Jin
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強烈な痛みが目を走ったことで、さすがの俺もその場にうずくまった。
両隣を歩いていた太刀川さんと風間さんがぎょっとしてる。
ちょっとまって、整理させて…でも痛い、頭も痛くなってきた。
「おい、迅!!」
「大丈夫か?」
「これって医務室いったほうがいい?」
「ちょっと、待って…」
視界もぶれる。徐々に痛みは治まってきたけど、どうしてこうなったのか少し記憶をさかのぼらなきゃならない。
太刀川さんと風間さんが医務室がどうだとか言ってるけど、それ以上に気になるのは
こうなる直前に視えた曲がり角の向こう側。
「大丈夫!?」
「誰か倒れてるぞ!!」
「医務室に連絡して!!」
風間さんが急いで声の方向へと走って行った。
ようやく目も戻ってきたところで、太刀川さんに付き添われながらその曲がり角を曲がる。
そこには数人の人だかりと、風間さん。そして
「ああ、この子だ」
曲がり角、曲がる前に視えた彼女の姿。
彼女は確かに「こちらを視ていた」
「つまり、お前は彼女が曲がり角から出てくる未来を視たときに、彼女と目が合って、こんなことになったと?」
「このC級隊員もサイドエフェクトかなにかがあるってことか?」
C級なのに有望株だな、と楽しそうに髭を触りながらにやにやしている太刀川さん。
換装体だった様子で、C級隊員の隊服を着ていた。
三人で彼女を医務室に運んだあと、彼女の目が覚めるまで待っている間、先ほど起こった出来事を整理していた。
おそらく俺の目がやられたのは彼女と目があったからで、彼女が気を失っているのも、俺が彼女の未来を視たからだろう。
どうしてこんなことになったのかは、前例がない以上わからないが、彼女から話を聞く必要はある。
「ん…」
目を覚ました彼女、しばらくぼーっと視点が合わなかったが、そのうち意識がしっかりしてきたのか、こちらとようやく目があった。
「あれ…私…」
「初めまして、俺は実力派エリート迅悠一。君は?」
***
「やってるやってる」
「来たか」
「どう風間さん、太刀川さんの弟子」
「なかなかだな」
風間さんにそういわせるなんて大したもんだと、訓練ブースを見るとちょうど太刀川さんの肩に一太刀浴びせたのが見えた。
「おぉ!!やるな」
「サイドエフェクトの無効化」
「ん?」
「あいつのサイドエフェクトらしいな。だからお前の未来視を拒絶した」
「んー、そうだね」
風間さんの言うように、彼女-familyname-のサイドエフェクトは、サイドエフェクトの無効化。つまり、サイドエフェクトが利かない。
鋼も、影浦も菊地原だって、サイドエフェクトが利かなかった。
ただ、name自身の身体能力を向上させているわけではないから、太刀川さんに浴びせた一撃は、まぎれもない彼女の-才能-だ。だから太刀川さんも嬉々として鍛えてるんだろう。
「浮かない顔をしているな」
「んー、わかる?」
「ああ」
今までこんなことはなかった。
視た人たちみんな、未来を視ることができた。
それはずっと昔からそうだし、これからもそうだと思っていた。
「未来が視えないってこんなに怖いことだったんだなって…」
彼女の身に起こること、彼女が危険な目にあうこと、彼女のこれから、彼女が引き起こす何か。
なにも視えず視ようとすれば彼女のサイドエフェクトが発動する。
彼女のサイドエフェクトが消えない限り、俺は彼女の未来を視ることができない。
「なんだ、お前あいつに惚れてたのか?」
「え…?なんでそんな話になるの?」
「お前はあいつの未来が視えないことが不安なんだろう?
他人であれば放っておけばいい、というよりも次の対策を今までのお前だったら立てていただろうな。
それをせず、こうやってふてくされているというのはそういうことだろう。
「お前のそういう姿を見るのは珍しいし、俺は面白いと思った」とつづけた風間さん。
きょとんとした俺の顔に満足したのか、そのまま言葉をつづけた。
「ついでに言えばお前のそれはお前の体質だから仕方ないが、俺たちにとって今のお前の状態は普通なことだ」
訓練ブースから出てきた二人の元へ足を向けた風間さん。
俺はというと、そのままその場で立ち尽くして、離れた場所から3人の様子を見ることしかできなかった。
そうか、俺はだからこんなにも彼女に執着しているんだ。
サイドエフェクトがきかないだけじゃなく、俺自身が彼女に。
「あー…なんか、かっこ悪い…」
しゃがみこんだ俺にぎょっとした彼女が見える。