成り代わり夏目は石世界で生きる
続きました!
夏目貴志女体化成り代わりしているので地雷の方は観覧注意です。
夏目友人帳とdcstのクロスオーバーです。
話めちゃくちゃ端折ってます。
※前半はネタっぽくて後半は微ホラー感強めで、温度差激しいので注意です。
***
「じゃあ、夏目ちゃんもドレス着よっか。——あ、私は、アマリリス!よろしくね」
「ああ」
アマリリスに返事を返した夏目は、衣服の裾に指をかけると、そのまま引き上げ。布が体をすべるように離れていき、やがて頭を抜けると、足元へ落ちる。
夏目の目の前には、千空、ゲン、ソユーズ、銀狼が立っており、衣服が足元へ落ちると同時に、4人の視線が反射的に夏目へと向く。
彼らの視線が、一瞬にして露わになった夏目の体に釘付けになる。そこには形の良い柔らかな胸の膨らみから、華奢で儚げな美しさのくびれ。そして、一切の遮るものがない滑らかな秘部。——そう、彼女は衣服の下に下着を身につけておらず、完全に生まれたままの姿であったのだ。
「ブッ」
「……」
「ひ、ひゃああああっ!?」
思わず吹き出す千空に、鼻血を出し気絶した銀狼、ソユーズは裏返った情けない野太い悲鳴をあげる。
「おい、何故騒いでおるのだ?」
「!?、……な、夏目ちゃん?下着は?なんで素っ裸なの!?」
「ワタシに下着など不要だ」
ゲンは混乱しているのかなんだか焦っている様子だ。一方夏目は、隠す様子も、羞恥に身を縮める様子もなく、ただ無表情に立っている。
「……夏目ちゃんもコハクちゃんと同じタイプなのね……!?と、とりあえずドレス着よっか!?」
「さすがに私は下着を着ていたぞ!?...夏目、どうしたんだ、調子でも悪いのか?」
「気にするな…」
アマリリスとコハクはわずかに呆れたような視線で見つめつつも、どこか気がかりそうに目を離せずにいた。
着替えを終えた夏目は、アマリリスに化粧施され、地面に胡座をかくようにして腰を下ろし、長いドレスの裾が静かに広がっている。
「これでワタシも美少女選抜とやらに参加できるな!」
自信満々な夏目に、千空は額に手を当て、大きくため息をついた。
「おい。下着なしでドレス一枚って、テメーは痴女か」
「……まったく面倒な小僧だ」
「面倒なのはテメーだ。少しは恥じらいってモンを学べ」
「そんなものワタシには不要だ」
「そこを不要で片付けるんじゃねぇよ……!」
千空の視線はどこか落ち付きがない様子だ。
「ジ、ジーマーで、大丈夫かな。……夏目ちゃん」
ゲンの抱いていた不安は、最悪の形で的中することになる。
***
石化光線を奪取するという極秘任務のため、敵陣への潜入作戦を開始していた。
目指すは後宮。足を踏み入れる資格を得るため、アマリリス、コハク、夏目、そして女装した銀狼の四人は、「カワイイ選抜会」へ参加していた。
「ア、……アマリリスっていいます!ゴメンなさい男の人の前だと緊張しちゃって、私みたいな子が選抜会とか……どうしよすっごいはずかしい、とととにかくがんばります!!」
アマリリスは瞳を潤ませ、今にも涙がこぼれそうなほど目を潤ませながら、頬を真っ赤に染める。恥ずかしさと緊張で声を震わせている。
「…(すさまじいな、変わり身が!)」
「…(プロだぁ)」
「アリ!!!」
あまりにも見事なアマリリスの変わり身に、コハクは思わず目を丸くする。そして感嘆している様子の銀狼。アマリリスを見つめる男――宰相イバラは、口元をいやらしく歪め、気味の悪い笑みを浮かべている。
その笑みを見逃すことなく、夏目はじっとイバラを見据えた。
――いや、その"夏目"は本物ではなかった。
今まで夏目に化けていたニャンコ先生が、周囲から正体を悟られぬよう細心の注意を払いながら、油断なくイバラを警戒していた。
「…(気色の悪い男だ。…コイツが現れてから周りの妖共が返せ、返せと煩わしくて不愉快だ…!)」
耳障りな妖たちの騒ぎ声に、先生は鬱陶しそうに顔を歪めている。
「去年、夫が大往生。まだまだ現役、もう一花、ワンチャンあるよ!!」
「やめて、おかん!」
「やめてー!!」
息子たちが必死に止めようとするが、女性はまったく聞く耳を持たない。
「ナシ!!」
やがてコハクの番になり。彼女は口を開き——
「私の名はコハ……じゃない、コハクでーす!!!戦闘ならば任……じゃなくて、めっぽう元気なのは取り柄と言わ…言われます、よろしくです!!」
片目をぎゅっとつむってウインクを飛ばし、ハンドサインを宰相イバラへと向けるコハク。
「う…ん、どっちだろ……」
イバラはアリにするかナシにするか、どうやら審議中のようである。
「!…(ココココハクちゃん、ボロが!ボロがぁあああ)」
「でもね、見た目はカワイイし、後はおじちゃん思うにね、スタイルがボンキュボーンだし、問題ないでしょ~」
そう言いコハクの胸に触れようとした、瞬間彼女はイバラの手首を掴み、攻撃しようとすれば幹部の一人である——モズが、槍をつきだし、コハクがイバラの掴んでいた手を引き離す。
コハクの胸元へ手を伸ばすイバラ。次の瞬間、彼女はその手首を素早く掴み取った。攻撃しようとしたその刹那、幹部の一人であるモズが槍を突き出し、コハクはイバラの掴んでいた手を離した。
「痛!なにモズ君?」
「蜂がいました。季節ですから」
「あ、そ…」
「……」
「アリ!」
イバラを誤魔化しつつ、コハクへと小声で語りかけるモズ。その動きを先生は一言も発さずに見つめていた。
「…(こりゃあ、一筋縄ではいかないようだぞ、…石神の小僧)」
「ぼ、僕はぎんろ……銀ちゃんっつうんだぜぇ??カワイさの欠片もないんだぜぇえ!?」
「「…(選ばれないように必死!!)」」
「僕っ娘ね、小柄なのに必死に強がってる感イイネ!——アリ!!」
「イエエエエエ」
「「意外と広いな守備範囲!!」」
「——次」
周囲の視線が、一斉に夏目に化けているニャンコ先生へと集まった。
白銀の髪に緑の瞳を持つ、ひときわ目を引く美しい女性だ。だが女性はイバラを見つめ、不快そうに顔を歪めている。
「ワタシのことは先生と呼べ!」
「先生ね!いいねそういうプレイね!!おじちゃん好きよ?そういうの!すーんごいカワイイし、ちょっと上から目線な、——」
「そうか!ならば、ワタシを敬え!!、愛でろ!!!」
妖たちの声が騒がしく、イバラの言葉はほとんどニャンコ先生の耳に届いていなかった。そのため、自分のことを褒められたのだと勘違いし、先生は得意げに威張り散らした
「「「(な、なに言っちゃってんだー!!)」」」
この時の3人の心は一致していた。
結果は、——
「あれ?夏目がいないんだよ…!?」
「あの夏目ちゃんの美貌でも駄目だったのね……」
「ククク、そりゃあそうだろ。中身がああじゃ100億%無理だ」
「ドイヒー…!いつもの夏目ちゃんに戻ってきてほしい…!!」
「じゃあ夏目は今どこに……!?」
「ワタシはここだ」
「!」
「今から島のモノ達から話を聞いてくる」
千空たちが返事を返すより先に、夏目はその場から姿を消した
***
後宮に潜入したコハクは頭首の棲む大木でプラチナを発見した。アマリリスと銀狼の協力のおかげで、千空たちは無事にそのプラチナを手に入れることに成功する。
プラチナから硝酸を作り出したことで、石化から人を復活させる手段を得た千空たち。さっそく仲間たちを蘇らせようと、石化した仲間たちが残されている船へ向かえば、そこにはすでに宰相イバラたちがいた。
イバラたちは石となった仲間たちを次々と海へ投げ捨てていく。その中で、龍水だけは後宮へ連れて行かれ、侵入者を炙り出すための見せしめとして、石像を少しずつ壊されていった。
そして、ついにコハクの番が回ってくる。
コハクは龍水の石像を破壊した。—綺麗に外して。
復活に必要な部分を傷つけないよう、狙い澄ました一撃だった。砕かれた龍水の石片は、ネズミの形をしたミニ四駆によって、一つ、また一つと少しずつ千空たちのもとへ運ばれていく。
そうしてすべての石片が集まり、千空たちの力によって、龍水は再び復活を遂げた。
「はっはー!!!感謝するぞ貴様ら、おかげで俺は!人類初の二回復活者というトロフィーを手に入れたぞ」
「龍水ーーーー!!!」
スイカは涙を流しながら、嬉しさを隠しきれない様子で龍水の名を叫んだ。
「ん?初かどうかはわからんな」
「初だ初だ」
「フゥン。ということは、——今欲しいのはカセキだな!違うか!?」
「違わねぇよ話を早ぇな、コイツ!!」
龍水とソユーズは、千空と共に作り上げた酸素ボンベを使い、水中へ潜る。
水中でカセキの石像を運び出すには人並み外れた力が必要だったため、大樹を復活させ、その怪力を借りて、カセキを石像ごと洞窟へと運び出した。そして、復活液をかけ、カセキを石化から復活させる。
大樹は素潜りで海へ潜り、仲間たちの石片を次々と集め、元の姿へと戻していく。やがて並べられた仲間たちの石像を、千空たちは静かに見つめる。
その中に、一人だけ見覚えのない石像が混じっていた。
「………………!!」
思わず全員の動きが止まる。
「いや誰だ??」
「関係ない人混じっちゃってるし」
「一帯全部採ってきたからなー!」
千空は苦笑を漏らしながら肩をすくめた。
「ククク、歴代の石化被害者だろ。いつのかも知らねぇがな」
——————、不可解な点が、一つあった
「ねぇ千空ちゃん」
「ああ?」
「どうして夏目ちゃんの石像があるのかな?」
「んなもん俺も知らねぇわ」
「しかも服着てるし」
千空たちは改めて石像へ目を向ける。
確かに、夏目はそこにいた。自分たちと会話を交わしていた。普段より少しだけ様子がおかしかったものの、あれは夏目だった。
それなのに。目の前にある石像は、アマリリスから借りたドレス姿ではない。着替える前の、石神村の民族衣装を身に纏っていた。誰も言葉を発せない。確かに彼女は生きていた。確かに千空たちの目の前で呼吸をしていた。
――ならば。
自分たちと行動を共にしていた、あの"夏目"は、一体何者だったのか。
ぞわり、と背筋を冷たいものが這い上がる。
洞窟の空気が、一瞬にして冷え切ったような錯覚だけが、その場を静かに支配していた
***
「な、なな夏目は死んじゃったんだよ……!? お化けになっちゃった……?」
「い、いやぁあああ!!!」
恐怖のあまり、ソユーズは野太い悲鳴を洞窟中に響かせる。
「うるせぇぞ、ソユーズ」
千空は顔も上げずに言い放つ。その表情は何かを考え込んでいるようだった。
「フン、死んではいないだろう」
「じゃ、じゃあ……!?」
龍水は腕を組み、静かに口を開く。
「――今、この島に存在している夏目は、ドッペルゲンガーだ」
「ドッペルゲンガーって何なんだよ?」
聞き慣れない言葉に、スイカは不思議そうに首を傾げる。
「ドッペルゲンガーは、自分とそっくりの姿をした分身のことだ」
「こ、怖いんだよ……!」
スイカはぶるりと肩を震わせ、自分の体を抱きしめた。
「夏目を復活させるのは後回しだ」
誰もが同意見なのか千空の意見に同意している。だが話についていけていない、大樹とカセキは戸惑っている様子だ。
目の前にある石像が本物なのだとすれば、今まで自分たちと行動を共にしていた"夏目"は、一体何者なのか。
「夏目は悪いやつじゃないぞ!!!」
事情を知らない大樹だけが、力強く言い切る。
「知ってるわ ……そういうことじゃねぇよ」
千空は小さくため息をつき、ほんの一瞬だけ夏目の石像へ視線を落とした。
戸惑っているのは大樹だけではない。カセキもまた、状況が呑み込めず眉をひそめている。
「一体、どういうことなの?」
その問いに、スイカがはっ、と顔を上げた。
「!、そ、そういえばスイカは見たんだよ!! ……さっき夏目が木に向かって、一人でおしゃべりしてたとこ!!!」
「あ?」
その場の空気が、ぴたりと止まる。
「あ~! とりあえずこの話やめよ、やめよ!」
ゲンが無理やり話を打ち切るように声を上げる。
それ以上考えるのは危険だと、本能が告げていた。
誰もが胸に拭えない違和感を抱えたまま、止めていた作業へと戻っていく。
***
石化から復活した羽京が発したことは、にわかにも信じられないことだった。
「——はぁ?夏目が石化を予知してた!?!?」
クロムの大声量が洞窟内に響く。
「確かに僕に言ったんだ。……島の方から声が聞こえませんか?"危ない"、"逃げて"、"石にされちゃうよ"、って……」
「どういうことだ!?」
「羽京。テメーにも、聞こえてたのか?」
「いや。…僕には聞こえなかったんだ」
周囲には困惑が広がる。夏目を巡る謎は、深まるばかりだ。
「夏目の嘘なんじゃないの?」
「……いや、あれは嘘なんかじゃ、——————————————、誰?」
「おう?どうしたんだ?…羽京」
「どうしたんだよ?羽京」
「どうした羽京、顔色悪いぞ?」
心配そうに羽京を見つめるクロム、スイカ、龍水。
しかしその三人の視線は羽京へ向けられているだけで、先ほどの声には何の反応も示していない。
聞き覚えのない声だった。
だからこそ、羽京は思わず返事をしてしまった。
自分だけが聞こえていたのか、そう思いかけた瞬間、ふとソユーズも顔色が悪いことに気付く。
「い」
「あ…!」
その瞬間、羽京は悟った。反射的に羽京は両手で耳を塞ぐ。
「い、いやぁああああ!!!!」
「うるせぇな!?」
「ソユーズちゃんってジーマーで怖がりなのね…」
夏目貴志女体化成り代わりしているので地雷の方は観覧注意です。
夏目友人帳とdcstのクロスオーバーです。
話めちゃくちゃ端折ってます。
※前半はネタっぽくて後半は微ホラー感強めで、温度差激しいので注意です。
***
「じゃあ、夏目ちゃんもドレス着よっか。——あ、私は、アマリリス!よろしくね」
「ああ」
アマリリスに返事を返した夏目は、衣服の裾に指をかけると、そのまま引き上げ。布が体をすべるように離れていき、やがて頭を抜けると、足元へ落ちる。
夏目の目の前には、千空、ゲン、ソユーズ、銀狼が立っており、衣服が足元へ落ちると同時に、4人の視線が反射的に夏目へと向く。
彼らの視線が、一瞬にして露わになった夏目の体に釘付けになる。そこには形の良い柔らかな胸の膨らみから、華奢で儚げな美しさのくびれ。そして、一切の遮るものがない滑らかな秘部。——そう、彼女は衣服の下に下着を身につけておらず、完全に生まれたままの姿であったのだ。
「ブッ」
「……」
「ひ、ひゃああああっ!?」
思わず吹き出す千空に、鼻血を出し気絶した銀狼、ソユーズは裏返った情けない野太い悲鳴をあげる。
「おい、何故騒いでおるのだ?」
「!?、……な、夏目ちゃん?下着は?なんで素っ裸なの!?」
「ワタシに下着など不要だ」
ゲンは混乱しているのかなんだか焦っている様子だ。一方夏目は、隠す様子も、羞恥に身を縮める様子もなく、ただ無表情に立っている。
「……夏目ちゃんもコハクちゃんと同じタイプなのね……!?と、とりあえずドレス着よっか!?」
「さすがに私は下着を着ていたぞ!?...夏目、どうしたんだ、調子でも悪いのか?」
「気にするな…」
アマリリスとコハクはわずかに呆れたような視線で見つめつつも、どこか気がかりそうに目を離せずにいた。
着替えを終えた夏目は、アマリリスに化粧施され、地面に胡座をかくようにして腰を下ろし、長いドレスの裾が静かに広がっている。
「これでワタシも美少女選抜とやらに参加できるな!」
自信満々な夏目に、千空は額に手を当て、大きくため息をついた。
「おい。下着なしでドレス一枚って、テメーは痴女か」
「……まったく面倒な小僧だ」
「面倒なのはテメーだ。少しは恥じらいってモンを学べ」
「そんなものワタシには不要だ」
「そこを不要で片付けるんじゃねぇよ……!」
千空の視線はどこか落ち付きがない様子だ。
「ジ、ジーマーで、大丈夫かな。……夏目ちゃん」
ゲンの抱いていた不安は、最悪の形で的中することになる。
***
石化光線を奪取するという極秘任務のため、敵陣への潜入作戦を開始していた。
目指すは後宮。足を踏み入れる資格を得るため、アマリリス、コハク、夏目、そして女装した銀狼の四人は、「カワイイ選抜会」へ参加していた。
「ア、……アマリリスっていいます!ゴメンなさい男の人の前だと緊張しちゃって、私みたいな子が選抜会とか……どうしよすっごいはずかしい、とととにかくがんばります!!」
アマリリスは瞳を潤ませ、今にも涙がこぼれそうなほど目を潤ませながら、頬を真っ赤に染める。恥ずかしさと緊張で声を震わせている。
「…(すさまじいな、変わり身が!)」
「…(プロだぁ)」
「アリ!!!」
あまりにも見事なアマリリスの変わり身に、コハクは思わず目を丸くする。そして感嘆している様子の銀狼。アマリリスを見つめる男――宰相イバラは、口元をいやらしく歪め、気味の悪い笑みを浮かべている。
その笑みを見逃すことなく、夏目はじっとイバラを見据えた。
――いや、その"夏目"は本物ではなかった。
今まで夏目に化けていたニャンコ先生が、周囲から正体を悟られぬよう細心の注意を払いながら、油断なくイバラを警戒していた。
「…(気色の悪い男だ。…コイツが現れてから周りの妖共が返せ、返せと煩わしくて不愉快だ…!)」
耳障りな妖たちの騒ぎ声に、先生は鬱陶しそうに顔を歪めている。
「去年、夫が大往生。まだまだ現役、もう一花、ワンチャンあるよ!!」
「やめて、おかん!」
「やめてー!!」
息子たちが必死に止めようとするが、女性はまったく聞く耳を持たない。
「ナシ!!」
やがてコハクの番になり。彼女は口を開き——
「私の名はコハ……じゃない、コハクでーす!!!戦闘ならば任……じゃなくて、めっぽう元気なのは取り柄と言わ…言われます、よろしくです!!」
片目をぎゅっとつむってウインクを飛ばし、ハンドサインを宰相イバラへと向けるコハク。
「う…ん、どっちだろ……」
イバラはアリにするかナシにするか、どうやら審議中のようである。
「!…(ココココハクちゃん、ボロが!ボロがぁあああ)」
「でもね、見た目はカワイイし、後はおじちゃん思うにね、スタイルがボンキュボーンだし、問題ないでしょ~」
そう言いコハクの胸に触れようとした、瞬間彼女はイバラの手首を掴み、攻撃しようとすれば幹部の一人である——モズが、槍をつきだし、コハクがイバラの掴んでいた手を引き離す。
コハクの胸元へ手を伸ばすイバラ。次の瞬間、彼女はその手首を素早く掴み取った。攻撃しようとしたその刹那、幹部の一人であるモズが槍を突き出し、コハクはイバラの掴んでいた手を離した。
「痛!なにモズ君?」
「蜂がいました。季節ですから」
「あ、そ…」
「……」
「アリ!」
イバラを誤魔化しつつ、コハクへと小声で語りかけるモズ。その動きを先生は一言も発さずに見つめていた。
「…(こりゃあ、一筋縄ではいかないようだぞ、…石神の小僧)」
「ぼ、僕はぎんろ……銀ちゃんっつうんだぜぇ??カワイさの欠片もないんだぜぇえ!?」
「「…(選ばれないように必死!!)」」
「僕っ娘ね、小柄なのに必死に強がってる感イイネ!——アリ!!」
「イエエエエエ」
「「意外と広いな守備範囲!!」」
「——次」
周囲の視線が、一斉に夏目に化けているニャンコ先生へと集まった。
白銀の髪に緑の瞳を持つ、ひときわ目を引く美しい女性だ。だが女性はイバラを見つめ、不快そうに顔を歪めている。
「ワタシのことは先生と呼べ!」
「先生ね!いいねそういうプレイね!!おじちゃん好きよ?そういうの!すーんごいカワイイし、ちょっと上から目線な、——」
「そうか!ならば、ワタシを敬え!!、愛でろ!!!」
妖たちの声が騒がしく、イバラの言葉はほとんどニャンコ先生の耳に届いていなかった。そのため、自分のことを褒められたのだと勘違いし、先生は得意げに威張り散らした
「「「(な、なに言っちゃってんだー!!)」」」
この時の3人の心は一致していた。
結果は、——
「あれ?夏目がいないんだよ…!?」
「あの夏目ちゃんの美貌でも駄目だったのね……」
「ククク、そりゃあそうだろ。中身がああじゃ100億%無理だ」
「ドイヒー…!いつもの夏目ちゃんに戻ってきてほしい…!!」
「じゃあ夏目は今どこに……!?」
「ワタシはここだ」
「!」
「今から島のモノ達から話を聞いてくる」
千空たちが返事を返すより先に、夏目はその場から姿を消した
***
後宮に潜入したコハクは頭首の棲む大木でプラチナを発見した。アマリリスと銀狼の協力のおかげで、千空たちは無事にそのプラチナを手に入れることに成功する。
プラチナから硝酸を作り出したことで、石化から人を復活させる手段を得た千空たち。さっそく仲間たちを蘇らせようと、石化した仲間たちが残されている船へ向かえば、そこにはすでに宰相イバラたちがいた。
イバラたちは石となった仲間たちを次々と海へ投げ捨てていく。その中で、龍水だけは後宮へ連れて行かれ、侵入者を炙り出すための見せしめとして、石像を少しずつ壊されていった。
そして、ついにコハクの番が回ってくる。
コハクは龍水の石像を破壊した。—綺麗に外して。
復活に必要な部分を傷つけないよう、狙い澄ました一撃だった。砕かれた龍水の石片は、ネズミの形をしたミニ四駆によって、一つ、また一つと少しずつ千空たちのもとへ運ばれていく。
そうしてすべての石片が集まり、千空たちの力によって、龍水は再び復活を遂げた。
「はっはー!!!感謝するぞ貴様ら、おかげで俺は!人類初の二回復活者というトロフィーを手に入れたぞ」
「龍水ーーーー!!!」
スイカは涙を流しながら、嬉しさを隠しきれない様子で龍水の名を叫んだ。
「ん?初かどうかはわからんな」
「初だ初だ」
「フゥン。ということは、——今欲しいのはカセキだな!違うか!?」
「違わねぇよ話を早ぇな、コイツ!!」
龍水とソユーズは、千空と共に作り上げた酸素ボンベを使い、水中へ潜る。
水中でカセキの石像を運び出すには人並み外れた力が必要だったため、大樹を復活させ、その怪力を借りて、カセキを石像ごと洞窟へと運び出した。そして、復活液をかけ、カセキを石化から復活させる。
大樹は素潜りで海へ潜り、仲間たちの石片を次々と集め、元の姿へと戻していく。やがて並べられた仲間たちの石像を、千空たちは静かに見つめる。
その中に、一人だけ見覚えのない石像が混じっていた。
「………………!!」
思わず全員の動きが止まる。
「いや誰だ??」
「関係ない人混じっちゃってるし」
「一帯全部採ってきたからなー!」
千空は苦笑を漏らしながら肩をすくめた。
「ククク、歴代の石化被害者だろ。いつのかも知らねぇがな」
——————、不可解な点が、一つあった
「ねぇ千空ちゃん」
「ああ?」
「どうして夏目ちゃんの石像があるのかな?」
「んなもん俺も知らねぇわ」
「しかも服着てるし」
千空たちは改めて石像へ目を向ける。
確かに、夏目はそこにいた。自分たちと会話を交わしていた。普段より少しだけ様子がおかしかったものの、あれは夏目だった。
それなのに。目の前にある石像は、アマリリスから借りたドレス姿ではない。着替える前の、石神村の民族衣装を身に纏っていた。誰も言葉を発せない。確かに彼女は生きていた。確かに千空たちの目の前で呼吸をしていた。
――ならば。
自分たちと行動を共にしていた、あの"夏目"は、一体何者だったのか。
ぞわり、と背筋を冷たいものが這い上がる。
洞窟の空気が、一瞬にして冷え切ったような錯覚だけが、その場を静かに支配していた
***
「な、なな夏目は死んじゃったんだよ……!? お化けになっちゃった……?」
「い、いやぁあああ!!!」
恐怖のあまり、ソユーズは野太い悲鳴を洞窟中に響かせる。
「うるせぇぞ、ソユーズ」
千空は顔も上げずに言い放つ。その表情は何かを考え込んでいるようだった。
「フン、死んではいないだろう」
「じゃ、じゃあ……!?」
龍水は腕を組み、静かに口を開く。
「――今、この島に存在している夏目は、ドッペルゲンガーだ」
「ドッペルゲンガーって何なんだよ?」
聞き慣れない言葉に、スイカは不思議そうに首を傾げる。
「ドッペルゲンガーは、自分とそっくりの姿をした分身のことだ」
「こ、怖いんだよ……!」
スイカはぶるりと肩を震わせ、自分の体を抱きしめた。
「夏目を復活させるのは後回しだ」
誰もが同意見なのか千空の意見に同意している。だが話についていけていない、大樹とカセキは戸惑っている様子だ。
目の前にある石像が本物なのだとすれば、今まで自分たちと行動を共にしていた"夏目"は、一体何者なのか。
「夏目は悪いやつじゃないぞ!!!」
事情を知らない大樹だけが、力強く言い切る。
「知ってるわ ……そういうことじゃねぇよ」
千空は小さくため息をつき、ほんの一瞬だけ夏目の石像へ視線を落とした。
戸惑っているのは大樹だけではない。カセキもまた、状況が呑み込めず眉をひそめている。
「一体、どういうことなの?」
その問いに、スイカがはっ、と顔を上げた。
「!、そ、そういえばスイカは見たんだよ!! ……さっき夏目が木に向かって、一人でおしゃべりしてたとこ!!!」
「あ?」
その場の空気が、ぴたりと止まる。
「あ~! とりあえずこの話やめよ、やめよ!」
ゲンが無理やり話を打ち切るように声を上げる。
それ以上考えるのは危険だと、本能が告げていた。
誰もが胸に拭えない違和感を抱えたまま、止めていた作業へと戻っていく。
***
石化から復活した羽京が発したことは、にわかにも信じられないことだった。
「——はぁ?夏目が石化を予知してた!?!?」
クロムの大声量が洞窟内に響く。
「確かに僕に言ったんだ。……島の方から声が聞こえませんか?"危ない"、"逃げて"、"石にされちゃうよ"、って……」
「どういうことだ!?」
「羽京。テメーにも、聞こえてたのか?」
「いや。…僕には聞こえなかったんだ」
周囲には困惑が広がる。夏目を巡る謎は、深まるばかりだ。
「夏目の嘘なんじゃないの?」
「……いや、あれは嘘なんかじゃ、——————————————、誰?」
「おう?どうしたんだ?…羽京」
「どうしたんだよ?羽京」
「どうした羽京、顔色悪いぞ?」
心配そうに羽京を見つめるクロム、スイカ、龍水。
しかしその三人の視線は羽京へ向けられているだけで、先ほどの声には何の反応も示していない。
聞き覚えのない声だった。
だからこそ、羽京は思わず返事をしてしまった。
自分だけが聞こえていたのか、そう思いかけた瞬間、ふとソユーズも顔色が悪いことに気付く。
「い」
「あ…!」
その瞬間、羽京は悟った。反射的に羽京は両手で耳を塞ぐ。
「い、いやぁああああ!!!!」
「うるせぇな!?」
「ソユーズちゃんってジーマーで怖がりなのね…」
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