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すれ違いと不信と執着


ぐぅと大きな寝息を(いびきを)かいて気持ちよさそうにジャクソンが寝ている。


突然隣の違和感に気づき、はっと言いながら目を覚まし、

違和感に目をやった。




そこには、マークが両手で体を押さえて過呼吸状態になっていた。


がばっと起き上がりマークに駆け寄る。

「ヒョン!どうした?なにがあったの? 

まず俺の目を見て。ゆっくり息吐いて、吸って。」



不規則に息をしながらジャクソンの目を見たマークの目は赤く、まぶたは腫れていた。


「ヒョン、息するのつらい?誰か呼んでくる?マネヒョンとか」


マークは時折喉から空気のみを出した。ひゅっという音が鳴って事の重大さを語った。


「……ジニョア。」


そんな状態で出した声で呼んだ人は、ジニョンだった。






「ジニョア、マクヒョンが…」

ジャクソンそう言われて起こされたジニョンは、頭の中が真っ白になった。




「ヒョン、大丈夫ですか?僕がいるから、ね?ヒョン」

そう言ってマークの手をぎゅっとジニョンが握りしめる。


「どうしようジニョア、今朝のあいつがフラッシュバックして…」


「あいつ…?どういうことだよジニョン」

訝しげにジャクソンが聞いた。


「今朝、男がマークヒョンを番に無理やりさせようとしてきたんだよ」

「そいつは捕まえたのか?」

心配そうにジャクソンが質問攻めにする。

「いや、脅しておいたから…」


マークの処置に夢中になっているジニョンが曖昧にそう答えた。

ならいいか、とジャクソンもそれ以上聞かなかった。



「ほら、ジニョアが来たら治った。
…俺、もうジニョア無しで生きられなかったらどうしよう

こわいよ、ジニョア」


そう言うマークをジャクソンとジニョンが2人で抱きしめる。


「俺も離すつもりないから、安心していいよヒョン」


それを聞くと、マークは静かに眠りの世界に入った。

ジニョンの言葉に安心したのか、ただジニョンの声を聞いて安心したのか、
お互いわからなかった。











やっとオメガの2人の隔離が終わると、すぐさまユギョムがベンベンの元に駆け寄った。


「おかえりベマ!ヨンジェヒョンとずいぶん親しそうだったけど…何も無かったんだよね?」

かなり心配そうに聞いたつもりだったが、ベンベンは終始ふざけた様子でいた。


「何も無いってなにㅋㅋㅋメンバーだしヒョンじゃん、ヨンジェヒョンはㅋㅋㅋ」

そう言って適当にあしらうとユギョムの元を離れてヨンジェのところへ走って行こうとした。


そんなベンベンを見てユギョムは混乱しかなかった。


とっさにベンベンの腕を強く掴んだ。

痛い、とベンベンが溢したが、お構いなしに部屋に連れ込んだ。





部屋に入るなりベンベンの両手を壁に押さえつけた。


「どうして…?ねぇ、わかんないよベマ」

下を向いたままユギョムが呟いた。

「なんで信じさせてくれないの?誤解させたいの?…僕がベマのこと好きって言うだけじゃ伝わらないの?」


真剣に訴えるユギョムを、ベンベンはどこか冷ややかに見ていた。

そんなベンベンの目に気づくと、ベンベン両手をぎり、と音がするまで押さえつけ、別の手で服を脱がし始めた。

「僕にこんなことさせたいの?曖昧にしとけば僕がこういうことするってわかってそんな目してるの?
心からベマのこと好きなのに?信じてるのに?」


半分涙目になりながらユギョムが紡ぐ言葉にも動じず、挙げ句の果てに「そんなにしたいならすれば」と言った。


自分のおでこをベンベンの肩にぐりぐりとなすりつけ、どうしようもできない今の状況を恨んだ。



こんなに愛してるのに、とかすれた声で言いながら、結局ユギョムは言われるがままベンベンのズボンに手を掛け、そのまま深い闇に堕ちていった。











一方、ヨンジェも部屋に入ると、当然ながらジェボムがいた。


「「あ…」」


お互いに気づいてお互いに気まずくなり、目を背ける。


「その…悪かった。リーダーだからもっとお前のこと理解しなくちゃいけないのに」


そう言うジェボムに、ヨンジェはにこやかな表情を見せる。

「他のグループも、僕たちと同じで悩んでるし大丈夫。
ジェボミヒョンの言いたいこともわかったし…僕の方こそごめんなさい」


ジェボムがおいで、とジェスチャーをする。それに従ってヨンジェがジェボムの隣にすとんと座る。


ヨンジェが隣に来たのを確認すると、ヨンジェの肩に手を優しく置いた。


「あの、さ」


そう言いながらヨンジェの肩に置いた手の力を強める。


何を言うんだろう、とヨンジェがジェボムの目を見つめた。


「毎回こんなの大変だし…番とかも決まってないだろ?」


なんだか急な話にヨンジェが困惑する。


「他のメンバーはもう相手がいるし…お前だけがいないからさ、

俺がなってやりたいなって思うんだけど。」


あまりのことにヨンジェの体は1ミリも動けなくなった。

「僕はその、いいって言うか嬉しいって言うか…あ、えとそうじゃなくて、その、
いいの?僕なんかに、えーと、女の子とかじゃなくて、僕が番でいいの?」

動揺したヨンジェの話し方にぶはっと笑った。


「ヨンジェを助けられるんだから本望だよ」



そう言ってヨンジェの上に乗る。


「え?…今?」

たくさんの事が一緒に起こってヨンジェの頭はついていかなかった。



ただうなじを噛めばいいだけなのにヨンジェの服に手をかけては一枚ずつ脱がしていく。


「ねぇ、別に恋人じゃないんだから、番になるのに、え、えっちなんて、いらなくない?」


上目遣いでそう言われると、ジェボムの動きに機敏さが増してくる。


「え、どこ触って…んんっ!」

思わず感じてしまうと、上に乗っている男が口角を上げてにやっと笑ったのが見えた。


ヨンジェの顔に手を添えて、鼻に軽くキスをした。

キスをしながら、ヨンジェの唇にまで辿り着く。

ジェボムが舌で、ヨンジェに口を開けてほしくてトントンと合図をする。

ヨンジェの様子を伺うと、緊張しているのか目も口もぎゅっと閉めている。


ため息を少しこぼすと、耳元に口を近づけて、空気を含んだ声で「口開けて、」と指図した。


その声を聞いたからかヨンジェの体がふるっと震えた。


もう一度舌でヨンジェの唇をノックすると、恥ずかしがりながらも素直にジェボムを迎え入れた。
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