ラブレター


仗助の心臓を、私が感じる。熱くて、溶けそう。溶けてしまった私は、血を被せたかのように仗助を汚すんだ。清らかな熱が汚れた死骸を生む。



嫌なことばかり。いつもそう感じていたとしても、弱音を吐いて自分を可哀想に見せるなんて、嘘つきの猿芝居。だって、もっと強烈に心を痛めてる人がたくさんいるでしょ。私は安全で、満腹で、よく寝て、まだ生きてる。

可哀想な子に出会った。私と違って、毎日明るく過ごしてる子。寂しさが潜んでいることに無自覚で、いつそれが顔を出すか、私は気になっていた。

「ない」ものを意識することについて。例えば、片親の下で育ったなら、もうひとりの親は何者なのか、とか。他を元通りにできるのに、自分だけは壊れたままだとか。

仗助、君だけが取り残されることもある。いや、きっと誰にでもあり得ることだろうけど。家族、友人、好きなひとといても、孤独と欠如をふと思い出す。

でも、いつだって仗助は明るかったから、私は怠惰故に吐いた弱音に重ねて、仗助の本当の寂しさの分、たくさん泣いたんだ。自分の分だけの今までが嘘泣きのように思えた。生まれて初めて悲しんだ、と思うくらい。

苦しみを全部引き受けたいと願う。こっちの器が壊れてしまう。その時、生まれて初めて、大事なことをやれたんじゃないかって。勘違いかな。

あつい。ひたすらいじけて冷え切っていた私を溶かして、次目覚めたら、私が私でいなくなってることを夢見て。君みたいに、強くなれたらいいのに。


1/1ページ
    スキ