数は馬車の傍で彼らを守り、残る半数は方々に散らばった。
「マティス卿、結界を張りなおせそうか」
「そうですね、……」
マティス卿が口を開いたそのとき、音を立てて矢が木に突き刺さる。間髪置かずに今度は馬車に命中した。向こうからやって来るのは明らかにガラの悪い盗賊。およそ二十人と数は少ないが、非戦闘員が多いことを考えると楽観視できる状況ではない。
「殿下!」
「殿下をお守りしろ!」
ジーンに続いてミュラーは兵を率いてリュシオンの守りを固めた。
「ご無事ですか!?」
「ああ、問題ない」
リュシオンは手短に返事をすると、その場にいた兵士全員に
「ルーナ! こっちに来い!」
駆け寄ってきた彼女をすぐさま背中に
「兵士以外は一か所に集まりマティス卿に結界を頼め。見る限り向こうに魔法使いはいない。魔法が使える者は遠隔武器を防げ。余裕あるなら奴らを馬から引きずり下ろすんだ!」
彼の指示に従い、非戦闘員は学院長の傍へと集まる。一方護衛の兵士たちは、近付いてくる盗賊に立ち向かうため、休ませていた馬に飛び乗った。
厳しい顔をして周囲を見渡すジーンにリュシオンは彼の方を見る。
「どうかしたか」
「殿下、ロッタの姿が見えません」
「何だと!?」
マティス卿の周りに集まった人々の中に、確かに彼女の姿はない。
「急いで探させろ!」
リュシオンの言葉に、ジーンは一つ頷いて兵士の元へ走っていった。
ほどなくして盗賊と兵士が衝突した。魔法が使える兵士は飛んでくる矢を落としたり、焼き払ったりしながら攻撃し、それ以外の兵士は盗賊たちと剣を合わせる。ルーナとリュシオンは後方から魔法で見方を支援した。様々な強化魔法や治癒魔法を唱え続ける。
一方でルーナは声を張り上げた。
「風姫さん、風であの人たちを馬から落として!」
声は風姫の力によって周りの人間には届かないようになっていた。風姫はルーナの願いを受けて、盗賊へ突風を吹かせる。ルーナの密かな支援のおかげで徐々に戦況は彼女たちに有利な方向に展開していったのだった。