Jin
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nameは時々不安定になる。
それは、旧ボーダーの人間ならだれでも知っていることだった。
いつものように、玉狛の自室へと足を向けるとき、ふと、なんとなくnameの部屋の前で足が止まった。
nameのそういう未来を視ていないわけじゃない。
でも、それが今日であるかどうかはわからない。
たぶん今日なんだろうと、何となくわかった。
「nameー?」
ノックをするが、まったく反応なし。
慣れたように扉に手をかけると、簡単にノブは回った。
部屋は電気もついておらず、月明かりだけが窓から差し込む。ああ、今日は満月だった。
nameはというと、ベッドの脇に座り込み、ベッドに顔を押し当てている。
「name」
そっとやさしく、できるだけ柔らかく。
こうなったnameはとても敏感だ。
扉をそっと後ろ手で閉め、ゆっくりと近づく。
ようやく気付いたのか、顔を上げこちらを振り返る。
涙でぬれた瞳が俺の姿をうつした。
「どうした?」
「悠一…」
「おいで」
近づいて、膝をつき両手を広げる。
すると、吸い込まれるようにnameが飛びついてくる。
あったかい、nameの体。それが少し震えている。
背中へと腕を回し、体を抱きしめる。
「大丈夫だよname、俺は生きてる」
「悠一…さみしい」
「そうだね、さみしいね」
「さみしい…」
「俺がいるよ、小南だって、レイジさんだって、みんないる」
「うん…」
「nameがいなくなるとさみしいよ、俺もみんなも。だからここにいて」
「うん」
人は誰かに必要にされなきゃ生きていけない。
nameはそれが顕著だった。昔から。
だから、「師匠」であった最上さんがいなくなった時、一気にnameは崩れた。
今はその形を一つ一つ取り戻してきてはいるが、不安定なのは変わりない。
「nameが必要だよ」
「悠一」
「すごく大事だ」
「…ありがとう」
「ごめんね」というnameの小さな言葉。
謝るのは俺のほうだと、ずっと思ってる。
こうしてnameを縛りつけることしかできない俺、nameとこうして、お互いの穴をお互いで埋めていくしかないんだ。