Dazzling Darling
12月30日、今日は中瀬と初めてのデートをすることになった。
冬の選抜中に迎えた中瀬の誕生日をどうしてもすぐにお祝いしたくて、昨日帰ってきたばかりだけど何とか約束を取り付けた。
誕生日がいつなのか聞く勇気がなかったせいで、当日の夜に知るなんて失態を犯してしまったが、今日のデートでどうにか挽回したい。
けど、ちゃんと用意する時間がなかったし、正直あまり自信はない。
そもそも、初めてのデートで昨日からずっと心臓がバクバクしっぱなしだ。
そのせいか朝練でもないのに、今朝は早くに目が覚めた。
家にいても落ち着かなくて、待ち合わせ場所には約束の1時間も前に着いてしまった。
…流石にまだ来てないよな。
待ち合わせ場所の前まで行くのは心の準備が必要で、ちょっと離れた場所から中瀬の姿を探す。
学校や部活以外で会うのは初めてだから、中瀬の私服姿は見たことがない。
どういう感じのなのか想像つかねぇけど、どんな格好でもめちゃくちゃ可愛い事は間違いない。
俺も中瀬にかっこいいと思われたくてとっておきの服を着てきたけど、これでいいのかちょっとだけ不安だ。
…いた。
同じく待ち合わせをしているらしき人達の中に、中瀬の姿。
俺にはまだ気づいていないようで、少し俯き気味で一人佇んでいる。
「…すげぇ可愛い。」
思わず声に出てしまう。
淡いピンク色のコートとミニスカートにブーツ、それと学校では見たことないアレンジした髪型が、とてもよく似合っている。
周りにたくさん人がいるのに、中瀬の姿だけが輝いて見える。
その場で見惚れていると、中瀬は辺りを見回したり、服を整えたり、髪のセットを気にしてみたり。
何だか普段より落ち着きがない。
中瀬も、同じように緊張してるのか?
その様子が可愛らしくて、少しだけ緊張が薄れてきた。
そうしているうちに、ふとこちらを見た中瀬が俺に気づく。
まだ心の準備がちゃんと出来てねぇけど、驚いた表情で時計を確認する中瀬の元に小走りで駆け寄る。
「おはよう。」
「お、おはよ、早いね。」
「早く起きちゃってさ。中瀬こそ早いな。」
「私も早くに目が覚めちゃって。家にいてもなんかソワソワして落ち着かないから、もう来ちゃった。」
中瀬は少し照れくさそうに笑う。
俺と同じなのがなんだか嬉しい。
「待たせてごめんな。」
「ううん、来たばっかだよ。」
目の前で見る中瀬はやっぱりいつも以上に可愛くて、俺は思わず目をそらす。
そんな俺の顔を中瀬が不安そうに覗き込む。
「どうかしたの?」
「ごめん…ちょっと、直視出来ない。」
「…どうして?」
「その、あまりにも…可愛すぎて。」
「えっ!?…あ、ありがとう。」
中瀬は顔を真っ赤にして俯く。
自分で言っておきながら、俺も一気に顔が熱くなる。
「い、行こうか。」
「…うん。」
ちょっとぎこちないまま、並んで歩き出す。
「グラサンでもかければ、ちゃんと見れるようになるかな。」
「そんな、太陽じゃないんだから。」
「それくらい中瀬が眩しいってことだよ。」
「え…うん。」
やべ…スベッたかも。
緊張を解そうとちょっとおちゃらけた言い方してみたけど、中瀬の反応はイマイチ。
デートは初めてだけど、何度も一緒に帰ったりしてるし2人きりなのは初めてじゃない。
けど、心臓の高鳴りが邪魔をして、いつものようにいかない。
…いや、中瀬と2人きりだとこうなるのはいつもの事だけど。
友達だった時の比じゃないくらい、心臓がバクバクしている。
「…そういや、プレゼント、欲しい物決まったか?」
「あの…パスケースが欲しいな。」
「アクセサリーとかじゃなくていいのか?」
「アクセサリーは特別感があっていいけど、滅多に着けられないから…。パスケースなら毎日使うし、諸星がくれた物なら朝から幸せな気持ちになれるかな、と思って。」
割と実用的な物を選んだなと思ったけど、その理由が可愛らしすぎて、また顔が熱くなる。
きっと、無自覚で言ってるんだろうな。
「…そっか、わかった。じゃあ、可愛いの見つけようぜ。」
「うん。」

***
プレゼントを探すためにショッピングモールにやって来た。
最初はお互いぎこちなかったけど、段々緊張も解けてきて会話も自然になってきた。
初めてのデート、一緒に歩いているだけでもめちゃくちゃ楽しい。
けど、欲しい物が中々見つからないのか、中瀬からは段々焦りの表情が見え始める。
「いいの見つかったか?」
「うーん…可愛いのたくさんあって決めきれなくて。優柔不断でごめんね。」
「全然いいよ。ゆっくり選ぼうぜ。」
案外、感情が顔に出やすい中瀬。
いくつか商品を手に取ったりしているが、暫くするとガッカリした様子で戻したりしているから、値段を気にしているんだろう。
小遣いがあまりなかったけど、幸い正月前なのでお年玉を前借りできた。
だから数万円もするブランド品、とかでなければ買う事は出来る。
…アルバイトでもして自分でお金を貯められれば、数万円のブランド品でも買えるんだろうけど。
金額は気にしなくていい、と言ったところで中瀬は遠慮するだろうし、具体的に予算を言うのも何か違うよな…。
「あ…これ可愛いな。」
どう説得しようか考えあぐねていたら、中瀬が小さく呟きながらある商品を手に取った。
それは小さな星のスタッズが星空のように散りばめられたパスケースだ。
「星、好きなのか?」
「…うん。」
「そうなのか?でも、星柄の物なんて持ってたっけ?」
「持てなかったの。…諸星が好きって気づかれたらどうしよう、って変に意識しちゃって。」
そう言って顔を真っ赤にする中瀬。
なんだか、たまらなく愛おしくなる。
「なら、これからは気がねなく持てるな。それにする?」
「…でも、値段見てから…」
「大丈夫、この値段なら買えるよ。」
中瀬が値段を確認しようとする前に、その手からパスケースをひょいと取って値札をチェックする。
「…ほんと?」
「ほんとほんと。安すぎず高すぎず、プレゼントに最適な値段だよ。」
値札を見せようとしにしない俺に、疑いの目を向ける中瀬。
幸い、嘘は言っていない。
「確かにそんなに金持ってるわけじゃねぇけどさ、値段は気にしないで中瀬が一番喜んでくれる物を選んでほしい。少しはカッコつけさせてよ。」
俺の言葉に中瀬はハッとした表情を見せる。
そして、遠慮がちに俺の手の中のパスケースを指さした。
「…じゃあ…それにしていい?」
「おう!」
俺が満面の笑みを見せると、中瀬もはにかんだ笑顔を見せた。
冬の選抜中に迎えた中瀬の誕生日をどうしてもすぐにお祝いしたくて、昨日帰ってきたばかりだけど何とか約束を取り付けた。
誕生日がいつなのか聞く勇気がなかったせいで、当日の夜に知るなんて失態を犯してしまったが、今日のデートでどうにか挽回したい。
けど、ちゃんと用意する時間がなかったし、正直あまり自信はない。
そもそも、初めてのデートで昨日からずっと心臓がバクバクしっぱなしだ。
そのせいか朝練でもないのに、今朝は早くに目が覚めた。
家にいても落ち着かなくて、待ち合わせ場所には約束の1時間も前に着いてしまった。
…流石にまだ来てないよな。
待ち合わせ場所の前まで行くのは心の準備が必要で、ちょっと離れた場所から中瀬の姿を探す。
学校や部活以外で会うのは初めてだから、中瀬の私服姿は見たことがない。
どういう感じのなのか想像つかねぇけど、どんな格好でもめちゃくちゃ可愛い事は間違いない。
俺も中瀬にかっこいいと思われたくてとっておきの服を着てきたけど、これでいいのかちょっとだけ不安だ。
…いた。
同じく待ち合わせをしているらしき人達の中に、中瀬の姿。
俺にはまだ気づいていないようで、少し俯き気味で一人佇んでいる。
「…すげぇ可愛い。」
思わず声に出てしまう。
淡いピンク色のコートとミニスカートにブーツ、それと学校では見たことないアレンジした髪型が、とてもよく似合っている。
周りにたくさん人がいるのに、中瀬の姿だけが輝いて見える。
その場で見惚れていると、中瀬は辺りを見回したり、服を整えたり、髪のセットを気にしてみたり。
何だか普段より落ち着きがない。
中瀬も、同じように緊張してるのか?
その様子が可愛らしくて、少しだけ緊張が薄れてきた。
そうしているうちに、ふとこちらを見た中瀬が俺に気づく。
まだ心の準備がちゃんと出来てねぇけど、驚いた表情で時計を確認する中瀬の元に小走りで駆け寄る。
「おはよう。」
「お、おはよ、早いね。」
「早く起きちゃってさ。中瀬こそ早いな。」
「私も早くに目が覚めちゃって。家にいてもなんかソワソワして落ち着かないから、もう来ちゃった。」
中瀬は少し照れくさそうに笑う。
俺と同じなのがなんだか嬉しい。
「待たせてごめんな。」
「ううん、来たばっかだよ。」
目の前で見る中瀬はやっぱりいつも以上に可愛くて、俺は思わず目をそらす。
そんな俺の顔を中瀬が不安そうに覗き込む。
「どうかしたの?」
「ごめん…ちょっと、直視出来ない。」
「…どうして?」
「その、あまりにも…可愛すぎて。」
「えっ!?…あ、ありがとう。」
中瀬は顔を真っ赤にして俯く。
自分で言っておきながら、俺も一気に顔が熱くなる。
「い、行こうか。」
「…うん。」
ちょっとぎこちないまま、並んで歩き出す。
「グラサンでもかければ、ちゃんと見れるようになるかな。」
「そんな、太陽じゃないんだから。」
「それくらい中瀬が眩しいってことだよ。」
「え…うん。」
やべ…スベッたかも。
緊張を解そうとちょっとおちゃらけた言い方してみたけど、中瀬の反応はイマイチ。
デートは初めてだけど、何度も一緒に帰ったりしてるし2人きりなのは初めてじゃない。
けど、心臓の高鳴りが邪魔をして、いつものようにいかない。
…いや、中瀬と2人きりだとこうなるのはいつもの事だけど。
友達だった時の比じゃないくらい、心臓がバクバクしている。
「…そういや、プレゼント、欲しい物決まったか?」
「あの…パスケースが欲しいな。」
「アクセサリーとかじゃなくていいのか?」
「アクセサリーは特別感があっていいけど、滅多に着けられないから…。パスケースなら毎日使うし、諸星がくれた物なら朝から幸せな気持ちになれるかな、と思って。」
割と実用的な物を選んだなと思ったけど、その理由が可愛らしすぎて、また顔が熱くなる。
きっと、無自覚で言ってるんだろうな。
「…そっか、わかった。じゃあ、可愛いの見つけようぜ。」
「うん。」

***
プレゼントを探すためにショッピングモールにやって来た。
最初はお互いぎこちなかったけど、段々緊張も解けてきて会話も自然になってきた。
初めてのデート、一緒に歩いているだけでもめちゃくちゃ楽しい。
けど、欲しい物が中々見つからないのか、中瀬からは段々焦りの表情が見え始める。
「いいの見つかったか?」
「うーん…可愛いのたくさんあって決めきれなくて。優柔不断でごめんね。」
「全然いいよ。ゆっくり選ぼうぜ。」
案外、感情が顔に出やすい中瀬。
いくつか商品を手に取ったりしているが、暫くするとガッカリした様子で戻したりしているから、値段を気にしているんだろう。
小遣いがあまりなかったけど、幸い正月前なのでお年玉を前借りできた。
だから数万円もするブランド品、とかでなければ買う事は出来る。
…アルバイトでもして自分でお金を貯められれば、数万円のブランド品でも買えるんだろうけど。
金額は気にしなくていい、と言ったところで中瀬は遠慮するだろうし、具体的に予算を言うのも何か違うよな…。
「あ…これ可愛いな。」
どう説得しようか考えあぐねていたら、中瀬が小さく呟きながらある商品を手に取った。
それは小さな星のスタッズが星空のように散りばめられたパスケースだ。
「星、好きなのか?」
「…うん。」
「そうなのか?でも、星柄の物なんて持ってたっけ?」
「持てなかったの。…諸星が好きって気づかれたらどうしよう、って変に意識しちゃって。」
そう言って顔を真っ赤にする中瀬。
なんだか、たまらなく愛おしくなる。
「なら、これからは気がねなく持てるな。それにする?」
「…でも、値段見てから…」
「大丈夫、この値段なら買えるよ。」
中瀬が値段を確認しようとする前に、その手からパスケースをひょいと取って値札をチェックする。
「…ほんと?」
「ほんとほんと。安すぎず高すぎず、プレゼントに最適な値段だよ。」
値札を見せようとしにしない俺に、疑いの目を向ける中瀬。
幸い、嘘は言っていない。
「確かにそんなに金持ってるわけじゃねぇけどさ、値段は気にしないで中瀬が一番喜んでくれる物を選んでほしい。少しはカッコつけさせてよ。」
俺の言葉に中瀬はハッとした表情を見せる。
そして、遠慮がちに俺の手の中のパスケースを指さした。
「…じゃあ…それにしていい?」
「おう!」
俺が満面の笑みを見せると、中瀬もはにかんだ笑顔を見せた。
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