Jin
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「未来が視えるって、不便ね。私、一生あなたに隠し事できない気がするわ」
「だって、いつもnameさんひとりで泣くじゃない」
一人で泣かせるほど、俺は甲斐性無しじゃないよ。
そういいながら、俺は彼女の背中を見つめることしかできなかった。
何度も何度も思った。nameさんはいつも一人で泣く、行かなければいい、彼女もそれを望んでるんだからって。
でも、気づけばいつも彼女の元へと向かってた。
「nameさんが泣かない未来をいつも俺は探してるよ」
「そんな未来が、いつか来るのかしら」
「…」
「ふふ、今のところなさそうね。じゃあ、きっとこれはついて回るものなんだわ」
トリオン体では、無敵ともいわれた彼女。
今でこそナンバーワン攻撃手は太刀川さんだし、風間さんだっている。
建物の間を飛び回る姿や、トリオン兵を華麗に切り刻む彼女の姿は今だって健在だ。
そう、トリオン体での話だ。
「後悔してる?」
「後悔?それはないわ」
みんなを守ることができたのだから、そういいながら、彼女は両手で「車いす」を動かしこちらへと移動してきた。
向かう先は訓練室だろう。
そっと彼女の後ろへ回り、グリップを握る。
ありがとう、と言いながら彼女は両手をそっと膝の上へと置いた。
細い腕、長いきれいな指。
両脚は、骨と皮になり腕と同じくらい細くなっていた。
「後悔はしていないけれど、時々思うわ。この足が自由に動いていたら、もっとあなたといろんなところに行けたのにって」
買い物でしょ、土手に座って一緒にお弁当を食べたりだとか、海に行くのもいいわね。
「でも、なにもかも奪ってしまった」
「そんなことないよ」
俺がどこだって連れて行ってあげるし、したいことなんでも叶えてあげる。
「普通の子とは違うわ」
「逆にきくけど、普通ってなに?俺にとって、好きな人はnameさんなのは今も昔も未来も変わらないのに。
こうして、nameさんの車いすを押すことができるのも、俺にとってはうれしいことだよ」
だって、駿とかには押させないでしょう?という問いに苦笑いをしていた。
うん、知ってる。だって駿は勢いよく押すから、ブレーキがきかないんだって。
「nameさんの、今も昔も未来も、俺は愛してるんだ」
「まったく、いつも思うけど、そんな口説き文句どこから拾ってくるの?」
「さあ、どこだろうねぇ?」
あなたの足が動かないのなら、俺が足になる。
あなたが立ち止まってしまうなら、俺が手を引いてあげる。もし、その場で休みたいなら、俺もいっしょに腰を下ろすよ。
「大丈夫、一緒だから」
「…そうね、あなたが言うとそんな気がしてくるわ」
ありがとう、という小さな言葉が、俺の原動力。