看病と言う名の愛.４

無我夢中で走り続けたグレンは一夜で山を駆け抜け、夜明け前には眼下に見える灯りを捉えた。

はぁはぁはぁ...着いたぞ

グレン、大丈夫？

あぁ、それより早く病院に行くぞ！

まだ薄暗い中グレン達はポケモンセンターに着いた。そして、ナイトが扉を叩くとしばらくしてジョーイが出てきた。

「あら？こんな時間にどうしたの？っ！その子とストライクはどうしたの?!」

「ラッキー！急いでストレッチャーを！」

ジョーイがラッキーを呼ぶとストレッチャーを押しながら走ってやって来た。


そして、小夜とストライクをストレッチャーに乗せると慌てた様子で処置室へと入っていった。


小夜...

後は任せる他ないでしょう...

...






処置室の扉が開いたのは太陽が空の真上に登った頃だった。

処置室から出てきたジョーイは扉の前にいたグレン達を見て声をかけた。

「あなた達のトレーナーさんは大丈夫よ。一緒にいたストライクもね。」

「病室へ移すからあなた達もいらっしゃい」

病室へと移動する際グレン達だけではなく、ボールに戻っていたジンやコア達も出てきたため、ジョーイの働きによって大部屋を用意してもらった。(ちなみに、ミズキの為に水槽を用意してくれた)



グレン達はベッドに寝かされている小夜を見つめていた。

小夜の状態はどうなんだ？

ジョーイの話しでは命に別状はないそうです。ただ...

ただ、なんだ？

体が濡れていた事で体力が極端に奪われたから回復には時間がかかるかもしれないそうよ

そんな...！ちゃんと目は覚めるんだよね?!

...。

なんで何も言わないんですか!?
目は覚めるって言ってください！

後は本人の回復力次第だそうです


ナイトの放った言葉を聞いた後、誰も口を開く事はなかった。そして、そのままその日は過ぎていった。






次の日

ジョーイが全員分のポケモンフーズを持ってきており、小夜の容態を確認していた。
状態に変化はないとの事だったが、しばらく熱が出るかもしれないと話しているのを全員が聞いていた。

ジョーイの言った通り、しばらくすると熱が出たようで時折苦しそうな声が聞こえていた。

そんな小夜を見て、ミズキが水鉄砲で水を出しコアがグレイシアの姿で氷を作って袋に入れ、ジンがそれを小夜の額に当てながら介抱していた。

マリアは癒しの波動を定期的に小夜の体におくり、ナイトはその効果を高めるために波動をおくっていた。

そして、グレンは熱からくる寒さで震えている小夜の傍に寄り添い、小夜を暖めていた。

それぞれが、自分に出来ることを行い小夜の回復を信じていた。