5


「おはよう！美凪！」


「おはよう、ぱぱ！」


「昨日はよく眠れたかい？」


「うん！ちゃんと入学式の準備もしたし準備は万全だよ！」


「HAHAHA！さすが、我が娘だ！さぁ、朝ごはんを食べて行くとしようか」


「うん！」






よく晴れた春の日、美凪は高校生へとなる日を迎えていた



あの日から数十年の年月が流れ、美凪はオールマイトと暮らしている。そして、彼の事を父として慕っていた


あれから色々な出来事があった


楽しいこと、驚くこと、嬉しいこと


その中にはとても悲しいことも含まれていた





美凪が小学生の頃、ゲーテが亡くなったのだ






それはガイアと渚の仇である敵に致命傷を与える事と代償だった


オールマイトと共に仇である敵と対峙した2人は全力で仇を取ろうとした


しかし、敵も総力をあげて挑んで来ており双方互角と言ってもいい戦いだった




その中でオールマイトは敵の攻撃を受け呼吸器損傷と胃を全摘しなければならない程の傷を受けた



そして、ゲーテは相打ち覚悟で敵と対峙し、致命傷を与える代わりに命を落としたのだ











病院に運ばれた2人を前にした時、美凪は深い恐怖を覚えた



また大切な人が亡くなる



どうしても助けたかった


だけど助けれなかった




そんな美凪にゲーテが最後にかけた言葉は




“ありがとう、美凪は立派なヒーローになれる”だった





その言葉を最後にゲーテは命を落とした





オールマイトが奇跡的に助かった時、美凪は初めて声を出しながら泣いたという



その涙にたくさんの意味が流れている事を考えた時、オールマイトはこの子の為に生きなければとそう強く思った




そして、ゲーテの意志を継ぎ美凪の第2の育ての親となったのだ





それからはゲーテが美凪にして来たようにガイアから受け継いだ個性の使い方を教え、自分に出来る限りの事をしていった


渚から受け継いだ人魚の力が想像を超えたものだと知った時、戸惑う反面その力を隠すことなく、おごることなくただ、人のために使いたいのだと言う美凪に根っからのヒーローなのだと感動したのはつい最近のことのようである










そして、数年の時は流れ彼女はヒーローになるための1歩を踏み出す





テーブルの上に並べられた写真を見て美凪は笑顔で声をかけた



「パパ、ママ、おじいちゃん...行ってきます！」




歩き出した後ろではまるで祝福するかのように桜がヒラヒラと舞い、遠くで海が優しく輝いていた








これは彼女達が最高のヒーローになるまでの物語




◇continue◇