3話
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その後屋敷に戻ってきたロッタは事情をすぐにエリックとランデンに話した。エリックはすべてを聞いた後彼女を優しく抱きしめた。ランデンも厳しい顔をしていたが、彼なりの配慮なのだろう、そのことに関して父を責めることもロッタに気を配ることもせず、次の日にはいつも通りの彼の姿があった。
そしてこのことはレングランド学院のマティス卿にも伝えられた。彼もまたその内容を聞いて心から彼女を気遣ったが、ロッタもそのころになるとふさぎ込んでばかりではなかった。
当初の目標であった、彼女の魔力を取り戻すという計画は考え直された。結果、同じような経験をする人がいないようにと引き続き『安全に魔力を移す』研究には参加することになった。難しい理論はマティス卿や他の研究員に教わりながら彼女は懸命に学んだ。要領のいい頭のおかげで彼女はみるみるうちに知識を吸収していった。
そして成り行きで
週に何度か学院に足を運ぶロッタのために、ランデンは土曜日の朝、彼女と共にレングランドに行くことになった。着いたらランデンは教室へ、ロッタは研修室へと別れるが、休日しか会わなかった今までと比べてロッタは兄と話す時間が多くなったことを嬉しく思っていた。
ロッタが学院に通っているということを知った公爵家の子供たちも時々研究室に訪れては雑談をするようになっていた。就学前であるルーナとはアマリーたちよりも会う機会が少なかったが、ロッタは彼女のことがすっかり好きになっていた。
「ロッタ!」
扉を開けると同時に聞こえた快活な声に、ロッタのみならず研究員たちも入り口に目を向ける。そこにはリヒトルーチェ家の長女、アマリーが立っていた。
最初のうちは学院の生徒が研究室に気軽に入ってくることに難色を示す研究員もいたが、アマリーの社交性と、何よりロッタの健全な交友関係のために次第に受け入れられていった。しかし生徒が押しかけても困るのであくまでも非公式である。
「一緒に昼食でもどう? ユアンとフレイルも中庭にいるのよ」
「もうそんな時間なのですね」
ロッタは彼女の言葉を受けて周りの研究員を見渡した。彼らは微笑ましい少女たちのやりとりに緊張した雰囲気を緩める。
「どうぞいってらっしゃい」
「ありがとうございます。それじゃあお言葉に甘えて……」
「ロッタ、行きましょ」
アマリーはそう言うとすぐにロッタの手を取って駆けて行った。アマリーの勝気で明るい性格はロッタの静かな性格と上手くかみ合っているように見える。少女たちの話し声が遠くなると、研究員たちも一旦手を止めて休憩に入ったのだった。