リク 彼女が合コンに行って怒る乱数
合コン行った彼女を怒る🍬
今日もカラフルな事務所にはカラフルな彼と、色とりどりのオネーサン達が働いていた。
仕事柄職場に女性が多いのも、女性と関わる機会が多いのもわかってはいる。
それにしても、彼の〝創作の為の刺激〟という名目の女性への手出しが多過ぎる。仮にも私という彼女がいるのにだ。
彼の創作には役には立てないらしい私は、何故彼女という位置にいるのか分からない。
ほんの少し気まぐれで、仕返しのつもりで、友人の誘いにいいよって返信した。
「乱数ちゃん何も言わなかったの〜?」
「普通に出かけるから今日は行かないしか言ってない」
ええ〜っ⁈と自分から誘っておきながらオーバーリアクションで綺麗に巻かれた髪の毛を揺らす彼女が憎たらしい。
「まぁでも、たまには気晴らししていこ」
今回の合コン相手はねー、そうやって私の手を引いてヒールを鳴らす彼女の背中はキラキラしていて、これが創作の為の刺激かな、なんて考えた。
「じゃあとりあえず、カンパーイ!」
あちこちでグラスとグラスがからんからんと音を当てあう中、私は申し訳程度にグラスを差し出すだけで、飲み物を一口飲んだ。
皆が盛り上がり合う中、適当に相槌を打って、聞かれた事にはほどほどに返して、質問返ししてみたり、それっぽい事をしてやり過ごした。
その中で、女の子達は皆男の子の好感を得るために少しあざとくみせてみたり、さりげない仕草でアピールしたり、完璧に着飾った中で更に可愛く見せようとする姿を見つけて、自分と比べた時の自分の情け無さに息苦しくなった。
「ちょっとお手洗い行ってきますね」
「あ、私も〜!」
友人が後を追うように可愛く手を挙げる。
「思ってたより楽しくなかった?」
「ううん、楽しいよ。でも」
「でも?」
「乱数が求めてるもの、なんとなく分かった気がする」
鏡ごしに見る彼女の顔はきょとんとしていて男たちに見せたらイチコロだろうなぁって思いながら、先に行くねと友人に軽く手を振った。
「あんまり話すの得意じゃないの?」
「え?…まぁ、うん、得意ではないかな」
それぞれが個人的に会話を始め出したら、目の前のさわやかな男の子が話しかけてくれた。
「実は俺もあんまり得意じゃないんだよね」
「そうなの?」
「うん、なんか、なんて言おうかなーって悩んじゃう」
「あー、分かるかも」
分かってくれる?って軽く笑う姿は様になっていてかっこいいなーなんて思ったし、お酒も入っていたからかその後会話が弾んで、携帯に着信が入っている事なんて気づいていなかった。
「そろそろ二件目とかどう〜?」
「いいねー!いこいこ!」
皆で大盛り上がりする中、彼がこっそりこの後2人でさ、言いかけた言葉は聞き慣れた高い声に遮られた。
「あっれ〜?オネーさん、こんな所でボク抜きで楽しんでたの〜?ズルイズルイズルイ〜っっ、連絡も無視しちゃってさぁ!」
突然の乱数の登場に皆驚きながらも女の子たちはキャーって盛り上がると反対に慌てて携帯を見るといくつもの着信履歴のついた画面にサーっと血の気が引いて行く。
「そんなに、楽しかった?」
側から見ればいつもの笑顔、いつもの声だけど、少し低めの声がお怒りだと察するには充分だった。
「僕も今度は誘ってね〜ん♪バイバーイっ!」
当たり前のように手を引かれて連れて行く乱数にどうしようと悩んでいる私が、乱数が彼の事睨んでいたなんて知りもしない。
バタンと車の助手席に乗せられて、エンジン音だけが聞こえる空間に胃がキリキリと痛みだす。
「何か僕に言わなきゃいけない事なぁい?」
飴をガリッと小さく噛みながら抑揚の無い声で問いかけられる。
「合コンの事、言わなくて、ごめん」
「ねー」
「でも、なんであそこにいるって」
「僕の事、舐めすぎじゃない〜?」
赤信号に照らされた乱数の顔がこちらを向いて目を離したら死んでしまうようなぐらい縫い付られて、離す事が出来なかった。
「僕の事嫌い?」
「嫌い、じゃない、」
「じゃあ、なんで」
そこで青信号に変わって、乱数が前を向く。
そっと自分の手元に目を落として、探るように言葉を選んだ。
「乱数の周り、いつもオネーさん達がいて、皆キラキラで綺麗で可愛くて、乱数の事応援したいけど、いっぱいオネーさん達に手も出して、こんな私がなんで彼女なのか、なんで付き合ってるのにって思ったら、ちょっと、仕返ししてやろうって」
「それで合コン行ったの?」
「…うん」
小さくため息をついてから、ボタンを操作してラジオが流れ出す。
「今回はボクのせいだったんだね〜もうっ、ボクのバカバカバカっ!でも、嫉妬してくれてるなんて思ってなかった、可愛い」
「な、にを」
あはは〜顔真っ赤〜ってケタケタ笑う姿にやっぱり好きだなって思うし、どうでも良くなってくる。
「あんまり嫉妬させちゃうのは〜、良くないから、これからは気をつけるねっ♪あとあとあと、オネーさん達みたいになろうとか思わなくていいよ?そのままのじみ〜なままでっ」
「…バカにされてる?」
「ブブーっ違う違う〜、その方が僕の好きな色に染まってくれるでしょ?」
ね?って飴を差し出してくる表情が優しすぎてこれが惚れた弱みかって頭と胸が痛くなる。
「これからは勝手に合コンとか行っちゃ、メッ!だよぉ?」
「はーい」
「よーし、じゃあこのまま深夜のドライブデートしーちゃおっ♪とりあえずドライブスルーだ〜!」
何にしよっかな〜ルンルンなんて上機嫌な彼にさらわれて、明日の事を考えるのを放棄するように飴の包みを捨てて、飴を舐め出した。
窓の外は電気で色づいていて、まだまだ夜は長いらしい。
今日もカラフルな事務所にはカラフルな彼と、色とりどりのオネーサン達が働いていた。
仕事柄職場に女性が多いのも、女性と関わる機会が多いのもわかってはいる。
それにしても、彼の〝創作の為の刺激〟という名目の女性への手出しが多過ぎる。仮にも私という彼女がいるのにだ。
彼の創作には役には立てないらしい私は、何故彼女という位置にいるのか分からない。
ほんの少し気まぐれで、仕返しのつもりで、友人の誘いにいいよって返信した。
「乱数ちゃん何も言わなかったの〜?」
「普通に出かけるから今日は行かないしか言ってない」
ええ〜っ⁈と自分から誘っておきながらオーバーリアクションで綺麗に巻かれた髪の毛を揺らす彼女が憎たらしい。
「まぁでも、たまには気晴らししていこ」
今回の合コン相手はねー、そうやって私の手を引いてヒールを鳴らす彼女の背中はキラキラしていて、これが創作の為の刺激かな、なんて考えた。
「じゃあとりあえず、カンパーイ!」
あちこちでグラスとグラスがからんからんと音を当てあう中、私は申し訳程度にグラスを差し出すだけで、飲み物を一口飲んだ。
皆が盛り上がり合う中、適当に相槌を打って、聞かれた事にはほどほどに返して、質問返ししてみたり、それっぽい事をしてやり過ごした。
その中で、女の子達は皆男の子の好感を得るために少しあざとくみせてみたり、さりげない仕草でアピールしたり、完璧に着飾った中で更に可愛く見せようとする姿を見つけて、自分と比べた時の自分の情け無さに息苦しくなった。
「ちょっとお手洗い行ってきますね」
「あ、私も〜!」
友人が後を追うように可愛く手を挙げる。
「思ってたより楽しくなかった?」
「ううん、楽しいよ。でも」
「でも?」
「乱数が求めてるもの、なんとなく分かった気がする」
鏡ごしに見る彼女の顔はきょとんとしていて男たちに見せたらイチコロだろうなぁって思いながら、先に行くねと友人に軽く手を振った。
「あんまり話すの得意じゃないの?」
「え?…まぁ、うん、得意ではないかな」
それぞれが個人的に会話を始め出したら、目の前のさわやかな男の子が話しかけてくれた。
「実は俺もあんまり得意じゃないんだよね」
「そうなの?」
「うん、なんか、なんて言おうかなーって悩んじゃう」
「あー、分かるかも」
分かってくれる?って軽く笑う姿は様になっていてかっこいいなーなんて思ったし、お酒も入っていたからかその後会話が弾んで、携帯に着信が入っている事なんて気づいていなかった。
「そろそろ二件目とかどう〜?」
「いいねー!いこいこ!」
皆で大盛り上がりする中、彼がこっそりこの後2人でさ、言いかけた言葉は聞き慣れた高い声に遮られた。
「あっれ〜?オネーさん、こんな所でボク抜きで楽しんでたの〜?ズルイズルイズルイ〜っっ、連絡も無視しちゃってさぁ!」
突然の乱数の登場に皆驚きながらも女の子たちはキャーって盛り上がると反対に慌てて携帯を見るといくつもの着信履歴のついた画面にサーっと血の気が引いて行く。
「そんなに、楽しかった?」
側から見ればいつもの笑顔、いつもの声だけど、少し低めの声がお怒りだと察するには充分だった。
「僕も今度は誘ってね〜ん♪バイバーイっ!」
当たり前のように手を引かれて連れて行く乱数にどうしようと悩んでいる私が、乱数が彼の事睨んでいたなんて知りもしない。
バタンと車の助手席に乗せられて、エンジン音だけが聞こえる空間に胃がキリキリと痛みだす。
「何か僕に言わなきゃいけない事なぁい?」
飴をガリッと小さく噛みながら抑揚の無い声で問いかけられる。
「合コンの事、言わなくて、ごめん」
「ねー」
「でも、なんであそこにいるって」
「僕の事、舐めすぎじゃない〜?」
赤信号に照らされた乱数の顔がこちらを向いて目を離したら死んでしまうようなぐらい縫い付られて、離す事が出来なかった。
「僕の事嫌い?」
「嫌い、じゃない、」
「じゃあ、なんで」
そこで青信号に変わって、乱数が前を向く。
そっと自分の手元に目を落として、探るように言葉を選んだ。
「乱数の周り、いつもオネーさん達がいて、皆キラキラで綺麗で可愛くて、乱数の事応援したいけど、いっぱいオネーさん達に手も出して、こんな私がなんで彼女なのか、なんで付き合ってるのにって思ったら、ちょっと、仕返ししてやろうって」
「それで合コン行ったの?」
「…うん」
小さくため息をついてから、ボタンを操作してラジオが流れ出す。
「今回はボクのせいだったんだね〜もうっ、ボクのバカバカバカっ!でも、嫉妬してくれてるなんて思ってなかった、可愛い」
「な、にを」
あはは〜顔真っ赤〜ってケタケタ笑う姿にやっぱり好きだなって思うし、どうでも良くなってくる。
「あんまり嫉妬させちゃうのは〜、良くないから、これからは気をつけるねっ♪あとあとあと、オネーさん達みたいになろうとか思わなくていいよ?そのままのじみ〜なままでっ」
「…バカにされてる?」
「ブブーっ違う違う〜、その方が僕の好きな色に染まってくれるでしょ?」
ね?って飴を差し出してくる表情が優しすぎてこれが惚れた弱みかって頭と胸が痛くなる。
「これからは勝手に合コンとか行っちゃ、メッ!だよぉ?」
「はーい」
「よーし、じゃあこのまま深夜のドライブデートしーちゃおっ♪とりあえずドライブスルーだ〜!」
何にしよっかな〜ルンルンなんて上機嫌な彼にさらわれて、明日の事を考えるのを放棄するように飴の包みを捨てて、飴を舐め出した。
窓の外は電気で色づいていて、まだまだ夜は長いらしい。
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