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始まりとその先






文化祭が終わると夏休みに入り、そうこうしていると新学期がやってくる。


僕らのクラスには、今日から転校生が来るらしい。

噂だと、ものすごく可愛い女の子らしいけど…


「久しぶり、みんな。今日は転校生が来てるんだ」


久しぶりのマーク先生は眼鏡をかけていて、女子たちからきゃー!というまたもや黄色い歓声が飛び交う。


「ジミンさんだよ、みんな仲良くしてあげてね」


教室に入ってきた女の子は、もうものすごく美人で、ここにいちゃいけないってくらいに…。


今度は男子たちがうおー!!と叫ぶ。女子からも少し歓声が飛んだ。


あのイケメンのマーク先生は、ジミンさんのことどういう目で見てるんだろう?と好奇心がわいた。


ふとマーク先生を見た。


マーク先生の表情は、僕の想像したどれでもなかった。


恐怖に怯えた顔だった。






「うわー、ヨンジェが隣の席かよ!羨ましすぎる!!」

男子も女子も口を揃えてそう言う。



はっきり言って僕はジェボム先生しか興味ないから…可愛いとは思うけどそれ以上はなにもないのに。


「僕、チェヨンジェ。よろしくね」

そう言ってとりあえず笑ってみた。


「ヨンジェくんか、頭良さそうな名前ね」

そんなことをさらっと言われると、少しだけ照れてしまった。

お互いふふふっと笑うと、あ、とジミンさんは何かを思い出した素振りをした。


「ねぇ、もしかしてここの生徒に、すっごくイケメンな人っている?」

「イケメン?マーク先生はすごくイケメンだよ!」

黒板の方を指差すと、そうじゃなくてね、と言われた。

「もっとシャープな感じの、私も会ったのがほんとに昔だからうろ覚えなんだけど」

シャープ、と言われてもピンとこなかった。

「少なくとも僕のクラスの生徒にそんな人はいないけどな、別の学校じゃない?
放課後、高校生がたくさん集まる駅まで案内しようか?」

ジミンさんは突然目を輝かせて、うん!と言った。










「…あー、ったく…チェヨンジェのやつ、今日は来ないのかよ…」

放課後の数学室は閑散としていた。

ジェボムははぁ、とため息をつくとコートを着て数学室の鍵を閉めた。







家に帰る途中の車の中で、今日はコーヒーでも買って帰ろうか…とぼんやり考えていた。

ふと、駅までの道を歩く2人の男女が目に留まった。



俺は車を急いでUターンさせると、家とは別の方向に車を飛ばして走らせた。













ピンポーン

「はーい」


ピンポーン ピンポーンピンポン

「えぇ、うるさいんだけど…」


よいしょ、と腰を浮かせて玄関に向かった。


「ヨンジェヒョン、今日はジェボム先生と勉強せずに帰ってきたのかな?」



ドアを開けると、飛び込んできたのはジェボムだった。



「え?ジェボム先生?!なんでここに…」

「ユギョマ!助けてくれ、おかしいんだよ俺…!」


懐かしい呼び方に、一瞬戸惑った。


「…ここ、ヨンジェの家ですけど」

「…恋人の家くらい把握してるよ。
それより、頭が変なんだ、あの女を見た時から」

頭?…たしかに変だけどそれが…?

なんてのんきなことを考えていると、ジェボムが続けた。


「あいつだよ、ジミン。なんだか断片的に思い出すんだよ、前世みたいなやつが。
そしたら、ユギョムお前のことを一番先に思い出したんだ」

早口でまくしたてるジェボムから、ユギョムは目が離せなかった。

「…それで?」


「ジミンはヨンジェのことを覚えてなさそうだった。…俺も全部は思い出してないけど。

けど、もし思い出したらヨンジェが危ないんだよ、意味がわかるだろ?」



ユギョムは、はっと思い出した。


「ジェボマ、それで続きは…?」
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