131.家族になろう


世界に色はなかった

無機質な世界だけが広がり感情もいつしか消えていた

希望はなかった

ここから出れるはずもないし、このまま時だけが過ぎていくのだとそう思っていた


それでもかまわないとそう思っていた



なのに


涙で滲んだそこには色が広がっていた


誰よりも優しい紅

紳士な紺

可愛い黄緑

強い心の紫

無邪気な茶色

綺麗なクリーム色


望んでも手に入らないと思っていた世界がここにはあった


大好きな色が目の前に広がっていた


「み、みんな...」

小夜！私は小夜とずっと一緒にいたい！

離れても仕方ないなんて言わないでよ！僕は小夜と一緒にいたいんだよ！

オレは小夜と一緒にいることで幸せなんだ。離れるなんて言うな...！絶対に離れない！

これからの旅だって小夜と一緒です！

小夜、あなたは私たちの全てです

俺達はお前から絶対に離れない。何があってもだ





俺達は／私達は家族だ(よ)





家族

それは幻想のようなものだった

近くにいるはずなのにとても遠い場所にあって、自分がその中に入れることはもうないのだとそう思っていた

求めるだけ無駄なのもでいつしか諦めたはずなのに

それでも心の片隅に隠れるように思っていたことは



家族が欲しいと そう願っていた



叶うはずのない夢だと思っていたのに


諦めていたはずなのに



1番欲しい言葉をみんなが言ってくれた


大切な存在でなによりも尊い存在


だからこそ傷つけたくないと思って酷いことを言ってしまった

それなのにみんなは私の諦めていた夢を、願っていた事を叶えようとする言葉をくれた


心の底から込み上げてくる想いが涙となって溢れていた



そして言葉にしたいと、彼らに伝えなければと思った




「わたっ、しも...わたしもっ！家族になりたいっ！」



その言葉を全員が聞いていた


そして、全員が泣き小夜の事を抱きしめていた

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後少しです＊
(後少しです詐欺にならないよう気をつけます！)