成り代わり夏目は石世界で生きる

  
またまた続いちゃいました。

夏目貴志女体化成り代わりしているので地雷の方は観覧注意です。
 
夏目友人帳とdcstのクロスオーバーです。

話をめちゃくちゃ端折ってます。
後半らへんネタっぽいです。
 
***
 



ここ最近船造りで、日々忙しい毎日だ。 
もやしっ子である夏目には肉体労働は厳しく、最近は杠の手伝いをし、糸や布を作り出す日々を過ごしていた。そんな夏目は、普段は石神村で暮らしている。あちこちを行き来することはあっても、その移動手段は決まっていた。

「行くぞ、夏目」
不満そうにぶつぶつ文句をこぼしながらも、夏目を背に乗せてくれるのはニャンコ先生だ。普段は仮の姿で猫になっているが、本来の姿は上級の妖怪で空を舞うことができる。





 
 
  
「千空!千空!」
「ああ」
「千空!遊んで!!」
「わあったわあった」

 
石神が子供に絡まれているのを見守っていれば、近くに見知らぬ男性がいる。新しく復活させた人物なのだろうか。
「夏目も行こうよー!!」
『え、あちょ、……!?』
背中を子供達に押され、石神と見知らぬ男性の元へ近付く。

『久しぶりだな。石神』 
「おー、夏目か」
「夏目…?」
『ああ。私の名前は夏目だ』
「俺は七海龍水だ!」
『よろしくな、七海』
「龍水でいい。………夏目、貴様の足元にいる生き物は何だ?」
 七海、——龍水は、ふと私の足元へ視線を落とせば、その瞳が鋭く細められる。先生を指差し、不思議そうに首を傾げている。
「ああ?コイツはタヌキだ」
問いに先に答えたのは石神だった。最近、石神はニャンコ先生への当たりが妙に強い気がする。先生が何かやらかしたのだろうか…?
「タヌキ……?いや、そんな生き物ではないな?…当たるぜ、船乗りのカンは?」
その一言に、思わず心臓が跳ねる 
『!』
まさか、先生が妖だと気づいたのだろうか。
背筋を冷たいものが走る。そのとき不意に背後から穏やかな声が聞こえた。
「やぁ、龍水」
「羽京か」
龍水の意識が一瞬そちらへ向いた隙を逃さず、私はニャンコ先生を抱き上げる。
「え、?」
「おい、夏目!?」
呼び止める声も聞かず、私はその場を離れるように駆け出した。先生の正体を勘づかれるわけにはいかない。
 
***


  
『あ、危なかった……!!』
「フン……龍水、といったか。なかなか勘の鋭い奴ではないか」
先生は尻尾をゆらりとゆらしながら鼻を鳴らす。私にはその横顔はどこか警戒しているようにみえた。

『どこかで時間潰すか…』
そう言って私達は人気のない川辺へ向かった。
心地よい風が吹く。葉っぱの揺れる音が聞こえる。

 
私は川の浅瀬に足を浸す。
『あぁ……冷たくて気持ちいい』
一方、先生はというと川へ飛び込めば魚を追い回し、あっという間に一匹くわえて岸へ戻ってきてむしゃむしゃと魚を食べている。
『先生、そんなに食べたら夜ごはんが食べられなくなるぞ?』
「何を言う、夏目。魚は別腹だ。夕飯は夕飯でちゃんと食うに決まっている」
『食べすぎても知らないからな』
私が呆れたようにため息をつくと、先生は満足そうにしながら、口いっぱいに魚を頬張り続けている。 





 


***

 
「夏目。起きて、夕食の時間だよ」
『!』
いつの間に木に寄りかかりながら眠っていたのか、起こしに来てくれたようだ。
『ありがとうございます。わざわざ起こしに来てくれたんですね、…羽京さん』
「大丈夫だよ。起こさなかったら、夕食を食べ損ねてしまうだろう?……それに、少し疲れているように見えたから」
『はい…!…いや、疲れてないですよ』
にこりと笑みを浮かべれば、羽京さんは、
「夏目、君は…………いや、何でもないよ」 
一瞬何か言いたげな表情をしていたが、柔らかな笑みを浮かべている。

「行こうか。夕食が冷めてしまう」
『……はい』
 
歩幅を合わせて隣を歩く羽京さん。君は——、の後に何を続けようとしていたのだろうか。








 




  
***
 

「このプロジェクトを始めた、1年前から全員覚悟してっと思うが——、今日を最後に俺らは完全に2チームに分かれる。石化の謎をとく"世界冒険チーム"と本土に残る"人類発展チーム"だ」
船を造りはじめて、あっという間に1年経ってしまった。
 
写真に写ることが苦手な私は、カメラが向けられそうになるたび、北東西南さんの姿を見つけては、そっと距離を置いていた。けれどその様子を南さんに見られていたのか、「また逃げる気?」と笑いながら、私を写真の輪へ引っ張り込もうと追いかけ回されていたのを、ふと思い出す。

 

  
「はっはー!船長の俺が独断で揃えた、乗船メンバーのリストだ。本来全員欲しいところなんだがな——」
「んなもんそれ沈んだ瞬間人類滅亡じゃねぇか!」
「たしかに」
「てか定員あるでしょ!」
「当然だが、人類未踏の危険すぎるミッションだ!二度と戻れないかもしれん、命の保証すらない、だから今から呼ばれても残りたいやつは残れ。それは貴様は自身が決めることだ……!!」

わたしは人類発展チームだろうなと思い、船に乗る人物を他人事の様に眺めていた。ニャンコ先生を抱いている腕に力が入る。
 
「まずは絶対に必要な、船のエンジニア——千空!クロム!カセキ!」 
 
「ってもう乗り込んでじゃねえかよ!?」
「もう少しこう……あるでしょ、出発の決意の感じとか!」
 
「わはははは!それが千空だ!」
石神は呼ばれる前から既に船に乗っていた。

「杠!」
「私エンジニアだっけ?」
「帆のな」
「夏目!」
『……は?』
「夏目も杠と同じで帆のエンジニアだ!」
その一言に、思わず全身が強張った。
どうする?どうしたらいいんだ…?
頭の中が真っ白になり、答えを見つけられずにいると、先生が私の腕の中からするりと抜け出し、そのまま船へ向かって歩いていく。
私が見つめていれば、先生がふと振り返り、視線が交わる

――夏目、何をしている。早くこっちに来い!
とでもいいたげな視線だ。
……わかったよ、先生。用心棒なんだから私のこと、ちゃんと守ってくれよな。
そうして私は船に乗った。

 
「レーダー&ソナー羽京」 
「コックフランソワ」
「そして実際の帆船の運行は究極の力仕事だ。パワーチーム」
「「「「おおおおおお!!」」」」
「名前呼ばれてから、呼ばれてから!」
名前が呼ばれるよりも先に船に乗る、パワーチームのみなさん。
 
「フン、残って村牛耳る手もあってがな。最後に一番の長になんのは、戦争で派手に手柄挙げた奴だろうがよ」
「あい〜存じております。マグマ様がそんなに小さな野望に収まらないのは」
マグマとマントルも選ばれていたんだな。
 
「ククク、こりゃ逆のが早ぇ、リストにあんのに乗ってねぇ奴ぁ、誰だ?——あ"ー、金狼」
「了解した」
「「「あー」」」
「さっすが1人だけ呼ばれてからってルールクソ真面目に守ってる」
「ルールはルールだ」

「そして、銀狼!!」
「いやだあああああ!!!絶対絶対行かないぞ!地球の裏なんてそんなアブナイの僕はああああ!!!!」
 
「……夏目! アイツは何なんだ!? うるさくてかなわん!」
『あ、こら、しゃべるなよ!先生!!』
銀狼の騒がしい声を聞き、文句を言う先生。
誰にも聞かれていないよな……?、と辺りを見渡していれば、驚いてこちらを見つめている羽京さんがいる。
「え、?夏目。今、そのネコ、!…………」
『あ、っははは!!羽京さん、どうかしました?』
「いや。……なんでもないよ」
慌てて笑ってごまかしたけれど、羽京さんはまだどこか引っかかっているみたいだった。私と先生を見比べながら、不思議そうに首を傾げている。


ふとコハクが、牢に入っている氷月さん達をどうするんだ?と相談している様だ。氷月さんは化学王国と対立していた司帝国の仲間だったが、そのリーダーである司さんを負傷させたのだ。その件で牢に入っている。現在司さんはコールドスリープしており、助けるには石化の謎を解きに行かねばならない。

最後に龍水にあさぎりさんが呼ばれ、船に乗り。出港し、岸を離れた。
後から銀狼も合流し、私たち世界冒険チームは今度こそ全員そろった。
 



***
 

  
道中、石神村の仲間だという無名の男性が紹介された。名前はソユーズ。どうやら無人島の出身らしく、まだ赤ん坊だった頃に島から浜辺へと流れ着いた人だという。

さっきまで穏やかだった天気は、気づけば一変していた。晴れていた空が嘘みたいに嵐に変わって、海もどんどん荒れていく。

この嵐を利用すれば、逆に気づかれずに近づけるかもしれない――そう判断して、私たちは嵐に紛れるように島へと向かった。そうして荒れた海をなんとか越え、無人島へと上陸した。



偵察隊で千空、コハク、あさぎりさん、ソユーズが出発する。四人が出発したあとにスイカが隠れていたりと大変だったが、それも落ち着き船の掃除をしていれば、ふと島の方から声が聞こえた。

 
〈危ない〉
〈逃げて〉
〈石にされちゃうよ〉
 
『……あの、羽京さん。島の方から声が聞こえませんか?"危ない"、"逃げて"、"石にされちゃうよ"、って』
「え…、?聞こえなかったけど、?」
『!、そ、そうですか、……勘違いだったみたいです。』


ぽてぽてと船内を歩き回るニャンコ先生のもとへ静かに歩み寄る。気づかれないようそっとしゃがみ込み、耳元へ顔を寄せ、小声で囁く
『ニャンコ先生、…!なんだか騒がしくないか……?』
「ああ、おそらくこの無人島にナニカあるのだろう」
『…』
一体、何があるんだ、この島には……?

「誰だ貴様は?」
『!?』
大声で叫ぶ龍水に反応すれば、島の崖付近から上空に何かを投げる人物がいる。
 

緑色の光が視界いっぱいに広がる。——ああ、また私石化するのか。
脳裏をよぎったのは、そんな諦めにも似た思いだった。
 
それでも次の瞬間には、ただ一つの考えが思い浮かぶ。——せめて、ニャンコ先生だけでも守らないと。

 
そのときの私は、ニャンコ先生が妖であり、石化光線を浴びても石化しないということをすっかり忘れていた。——ただ先生を守りたい、その一心だった。



  
背後にいるニャンコ先生を庇おうと振り向こうとしたその瞬間。

どん、と背中に丸い塊が勢いよくぶつかる。まるで勢いよく投げ込まれた球のような衝撃に身体が大きく揺らいで体勢を崩し、そのまま船から海へ投げ出される。冷たい海へ落ち、水しぶきが全身を包む。

私は緑の光を浴び、視界はゆっくりと暗くなっていった。



 




 

***
 
コハクの髪は丁寧にシャンプーとトリートメントが施されていた。泡とともに汚れが落ちていくと、彼女の髪は驚くほど滑らかになり、乾くにつれてさらさらとした艶を帯びていく。当の本人はそんなことを気にする様子もなく、自分で“化け物”のようなメイクを施していた。その時だった。
「……っ! 誰かいるぞ……!!」
コハクが鋭く声を上げ、瞬時に戦闘態勢をとり構える。
その場にいた全員が警戒する中、水の底から姿を現したのは、
 
「……お前達、こんなところにいたのか」
見覚えのある姿だった。
「っ! 夏目、テメーどうしてここに……!?」
「夏目ちゃん!? どうやってここまで来たの!?」
驚きの声が重なり、皆が一斉に夏目を見つめる。
一方で銀狼は首をかしげた。
「……(あれ? 夏目ちゃんって、石化して海に沈んでなかったっけ……?)」

 
夏目は後頭部をかきながら、いかにも面倒くさそうに答える。
「あー……泳いできた」

「え、え……? 何この美少女……!? 千空達の仲間なの!?」
アマリリスから驚きと困惑の声が響く。
「そうだよ!夏目も仲間なんだ」
安心したように微笑むソユーズ

「……それにしても、小娘。お前ずいぶんとひどい顔をしているな」
コハクの顔を見つめる夏目の口元が微かに引きつっている。

「小娘、だと…?」
思わぬ呼ばれ方に、コハクの眉がぴくりと動く。
「な、夏目ちゃん……!?」
ゲンは、青ざめた顔で慌てて声を上げた。







 
  

アマリリスに化粧を直してもらったコハクは、
「コハクが巫女様みたいになったんだよ!すっごいキレイなんだよ……!!」
「ルリちゃんの妹だもんね」
「似合っているな」
「ククク、いい腕してんじゃねぇか、アマリリス。テメー」 


「すごいね科学?のお化粧品!これ使えばもしかして……」
「潜入者候補は多い方がいい。でしょ?……一応試さないと」
「あ"??」
アマリリスが男性勢に化粧品を持ち迫っている、その様子を夏目はあくびをしながら他人事の様に見つめていた。
 


「無理すぎんだろ100億%!」
「黙ってれば、ギリ、イケんじゃないの。千空ちゃん」
「やっぱ声でバレるか~」
そこに立っているのは、女物の衣服に身を包んだ千空だった。顔には軽く化粧を施され、髪は低い位置で二つに結ばれている。

「んふ、ふ…!」
夏目は笑い声を必死に押さえている。
 

  
「声だけならなら誤魔化せるけどね~~~」
「!?ヤバ女子の声……」
「ゲンは華奢な方ではあるが、どうしても女子にしては長身に見えてしまうな」
千空と同じように女物の服を着たゲンは、いつもの雰囲気とはまるで違って見えた。ぱっと見だけなら確かに女性に見えなくもない。

「ほう。なかなか良いサマになっているではないか」
夏目は関心したようにゲンを観察している。




 
「ぜ、……全部無理でしょ」
「「「全部無理」」」
ソユーズの女装はあまりにも酷かった。
鍛え上げられた男らしい体は、繊細なドレスの布地を容赦なく浮かび上がらせ、その違和感は隠せていなかった。

「ハ!小柄でかつ、女声に近い男あるいは——」
「ぷっ、んふふ~っぐ、っあははっ!」 
我慢できなくなった夏目は、千空とソユーズを指差し大爆笑している。視線は夏目と銀狼へと視線が注がれる。
「え、えええ!?僕も女装するの!?!?」
「!?。な、夏目ちゃん大爆笑できたのね…!?」

「銀狼もそうだが。夏目……テメーも石化光線強奪ミッションに参加してもらう」


  
「断る」
きっぱりと言い切る夏目の態度に、先程から胸に引っかかっていた違和感がますます強くなる。千空は思わずゲンと顔を見合わせる。
「あ"?」
「なぜワタシがやらねばならない。お前達だけでやればよいだろう」
「……テメー、何者だ?——本物の夏目はどこにいる?」
「石神、——そんなにワタシの正体が知りたいか?」
「あ"あ"?」
「ま、まぁ!、落ち着いて!?夏目ちゃんも!」
「フン」
不機嫌そうにそっぽを向いた夏目に、誰かが何か言おうと口を開いた、そのときだった。

ぐぅぅ……。
静まり返った空気でお腹の音がはっきりと響いた

「腹が減った」
 
「なにこのワガママで自分勝手な夏目ちゃん…!?」

 


  




 
「んぐ、…よし、…協力してやってもいい」
アマリリスの持ってきた食べ物で腹を満たした夏目は、フンと鼻をならし、得意げに言い放った。
「どういう風の吹きまわしだ…?」
「ただし条件がある!」
「あ?」
夏目は胸を張ると、自信満々な顔で言った。
「わたあめが食べたい。しかも大きいやつだ!」
その場にいた全員が、思わずぽかんと口を開けた。
「は……?」

「だからわたあめで手を打ってやる、と言ってるんだ!」
「はぁ!?」
いや、聞こえてるわ!?
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