プロローグ
4月。
今日は私立愛和学院の入学式。
愛和学院は、私がこれから3年間通う高校だ。
校門の手前で足を止め、ちょうど満開を迎えた桜を見上げる。
新しい季節に新しい制服、雲一つない澄んだ空と綺麗に咲き乱れた桜。
普通なら期待に胸が躍りそうなのに、私の心は重く沈んだまま。
…私ってこんなに弱かったんだな…。
「久莉奈?」
ボーっと桜を見上げる私に、少し先で立ち止まった母が声をかける。
そちらを見やると、少し心配そうな顔。
私の不安を見透かしているのだろう。
「ごめん、お母さん。」
校門をくぐり、母の元へ駆け寄る。
なおも心配そうに私を見る母。
「…桜、綺麗だね。」
「…そうね。」
何とか安心させたくて無理に口角を上げてみせた私に、母も小さく笑みを見せた。
クラスを確認して校舎に入り、体育館へ向かう母と別れて教室へ向かう。
教室に入ると、既に結構な人数の生徒が揃っている。
その内の何人かは楽しそうにおしゃべりをしている。
雰囲気が随分砕けていて、今知り合ったばかりと言う感じではなさそうだ。
…中等部があるから、内部進学の子たちなのかな。
黒板に張られた座席表で自分の席を確認して、楽しそうにしている子たちを横目に席に着く。
この高校にしたの、失敗だったな。
中学で色々なものを失った私は、卒業と同時に生まれ育った神奈川を離れ、父が単身赴任している名古屋に引っ越してきた。
したいこともなく、入れればどの高校でも良かった。
それでも一時は、前向きに過去の事は忘れて心機一転、と思ったりもした。
…けど、そう簡単に気持ちは切り替えられない。
むしろ知り合いのいないこの地で上手くやっていけるのか、過去の経験によってその不安が大きくなっていた。
周りの席で楽しそうにおしゃべりする子たち。
自分の存在を消すかのように私はただジッと俯く。
「ほら、席つけーっ。」
先生が教室に入ってきた。
楽しそうにしていた子たちは慌てて席に着く。
「みんな、入学おめでとう!」
さっきとは一転して静まり返った教室に、先生の明るい声が響き渡る。
他の生徒は緊張と不安がありながらも、これから始まる高校生活に期待を膨らませているのだろう。
そんな雰囲気の中…私は顔を上げることが出来ずにいた。
今日は私立愛和学院の入学式。
愛和学院は、私がこれから3年間通う高校だ。
校門の手前で足を止め、ちょうど満開を迎えた桜を見上げる。
新しい季節に新しい制服、雲一つない澄んだ空と綺麗に咲き乱れた桜。
普通なら期待に胸が躍りそうなのに、私の心は重く沈んだまま。
…私ってこんなに弱かったんだな…。
「久莉奈?」
ボーっと桜を見上げる私に、少し先で立ち止まった母が声をかける。
そちらを見やると、少し心配そうな顔。
私の不安を見透かしているのだろう。
「ごめん、お母さん。」
校門をくぐり、母の元へ駆け寄る。
なおも心配そうに私を見る母。
「…桜、綺麗だね。」
「…そうね。」
何とか安心させたくて無理に口角を上げてみせた私に、母も小さく笑みを見せた。
クラスを確認して校舎に入り、体育館へ向かう母と別れて教室へ向かう。
教室に入ると、既に結構な人数の生徒が揃っている。
その内の何人かは楽しそうにおしゃべりをしている。
雰囲気が随分砕けていて、今知り合ったばかりと言う感じではなさそうだ。
…中等部があるから、内部進学の子たちなのかな。
黒板に張られた座席表で自分の席を確認して、楽しそうにしている子たちを横目に席に着く。
この高校にしたの、失敗だったな。
中学で色々なものを失った私は、卒業と同時に生まれ育った神奈川を離れ、父が単身赴任している名古屋に引っ越してきた。
したいこともなく、入れればどの高校でも良かった。
それでも一時は、前向きに過去の事は忘れて心機一転、と思ったりもした。
…けど、そう簡単に気持ちは切り替えられない。
むしろ知り合いのいないこの地で上手くやっていけるのか、過去の経験によってその不安が大きくなっていた。
周りの席で楽しそうにおしゃべりする子たち。
自分の存在を消すかのように私はただジッと俯く。
「ほら、席つけーっ。」
先生が教室に入ってきた。
楽しそうにしていた子たちは慌てて席に着く。
「みんな、入学おめでとう!」
さっきとは一転して静まり返った教室に、先生の明るい声が響き渡る。
他の生徒は緊張と不安がありながらも、これから始まる高校生活に期待を膨らませているのだろう。
そんな雰囲気の中…私は顔を上げることが出来ずにいた。
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