●64世紀(推定)：Blooming Blue（ブルーミングブルー）

　滅亡したはずであった旧人類の少女二人が、ヲアルヅ領内の辺境で目を覚ます。
　はじめはスワスチム人と間違われて孤立していたものの、数々の戦いの中で亜人たちの信頼を勝ち取った旧人類の少女は、自称“魔法使い”としてスワスチム共和国のヲアルヅ侵攻を何度も食い止める。
　しかし、ヲアルヅ正規軍による裏切りによって少女が指揮する辺境遊撃部隊“ビーツ―隊”は壊滅し、その後の消息は不明となった。
　ビーツ―隊のメンバーは激流に飲まれて消えたため、遺体は確認されていないが、そのまま海まで流されれば海洋性の皇獣（おうじゅう）に捕食されたことだろうから、遺体は残ってはいないと考えられる。

　以後は再びヲアルヅとスワスチムの戦争は拮抗状態となったが、半年後、突如として現れた奇妙な仮装集団が戦争に介入し始め、ヲアルヅ、スワスチム、両国の軍隊を襲撃するようになる。
　双方が疲弊したことと、ヘアツウ司教国の暗躍で戦争が操作されていたことが仮装集団“ハロウィン”によって暴露されたことで、両国は4000年の確執を超えて和平を締結。
　同年中にヲアルヅ-スワスチム-ハロウィン連合軍が編成され、ヘアツウ司教国は事実上の崩壊を迎える。
　ヘアツウ司教国の崩壊後、旧ヘアツウ領はヲアルヅとスワスチムの両国が共同で管理する特区として扱われ、仮装集団ハロウィンはリーダー格の黒魔女を含め、一人残らず忽然と姿を消してしまった。

　余談だが、ハロウィンとはニヲスィ時代以前の言葉であるらしい。
　そういえば、消息不明となったあの部隊を率いていた旧人類の少女も、魔法使いとして振る舞っていたような――？