After 13 episodes
目を開ければ見慣れたいつもの光景。 天井に取り付けられたファンがゆっくりと部屋の空気を撹拌する。 窓から射す太陽の光と鳥の声に今日の天気を知るいつもの朝。 (あー、早く起きて学校行かなくっちゃいけないわ。 今日の授業は一時間目からだったかしら?) ぼんやりと天井を見ながら今日の予定を立てるのもいつもの事。 (……何だったかしら?) 繰り返される“いつも”の中にいつもと違う何かがあったような気がして首を動かすと部屋の中に見慣れない何かが目に入った。 (あれは一体何?) サイバーシックスの思考に疑問と言う名の影を落とす。 (!!!!!) 夕べの記憶と照合確認しようと体を起こすと同時に走った全身の痛みはサイバーシックスの思考と動作を一時停止させた。 そしてはっきりと彼女は覚醒する。 町を破壊した巨大な怪物、 笑うフォン・リヒター、 助けてくれた兄弟、 爆発した天文台…………… そして 私は生きている。 ここに帰ってきた。 痛む体を宥めながら起き上がるとデータセブンが鼻を小さく鳴らしながら顔を寄せてきた。 いつものように頬をすり寄せ合おうとしたのだが、彼の首に付けられている異物が邪魔をする。 先程寝起きの頭で見慣れないものとして認識していたそれは厚紙で出来ていて、データセブンの首を覆うように丸く装着されている。 まるでアンテナみたいだわ 昨夜寝る前には彼にこんなのはついていなかった。 データセブン自身が付けるには黒豹の彼にとって何かと色々と無理がありすぎるわ。 とすると、 こっちの彼の仕業かしらね サイバーシックスはもう一つの見慣れない物体、毛布に包まって眠っているルーカスを見た。 体、痛くならないかしら? こんな体勢でよく熟睡できると感心と同時に呆れる。 自分の手当てして寝かしつけてくれた後、ずっとここにいてくれたのだろう彼の優しさに胸の奥がくすぐったい、のだけど。 私は怒っているのよ。 この落とし前はどうしてあげようかしら。 やられたらやり返せ 奪われたら奪い返せ 間違っていない。 ええ、私は正しい。 リヒターのアジトが爆発した時、ルーカスとロリが自分達のすぐ近くまで来ていたという事実をルーカス本人から聞かされた。 昨夜初めてそれを知ったとき、どうして人間が危険な真似を、しかもロリまで!と一瞬頭に血が昇りそうになった。 結局人の事を言えない立場だったのと『君の事が心配だから』の一言で何も言えなくなってしまったのだけれど。 だけど、私はまだ怒っているのよ。 それだけじゃないんだから それは本来なら双方の意志を尊重しあいつつ、合意の元に行われるもの。 なのに当方の意見を聞こうとせずに強引に行われてしまった。 そのことにより生じた結果に不満があるわけではなくむしろいいかもって感じなんだけど、結果オーライの一言で総て片付けてしまうのはどうにもちょっと。 つまり行為に至るまでの過程を疎かにされたような気がして、それが何となく面白くない訳で。 「どう仕返ししてやろうかしら、ね?」 サイバーシックスの口から物騒な独り言がポツリとこぼれた。 アパートの窓から見えるのは朝日を浴びたいつもの……でも半壊したメリディアナの町。 痛々しい姿を晒してはいるがその姿は再生への力をみなぎらせている。 せめて、ね あの前に『好きだ』くらい言ってくれてもいいと思うの。 ちょっとだけ ほんのちょっとだけど期待していたんだから、 だからね やられたらやり返せ 奪われたら奪い返せ 「キスの代償は大きいわ」 昇る太陽に向かって静かに決意表明。 日の光を浴び微笑むサイバーシックス、美しく生気と、若干の殺気に満ち溢れるその姿が一歩一歩ルーカスに歩み寄る。 眠るルーカスに屈みそっと 「おはよう、ルーカス」 耳元で態と甘くささやいた彼女の言葉はあの爆発以上の破壊力を持ってルーカスを打ちのめし、彼の上げた悲鳴はアパート全体を揺り動かした。 END |