５８．お友達

水中バトルショーは大盛況に終わり、企画したさくらからは大いに喜ばれた。

「今回のショーでだいぶ儲けたらしいわよ」

「そ、そうなんですか」

満面の笑みのさくらを横目にカスミが小夜へ耳打ちすると、にっこり笑ったままさくらがこちらを見ていた。

「なにかしら？（にっこり）」

「な、何でもないわよ！そ、そうだ！小夜に渡したいものがあるの。こっちに来て！」

さくらから逃げるように連れて来られた場所には、ボタンとあやめの２人がいた。

「あの、どうしたんですか？」

「これを渡したかったの」

そう言ってカスミが小夜に渡したのは、ハナダジムに勝った証であるジムバッチだった。

「これ...」

「そのバッチをもらって欲しいの」

「そんな！私ジム戦してません。だから、受け取れないです」

「いいのよ、元々無理やりお願いしたのは私だし。それに、小夜の実力なら悔しいけどジム戦にも勝てたわよ。」

「えっ？」

「そうよ！小夜ちゃんの実力ならカスミなんてあっという間に負けてたでしょうしね」

話しを聞いていたアヤメも小夜にそう言い、隣にいたボタンも頷いていた。

「ほんとにいいんでしょか...」

「私がいいって言ってるんだからいいの！それでも気が引けるって言うなら...１つお願いがあるんだけど」

「お願いですか？」

「私と友達になってくれない？」

「っ！お友達...」

「ダメかしら？」

「い、いえ！あの、私でよかったら...お友達になってください...！」

「えぇ！友達よ！」

そう言ってカスミはジムバッチを小夜に渡した。

ジム戦に勝った証として。そして、友達の証として。




水中バトルショーが終わった日の夜、小夜達はハナダシティのポケモンセンターで体を休めていた。

「マリア、今日はお疲れさま。とっても素敵だったよ」

小夜の指示が良かったからよ＊ダンスも上手に踊れてたわね♪

「なんとかね」

小夜が苦笑していると、ふいっとオレンジ色の尻尾が目の前を通り過ぎた。

「グレン？」

よかったじゃねぇか

「そうかな...？」

小夜もマリアもとても素敵でしたよ

「２人とも見ててくれてありがとうね」

今日は疲れたでしょうからゆっくり休みましょう

「そうだね、マリアもゆっくり休んでね」

小夜もね

こうしてハナダシティでの夜は更けていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハナダシティ編がやっと終わりました＊
次から新しい子のお話に入ります。今後もお楽しみ頂けると幸いです＊