Tatikawa
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「何しに来たの?」
いつもはそんなことないはずなのに、すげー酒臭い部屋になってた。
俺がいつも飲むであろう倍の数の空き缶や空き瓶がそこらへんに転がってる。
ボーダー隊員といえども大学生の借りてる部屋だ。
そこまで広い部屋じゃないが、そこらじゅうに転がってるゴミでせまい部屋がいつも以上に狭く感じた。
「いや、その…」
「悪いけど帰ってくれない?そんな気分じゃないの」
ぐいっ、と続けざまにいろいろな酒を飲んでいく。
もともとこいつは酒に強いが、さすがにこんだけ飲んでは危ない。
いつもは俺がされる側になるんだが、空き瓶や空き缶を拾いながら彼女へと近づくと
「うぉ!!!?」
酔っているとは思えないほど正確なほどに空き瓶が飛んできた。おそらく今飲み終わった分だろう。
後ろのほうで瓶が割れた音がする。
「悪いけど帰ってくれない、って言ったよね。私」
「さすがに帰れねぇだろ」
「なんで?」
「だって、よ…お前、放っておけないってか…」
「どうして?」
「…彼女だし」
「誰が?」
「…お前が」
「へー、そうなんだ」
知らなかった、とつづけるname。
さすがのnameも堪忍袋の緒が切れたというやつだろう。
頭の悪い俺でもそのくらいわかる。
nameは強い女だった。
A級だし、ソロだし、そのうえ攻撃手。
なのに女らしくてそこらへんの隊員の世話を焼いてるのも知ってる。
付き合ってからは俺の面倒もよく見てくれた。
だが、さすがにnameのなんていうか…几帳面なところが俺には合わないこともあって、言い合いになったりしたこともある。
そのたびにnameがため息をついて妥協点を見つけてくれて、俺もそれに納得する。
喧嘩の終わりはいつもそうだった。
だが、今日は違う。
「…悪かった」
「なにが?」
「…約束破った」
「そうなの?」
「…」
「そんな約束してないからほかの子と約束してるんじゃない?」
本当に酔ってるのかわからないほど饒舌にしゃべる。
nameとの約束があったのは覚えていた。
たまりにたまったレポートを手伝ってくれとの約束だ。それも俺から声をかけた。
いつものことだとnameもため息をついてわかったと返事をしてくれて。
それから、俺は大学の友達に声をかけられた。
いつもの合コンの誘いだ。
ちょーっと顔をだしてからすぐにnameの家に帰るつもりだった
そう、つもりだった。
だが、実際はその誘われてるところをnameに見られていて
合コンがいざ始まりますっていう時間に
『今日家、来なくていいから』
その一言だけ残して電話を切られた。
やべー、って思ったときにはすでに遅く。
んで、家に急いで戻ったらこんな感じだ。
さすがにnameも切れたか…。
「…悪かった…」
「…まえからずっと思ってたんだけどさ、太刀川。あんた私のことめんどくさいって思ってんじゃないの?」
「…」
「本当は誰かに見栄を張りたかっただけで、別に付き合いたいとかそんなこと思ってないとか」
「…」
「もっときれいでかわいくて、あんたのこと大好きな子がいるんじゃないの?」
確かに、nameと俺とは違いすぎるし、前々からすこし鬱陶しいと思うところもあった。
でも
「なあ、name」
「なに」
「前からずっとっていってたけどよ。
そんなことずっと考えてたのか…?」
そう思うと、こいつは俺が思うよりもずっと俺のことを見てたんだと改めて思わされた。
「確かに俺はずぼらだし、お前が思ってるよりもずっとだらしない。
それに、お前の几帳面なところすげーめんどさいと思ったことも確かにある」
「…」
「だけどよ、お前を好きだって気持ちまで疑われるのは心外だ」
俺がお前に惚れたんだ。
俺にはもったいないくらいいい女だって、そう常々思ってる。
そんなお前に甘えてた部分もあった。
情けない男だろう?そう笑ってくれてかまわない。
だけど
「お前が隣からいなくなるのはいやだ」
「…本当」
子供みたいな思考回路
拳を思い切り頭に落とされて、すげー痛かった。
「これでチャラ。次やってごらんなさいな、忍田本部長直々に出てきてもらうから」
「そりゃこえーな」
部屋に入って、初めてnameの肩に触れる。
次の瞬間、思い切り自分の体以上にでかい俺の体をいとも簡単に投げるのだけれど
そんなことされても俺は結局こいつが好きなんだ。