可愛いナイト.１

旅の途中、小夜達はオーキド博士からの頼み事を聞きある洞窟の近くへとやって来ていた。何でも文字のようなポケモンが見られ、そのポケモンが何か調べて欲しいというのだ。

目的の洞窟の近くへと着いた小夜達は今日はもう遅いとの事で、明日洞窟を調べるという流れになり近くにテントを張って野宿をすることになった。




次の日

いつものように朝練をしていたメンバーを見ながら、小夜はオーキド博士から聞いた文字のようなポケモンについて考えていた。

『本当にそんなポケモンいるのかな？』

そう思った時目の前に見たこともない生き物が現れた。その生き物は“文字”のような姿をしていたのである。

『これって‼」



時を同じくして朝練をしていたグレンとナイトの攻撃が相殺したように大きな音を立てて土煙をあげた。

その勢いのせいで気流が発生しさっきまで小夜の前にいた生物がナイトの目の前まで流されてきた。そして、そのまま眩しい光を放ち辺りを包み込んでしまった。

光が消えた後“文字”のようなポケモンの姿はなく、代わりに未だ土煙が立ち込めていた。

ったく、何だったんだ。おい、大丈夫か？

「うん。私は大丈夫？みんなは？」

小夜が辺りを見渡すとそれぞれが大丈夫だと土煙から顔を出した。

「あれ...ナイト？」

ナイトの姿が見えない事に気づいた小夜が声を掛けるが返事はなかった。そして、土煙がはれた時そこには小さなポケモンが佇んでいた。

「リオル...?」

小夜がそう呟いた時、ちょうどリオルと視線が合った。
そしてその瞳が見慣れた優しさと聡明さを持った瞳だと理解した時、大きな瞳から大粒の涙が流れていた。

「へっ⁈わっ、ど、どうしたの⁈大丈夫⁈」

うわ～ん！怖いよ～！

突然泣き出したリオルを見て周りにいたメンバーも近寄って来た。

こいつなんだ？どっからきた？

あら、リオルじゃない。こんなところにいるなんて珍しいわね

可愛いですね～

そうかな？可愛さなら僕の方が上じゃない？

...ナイトはどこに行ったんだ？


各人が思い思いの事を言っている中でもリオルの涙は止まりそうになかった。そんなリオルの様子を見て小夜は優しく声を掛けた。

「私は小夜。大丈夫だよ、怖い事は何もないから。それに、あなたはナイトでしょ？」

小夜がそう言ったのを聞いて全員が驚いた。

そいつがナイト⁈

確かにさっきからナイトさんの姿が見えないようですけど...

もしかして、さっきの光と何か関係があるのかしら？

そうだろうな...。それに、ルカリオの進化前はリオルだ。さっきの光が影響してリオルになったと考えるのが妥当だろう

でも、なんでナイトだって分かったの？

コアの質問に小夜は小さなリオルを抱っこしながら答えた。

「だって、この瞳はナイトだもん。リオルになったって変わらないよ」

そう答えた小夜に全員が誇らしい気持ちになった。
どんなに姿が変わろうとも、小夜は自分たちの事を分かってくれるのだと。