赤く染まる

久莉奈は俺のジャージとユニフォームを抱えると渋々立ち上がり、部屋の隅、俺から一番遠いところに移動する。

「…そんなに離れなくてもいいだろ。」
「良くない。着替えてる間、こっち見ちゃダメだからね!」
「久莉奈の服の下、もう何度も見てるのに。」
「何か言った?」
「…いや、何も。」

頑固で怒ると怖い久莉奈にこれ以上は逆らうまいと、俺は大人しく背を向けた。
ややあって、背中越しにシュルっとネクタイを解く音が聞こえる。
しんと静まり返った部屋の中、衣擦れの音がやたら大きく感じられる。
今、久莉奈がどんな姿なのか、妄想が掻き立てられてしまう。

…逆にエロくないか…これ。

「…いいよ。」

やがて聞こえた久莉奈のか細い声に、俺はゆっくりと振り返る。

「……」

思わず言葉を失う。
久莉奈にはオーバーサイズなユニフォームはワンピースみたいだが、丈はさすがに短い。
俺だとちょうどいいサイズのジャージも、小さな久莉奈の体にはダボダボだ。
露わになっている太ももを隠すようにユニフォームの裾を下に引っ張っているせいで、胸元のラインが却って強調されている。
久莉奈は真っ赤な顔で、伏し目がちに俺を見ている。
だが、その恥じらう姿は俺を煽っているだけだと言うことを、本人はわかっていない。

「やべぇ…めっちゃいい。」
「…そんなにジロジロ見ないで。」
「写真撮っていい?」
「ダメ!」
「えぇ…めっちゃエロくて可愛いのに。」
「やだ!」
「…わかったよ…」

ちょっと不満だが、これ以上機嫌を損ねるわけにはいかない。
写真は諦め、代わりに俺はチョイチョイと久莉奈を手招く。
訝しみながらも、久莉奈は床に座る俺のそばに近づいてくる。

「きゃっ!?」

俺は目の前にやって来た久莉奈の太ももを、そっと撫でる。

「だっ、大君!?」
「…脱がしてもいい?」

そのまま久莉奈の手を握り、顔を見上げる。

「ダメ…って言ったら?」
「嫌なら我慢するよ。」

半ば強引にこの格好をさせてしまったけど、これ以上の事を無理強いさせるつもりはない。
久莉奈は明らかに困惑している。

…ダメか。

諦めて手を離そうとした時、久莉奈が俺の手をぎゅっと握り返した。

「…いいよ。」

今にも消え入りそうな声で、久莉奈が小さく答えた。

「じゃあ…おいで。」

俺は両手を広げて、頬を赤く染めて恥じらう恋人を招き入れた。
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