５


美凪は冷たくなったガイアの手をずっと握っていた



「いい顔をしているな」



そう言ったのは白髪の男性だった



「いい顔...？」


「あぁ、後悔のないいい顔だ。最後までこいつらしく生きたんだろう。」


「パパは..ママとパパは、ほんとに私を助けて死んじゃったこと、後悔してないのかな...」


「当たり前だ。お前さんの大好きな2人がそう言ったんなら、お前さんはその言葉を信じろ」


「...っ、う、ん....！」


「俺の名はゲーテ。これからお前さんと一緒に暮らすじじいだ。よろしくな」


「はっ、い...！」













♢♢♢



美凪と別れた帰り道から1週間、幼馴染みの姿が消えた事で心配していた出久と勝己は保育園から帰る道を歩いていた


「ついてくんなや」


「し、仕方ないよ...帰り道一緒なんだから」



「ちっ」


「みおちゃん...どこにいっちゃったんだろうね...」


「なんかあったに決まってんだろ」


「何かって...」


「知るかよ、でも、ここ1週間家に電気もついてねぇ。そんなのおかしいだろ」



『かっちゃんも毎日みおちゃんの家を見てるんだ...』



2人の足は自然に美凪の家へ向かっていた。そんな2人を待っていたかのように目の前に1人の女の子が立っていた


「みおちゃん！」


「っ！」








2人の姿を見た美凪は駆け出していた。そんな美凪の後を追って2人も駆け出し、3人はいつのまにか海辺へと来ていた



「おい！みお！」


「みおちゃん！なんで逃げるの⁈」


「ごめんね、2人とも...」


「どうしたの？ずっといなかったから心配してたんだよ？」


「....」


「なんかあったんだろ？」





「...パパとママが、死んじゃったの」






「そ、そんな...なんで...」


「あの日、2人と別れた後にヴィランに捕まって...私を助けに来てくれたパパとママが敵に...」


「...くそっ！」






「今日は2人にお別れを言いに来たんだ」


目の前で悲しそうにそれでいて、とても綺麗に笑う美凪を見て2人は嫌な予感しかしなかった