ハッピーなハロウィン

10月31日、今日はハロウィン。
けど平日で学校も部活もいつも通りあるし、特に何かをするわけでもない普通の一日。
そう思っていたけど、昼休みにふと携帯が鳴った。
一緒にお昼を食べている親友が私の携帯を覗き込む。

「彼氏から?」
「…の友達の荻野君。」
「彼氏の友達とメールしてるの?」
「前に荻野君から聞かれた。でも変な理由じゃないよ。時々、大君の写真をコッソリ送ってくれるの。」
「ああ、なるほど…。今回も写真?」
「うん…これ。」

私は親友に携帯の画面を見せる。
そこには大きなジャックオランタンの被り物をした、大君の顔。

「ぷっ、何それ!?アンタの彼氏、イケメンなのに何被ってんの!?しかも、何その顔~!」

そう、特筆すべきは大君の表情。
こういうイベント事は好きそうなのに、その表情は何と言うか…虚無。
荻野君から説明がないから分からないけど、無理矢理にでも被らされたのだろうか?

また携帯が鳴った。
今度は星の被り物を付けた写真が送られてきた。
大君の表情はさっきと同じ、虚無。

「彼氏、遊ばれてない?」
「うん…そうかも。」

親友は画像を見て、爆笑している。
私も笑っちゃ悪いと思いつつ、ついニヤついてしまう。
と、今度は大君から電話がかかってきた。

「もしもし?」
『もしもし?被り物させられた写真見たの!?』
「見たよ、どっちも似合ってたね。」
『嬉しくねぇ~!』

大君が心底嫌そうな声を上げると、後ろから笑い声が聞こえる。
荻野君達がそばにいるようだ。

「あの被り物、どうしたの?」
『今朝、教室に入るなり荻野達に被らされたんだよ。おかげでクラス中の笑いもんだよ…。』
「ふふ、やっぱり。それであんな顔してるんだ。」

見えないのに、友人達に囲まれながら困った様子で首を掻く大君の様子が目に浮かぶ。
それがなんだか微笑ましくて、思わず頬が緩む。

『それより、いつの間に荻野と連絡先交換してたんだ?』
「結構前に荻野君から聞かれたの。時々、大君の写真送ってくれるよ。」
『荻野は後でシメる。どうせ碌な写真ないんだろ?恥ずかしいから荻野が送った写真、全部消して!』
「えー…やだな。」
『やだって、アナタね…。』
「だって、学校での大君が見られるの、嬉しいんだもん。」
『…そう言われちゃうと、何も言えない。』
「じゃあ、これからも送ってもらっていい?」
『仕方ねぇな…。そのかわり!久莉奈の写真も、藤真に送ってもらうからな!』
「えー、やだな。」
『なんでだよ!?』
「藤真に変な写真撮られたくないし…。そもそも藤真に写真撮らせるの、いいの?」
『…やだ。』
「ふふ。じゃあ、諦めて下さい。」
『くっそ…なんか悔しい。じゃあ、久莉奈が自分で撮って送ってよ。じゃないと、荻野にもう送らせない。』
「えー…わかった。じゃあ、今度は動画も送ってもらお。」
『マジか…。』

渋々だけど、動画も承諾してもらって電話を切る。
大君はずっと納得いかない様子だったけど、時々しか出来ない電話でのおしゃべりが出来て、私の心はホクホクだ。

「ね、写真撮ってもらっていい?」
「いいけど。彼氏に送るの?」
「うん。あ、これと一緒に撮って。」
「あは、いいね。」

面白がりながら、親友は写真を撮ってくれる。
携帯の画面の大君と一緒にツーショット。
我ながら最高級の笑顔が撮れた。
その画像にこう言葉を付けて、大君へ送った。


『ハッピーなハロウィン!だよ』


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