俺の恋人は弱い人だった。

「絶対にあんたを救い出してみせる」

そう告げたのが始まりだったか。俺は誓いたかった。見過ごしてしまうのは正しくないことだと思ったから。でも俺が干渉するのが正しいという確証があるわけでもなかった。

手を差し伸べてもあの人は遠ざかる。なだめてもあの人は怯えてしまう。俺が何かしてやりたくても受け入れない。それでも恋人だった。なぜなら、あの人の破滅願望と再生させたい俺、その循環がふたりを繋げていたから。

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仗助。かっこつけるようだけど、私、思いやりはいらない。私だけが得して、仗助が損するみたいでしょ……。それに、私ばかり弱いのは癪だなあ……。

きみの強さは心地いい。柔らかくて、赤ん坊を守るように、命を大切にしてくれる。嬉しいけど、幸せになりそうだけど、悲しくなる。仗助の存在、そして不在、両方同時に感じるから。情け深く見つめてくれるのを嬉しく思うのは、ないがしろにされることとの対比なしにはありえない。

救ってくれるの？　それって、救われなかったらまずいってこと？　たかが他人なのに、悪い状況に陥ってしまうのを見過ごせないってのは、まるで自分ごとのように危機感を感じてるってこと？　何を見て、何を恐れたの？

仗助の弱さを見せて。だからって私はきみのことを救えないけど。同じ傷を分かち合う方が、私ばかり一方が甘やかされるより公平だと思う。痛みもふたりなら痺れに和らげることもできるんじゃないかな。こわい、苦しい、悲しいって言いながら、倒錯した悦びを味わうんだ……。

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俺はあの人を傷つけたくない。絶対に傷つけないと誓った。そしてあの人はどん底まで弱ってしまった。

用心深く触れたつもりでも、殴りつけたように崩れてしまう。ものの例えの話。これがただの物だったら俺の能力で簡単に直せるのに。

俺はあの人を抱きしめて、無意味とわかっていながら、もう一人の俺もあの人の体を癒すように、二重に抱きしめて。

どうしてふたり離れられずにいるんだろう。