２

ゲーテと暮らす事になった美凪は知らない街のそのまた山奥へと来ていた


「ここが今日からお前の家だ」

「自然がたくさんあって素敵な所だね！」

「...嫌じゃないのか？」

「どうして？とっても素敵！」



屈託なく笑う美凪を見てゲーテは心の中で驚いていた

普通の子どもならこんな不便で何も無い所は嫌がるものだと思っていた


それと同時にあぁ、この子はやはりあの2人の子なのだと、そんな嬉しい気持ちになっていた







それからはゲーテの家で様々な経験を積んでいった


ゲーテはプロヒーローとしての経験、知識、技、教えられるものは全て伝えていったのだ


ガイアと師弟関係であったため、ゲーテは渚の正体が人魚である事を知っている数少ない人物の1人だった


そして、娘である美凪も人魚の力を受け継いでいることも知っていた


人魚に関する力は渚から聞いていたものの、実際にどんな能力なのかは未知数であったため、美凪の成長と共に訓練をしていくことになった


その代わり、ガイアから引き継いた魔法の個性が使えると分かった時には、さすが元担任であっただけあってか、個性の使い方を徹底して教えこんでいった



また、個性に頼り過ぎず己の身体も鍛えヒーローとして活躍していたゲーテの教えを引き継ぎ、個性だけではなく体術など個性に頼らない戦い方も体に叩きこんでいったのだ



その時間はとても辛く、きついものだった



たった4歳の子にしてみれば到底耐えられるものではなかったが、美凪は一度だって弱音をはいたり涙を見せる事はなかった




そんな中でも美凪はゲーテを本当の祖父のように慕い、ゲーテもまた、美凪を大切に育てていた



一緒に遊び、寝て、食べ、たくさん作った思い出は数しれない


美凪は自分を引き取ってくれたお礼にと少しでもゲーテと過ごす中で家事全般をこなすようになった。もちろん、ゲーテはそんなことしなくてもいいと初めは反対していたが、元から渚のお手伝いをしていた美凪にとってはむしろ進んで行いたいと言って聞かなかった




それにより、美凪の家事スキルは年齢とは似つかわしくないほど上がっていき、中でも料理に関してはゲーテの胃袋をも掴むものだった




2人はたくさんの思い出を作りながら幸せな時間を過ごしていた