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ハヤブサの憧れ

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鳥の国の隼(シュン)。空色の少年は世間知らずで向こう見ずな子どもだった。過去に起こった龍の国との交わり。戦いの中での出会い。鳥の国の今に繋がる、少年の成長に大きな影響を与えたある事件の話題に興じよう。


鳥の国の王、羽梟(ウキョウ)の第一子。ハヤブサの一字を名前に持つ隼(シュン)。歳は二十六を数える。空色の髪と翼、爽やかな笑顔が印象の好青年だ。国のワルキューレ軍に所属しながらも、現鳥王(トリオウ)でもある父の職務を手伝う。そしてその父とぶつかる日々をおくっている。
彼は百八十七と言う高身長と、引き締まった筋肉質な身体を持つ。本来、鳥人(トリビト)は体格が小柄な種族である。平均的な身長も百六十そこそこ。身体の大きな龍人に比べれば、子どものようにもうつる種族だ。だがしかし。鳥王である父親の羽梟と同様に、隼は鳥人として見るには疑問を抱く程大きな身体を持つ。それは、高身長と力を誇る龍人に引けを取らず劣らない。

ある日、隼は二人の弟に詰め寄られた。弟である鶯真(オウマ)と鴻(コウ)は、二人で常々不可解に思ってきたことがる。兄の身体構造が同じ鳥人として異質すぎる、もはや怪異にもあたいする。何をどうすればそうなるのかと二人は物議を醸した。

「なぁ兄貴。」
「なんだ鶯真、鴻も、二人揃って。」
「どうして隼兄はそんなに大きいの?」
「ん。どうしたんだ突然。」
「筋肉量も鳥人ではあり得ねぇし。」
「鳥人って言うか龍人だよ。大きすぎ!何をどうやったらそんな肉体改造できるの!」
「そ、そうか…?個人的にはまだまだだなと思っているんだけどな。」
「馬鹿だろ、それ以上どうでかくなるんだよ。信じらんね・・」
「隼兄が目指す肉体基準って何処にあるの・・」

兄のまさかの発言に驚愕の色を隠せない弟二人。隼は苦笑いを浮かべる。ポリポリと頭を掻きながら、とある人物を思い浮べた。今は亡きその人の、あの悪戯っぽくも大胆な笑みを。

「俺の憧れの人がな、凄く頼もしくて、凄く強い人だったんだよ。」

隼の返しに、弟二人は顔を見合せ目をぱちくりさせた。そんな話は初耳だった。
興味深げにまた隼に顔を向ける。

「隼兄の憧れの人?」
「オヤジじゃなくて?」
「いや、勿論父さんも尊敬しているさ。ただ、その人は鳥人ではなくて、龍人の人なんだよ。」
「ええー!そうなの!?」
「へー・・、意外・・。」
「と言っても、もう随分前になるな。」


どんな人だったの?
戦ったの?
いつの話し?
等々質問攻めを受けたので、昔話をする事になった。
隼が、鶯真と鴻よりも幼い時の話しを。


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