Kazama
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「はあ…」
大きなため息をついていると、回りの人間がびくりと驚いたのがわかった。
はいはいはいはい、わかってるよ私が空気を乱してるんだよ。
そんなことわかってるから、だから私にかかわるな。
「ずいぶん荒れてるな」
「…わからなかったの、そう言ったのが」
「お前のサイドエフェクトの調子が悪いんだろう、そろそろその辛気臭い顔をやめろ。行くぞ」
「…」
幼馴染の風間蒼也、小型、高性能、ハイスペックの三拍子がそろった男。
昔っから私のやることなすことすべてに口を出してきて…いや、全部あいつの言う通りになったから余計と腹が立つんだけど…。
私のサイドエフェクトのことだって、蒼也君に言われなかったら私自身わからなかったことだ。
私のサイドエフェクト、私の考えていることを相手に直接頭に叩き込むことができる。
つまりいうところのテレパシーってやつ。
距離は大体2、3㎞が限界。
トリオン体になれば通信できるから別に使うことはあんまりないけど、錯乱目的とかで使えるって蒼也君は言ってる。
そんな私のサイドエフェクトだけど、最近鍛え始めてからさらにサイドエフェクトに磨きがかかったらしく…。
私が考えていることが筒抜けになっていることが多々あるらしい。
「なかなかサイドエフェクトを扱うことができていないと聞いたが?」
「…あんまり聞きたくないけど誰から?」
「諏訪だ、お前米屋や出水たちとよく模擬戦してるだろう、それだ。
諏訪は管理ブースにいるからな。それでお前の戦闘を見てるんだろう。
管理ブースにまでサイドエフェクトが届くとなればお前の不調内容もあらかた理解できる」
「…」
ラウンジから抜け、本部を後にする。
暗くなってきた夜道を二人並んで帰るのは珍しくない。
隣に立つ蒼也君にちらりと目をやると、蒼也君はこっちを見ることもなくただ前を見て話しているだけだった。
蒼也君は、昔から不思議と私の考えていることがわかった。
今思えば私のサイドエフェクトが蒼也君に伝えていたということなんだろうけど…。
それがほかの人間にも伝わるようになってからは本当に驚いた。
「…蒼也君、私…」
「お前は正直者だからな、隠さなくても顔を見ればわかる」
「…ねえ、それってけなされてるの?貶されてるんだよね私!!!!!」
「なぜ自分でもそんなことになっているのか考えろ」
「…だって、蒼也君」
「なんだ」
「蒼也君に、届かなくなったんだもん」
蒼也君はあっという間にA級3位に駆け上がった。
私はというと、ソロでまだまだAとBの境をさまよっているだけの半端もの。
確かに、ポイントはそれなりに稼いでるけど…。
でも、それでも私は蒼也君に届かない。
「私の声、蒼也君に届いてない」
「…」
前まではずっと、何があっても蒼也君に届いてた。
どこにいても、どんな時でも蒼也君に届いてたのに…。
もう、蒼也君に届かなくなってしまった。
蒼也君は、もう
「誰が届いてないといった?」
「え?」
「俺はいつだってお前の声を聴いてるぞ?」
いつも俺の背中に向かって俺の名前を呼んでいただろう?
困ったときは俺に助けを求めていただろう?
なにかあったときは俺に話そうとしていたんだろう?
全部全部、私が一度だって言ったことのないことを蒼也君は話していた。
え、なんで?どうして知ってるの?
そう私が考えたこともお見通しなのか、めったに笑わないくせに口元に笑みを浮かべると
「お前の声は一番に俺に届くんだと、前に一度言わなかったか?」
「…言った覚えがある」
「だろう?
お前の声はいつも俺に届いているし、聞こえないときなんて俺にはない。
お前が本気で俺を呼べば、いつだって俺は足を止めたぞ?」
確かに…。
蒼也君って呼ぶだけで、別に呼び止めようとしたことは今までなかったかもしれない。
でも、それでも!!!!
「意地悪…」
「nameが本気にならないから悪い。
だからお前はいつまでたってもB級なんだ。
菊地原や歌川だって、どうしてまだB級なんだって文句言ってるくらいだぞ?」
「うー…」
「さっさとA級に上がってしまえ、そしたら一緒にできる任務だって増える」
いつも蒼也君は私の手を引っ張ってくれる。
蒼也君、蒼也君、そう呼べばいつだって足を止めていた。
それが普通だと思っていたし、まさか聞こえているとは思ってもみなかった…。
「…」
大好き
小さく頭の中に浮かべた三文字。
普通ならば聞こえるはずもないそれに対して
「知ってる」
「っ!!!!」
ふわりと笑って手を握ってくれるのがその答え。