６９．心の仲間

グレンが進化したことを皆に報告したところで、マリアがふと疑問に思っていたことを口にした。

そう言えば、ジンは何で進化してないの？

そうですね、ジン程の強さであればもう進化していてもおかしくないと思うのですが

あぁ...オレは自分の力を抑えていたんだ。タツベイの姿でも強すぎると恐れられていたから...。進化なんてしたらもっと怖がらせると思ったからな...。

ここに来てからも何となく進化しなかったんだ

「ジン...」

まぁ、進化しようと思えばすぐにでも出来るんだが

ジンかそうあっけらかんと言うと周りはその事実に驚いた。

そうなの？！なら進化したらいいじゃない！

いや、今はまだタツベイの姿でいい

「どうして？」

小夜にだっこしてもらえるからな

(((はっ？)))

そ、そんな理由で？

小夜に抱きしめてもらうのはいい気分だからな。だから、今はまだタツベイでいいんだ

そう満足げに話すタツベイを４人はポカーンとして見ていた。

進化したい時に進化していいことを小夜が再度ジンに伝えると、ジンは頷いていた。


野宿の片付けをしている時、グレンが小夜に声をかけた。

次はどこに行くんだ？

「うーん、どうしようかな...」

決まっていないようでしたら、一度ハナダシティに戻ってどうですか？どこに行くにせよ、一度ハナダシティを通らないといけないでしょうから

「そうだね。一回ハナダシティに戻ろうか」

こうして一行は一度、ハナダシティに向かう事となった




岬を出発しようとしていた時、小夜はどこからか視線を感じた


「ジン、あれ見て...！」

そう小夜に声を掛けられたジンが見た先には、洞窟で出会ったサイドンを始め数匹のポケモンがこちらを遠くから見ていた

あいつら...

ジンとサイドンの視線が合うとサイドンは静かに頷いた。
その姿を見たジンもサイドンに向かって頷くと、彼らはゆっくりと洞窟と消えて行った。

「...きっと見送ってくれたんだね」

仲間でも何でもなかったのにな...

「それでも、彼らにとってジンは大切な人だったんだよ。きっと心の中では繋がっていたんだね。これからも。」

あぁ...

サイドン達が去った場所をしばらく見つめ、小夜は新しい旅へと歩みを進めた。

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サイドンさん...優しく見送ってくれてありがとう（泣）