13episodes ago
ねぇ、この花綺麗だろ?僕が見つけたんだよ。 君にあげるよ。 持ってた赤い花を受け取ろうとした彼女の手が空を掴んだのと同時に、ぐらりと足元の岩が崩れて僕は空 へ投げ出された。 「トゥエンティナイン!」 彼女が僕の名前を叫んだ。 その姿と声がだんだん僕から離れていく。 下へ落ちたら僕はどうなってしまうんだろう。 死んじゃうのかな。 それよりあの子にあんな顔をさせてしまったことが悲しかった。 落ちていく僕は崖の上で泣き叫んでいる彼女をずっと見てた。 ねぇ、シックス。 泣かないで この花あげるから。 だから泣かないで。 手に持った花を彼女に向かって差し出そうとしたけど、だんだん遠くなる彼女にそれは届かない。 そして 僕の体と地面がぶつかる鈍い音がした。 『29から6へ』 それから君と会った時、僕は違う姿と名前になって君の事を忘れて、そして殺そうとしたけど。 君は僕の事を覚えててくれた。 全部思い出して、リヒターを裏切った僕は君と一緒にいることが多くなった。 黒豹の姿をしている僕は一緒に住むことが出来なかったけど。 あの時のように笑って言葉を交わすことも出来なくなったけど。 人間の友達も出来たけど。 だけど、彼女の中の僕はまだ小さな子供なんだろう。 泣いている君を見るだけしか出来なかった、子供の頃の――。 ねぇ、サイバーシックス。 君が大人になるまでの時間 同じ時間が僕にも流れてたってこと。 君は知ってる? 「ずっと私の傍にいてね」 君の言葉に頷くことしか出来ないけど、 僕はずっと傍にいる。 だから 泣かないで。 END TVシリーズ第弐話、拾弐話ネタ |