成り代わり夏目は石世界で生きる
※夏目友人帳の夏目貴志成り代わり女体化しています。
地雷の方は注意です。
名前変換無
****
千空の通う小学校に転入してきた「夏目」という少女は、いつも何かに怯え、誰もいない空間をひどく恐れていた
ある日の放課後。理科室の近くで、凄まじい大音響と共に窓ガラスが内側から爆発するように粉砕した。
駆けつけた教師たちが見たのは、割れたガラスの破片の中で、耳を塞いでしゃがみこむ夏目の姿。
『わ、私はやってない!』
「またお前か」「嘘をつくな」「お前が石でも投げたんだろう」
大人たちの容赦のない決めつけと冷たい視線が、小さな彼女に突き刺さる。本当は窓の外から大きな妖怪の手が這い出てきて、ガラスを叩き割ったのだ。でも、そんなこと誰も信じてくれない。
「おかしいだろ」
だが、石神千空。彼だけは私がやっていないと科学的に証明していた。大人達は子供の話なんて聞かなかった。
その後保護者代わりの親戚が呼び出され、夏目は頭を下げ続ける彼らの後ろで、ただ涙を堪えて袖を握りしめていた。
数か月後、夏目はまた別の親戚の家へと転校していった。
夏目にとって、理不尽に満ちた世界の中で、自分のために「おかしい」と言ってくれたあの少年の横顔は、理不尽を切り裂く光のように輝いて見えた。
時が流れ、高校生になった夏目は、藤原夫妻という温かい「家族」に出会っていた。自称用心棒の「ニャンコ先生」という大妖怪も加わり、時に妖に追いかけられ、時に彼らと心を交わしながら、穏やかな日々を送っていた。
そんなある日、俳優であり妖祓いでもある名取周一から、都心での妖祓いの手伝いを頼まれる。
「たまには都会へ旅行がてら、どうだい?」
塔子さんたちにお土産を頼まれ、少し浮かれた気分で東京へ向かった、その日だった。
前触れもなく、空が奇妙な緑色の光で満たされた。
「な、なんだこの光は……!」
周囲の人間が、次々と茶色い石へと変わっていく。名取が夏目を庇うように手を伸ばしたが、その指先から急速に石化が伝播していく。
「夏目、逃げ……!」
『名取さん――!?』
逃げる術などなかった。光が夏目の身体を包み込んだ瞬間、彼女の意識は深い闇へと沈んでいく。
ただ、その瞬間に彼女が強く抱きしめていた、祖母の遺品である「友人帳」。妖たちの名が記されたその紙の束もまた、主の身体と共に、分厚い石の膜に覆われて眠りについた。
人間がすべて石と化した世界。だが「妖」は人間ではない。その為、石化の光は何の影響も受けなかった。
「おい、夏目! 起きんか夏目! ……チッ、完全に石になってるな」
招き猫の姿をした大妖怪・斑こと、ニャンコ先生は、石化した夏目の前で顔をしかめた。どれだけ爪で引っ掻いても、妖力で揺さぶっても、頑丈な石の殻はびくともしない。
退屈したニャンコ先生は、世界を彷徨い始めた。人間がいなくなった地球。やがて、宇宙から帰還し、人類の最後の生き残りとなった6人の人間たちが、島で必死に生きているのを見つける。
ニャンコ先生は人間の前ではただの「妙な生き物」として振る舞い、時に魚を分け与えたり、猛獣を追い払ったりと、気まぐれに手助けをした。言葉は交わさなかった。ただ、一人の男――石神白夜だけは、その猫がただの獣ではないことを見抜いていた。
白夜が息を引き取る直前の夜。誰もいない川べりで、白夜はぽつりと言った。
「ありがとな、タヌキ。お前、誰かを探してるんじゃねえのか?」
「ワタシはタヌキではない!!ニャンコ先生だ!!!……フン。お前ら人間のように、脆くてすぐ死ぬ大馬鹿者だ」
初めて喋った猫に、白夜は驚くこともなく、ただ豪快に笑った。
「そうか! なら、俺の息子に会えるといいな。千空ってんだ。あいつなら、どんな不可能もひっくり返す。お前の探してる奴のこともきっと助けてくれるさ」
その後、ニャンコ先生は夏目の石化を解く方法を探し、何百年何千年も世界を巡った。
そしてついに、強力な封印の力を操る古の妖を発見する。
「これ以上の不老不死など、退屈なだけよ」
その妖は笑い、残された全妖力を振り絞って、眠り続けていた夏目の石殻に、解呪の呪言を流し込んだ。身代わりとなるように力を使い果たした妖は、夏目の石化がひび割れるのを見届け、光となって消滅した。
パリ、パリ、と石の殻が剥がれ落ちる。
『う……あ……』
冷たい土の上に崩れ落ちた夏目は、激しく咳き込んだ。
肌を刺すのは、現代の排気ガスの匂いではない。圧倒的な、大自然の、緑の匂いだ。
「夏目! 起きたか!」
『ニ、ニャンコ先生……? 私、一体……な、名取さんは!?』
「ワタシが夏目の元に戻って来た時には姿が見えなかった。恐らく名取の式達が安全な所へ運んだのだろう…」
『そ、そうか!よかった…!』
頭が割れるように痛む。周囲を見渡せば、ビルも道路もなく、鬱蒼とした原始の森が広がっている。混乱のまま、フラフラと覚束ない足取りで歩き出す夏目。
衣服はなく、素っ裸。そして咄嗟に手に握りしめていた、彼女と共に石化していた友人帳を固く握りしめる。
『と、とりあえずこの格好をどうにかしないとな…』
木に巻き付いていたツタを体に巻き付け、森の中を彷徨う。急激な空腹と脱水症状で視界がかすむ。
『だめだ……動けな……』
「!、夏目誰か来るぞっ!!」
倒れそうになった夏目の身体を、俊敏な動きで支える影があった。
「おい、大丈夫か! お前……どこの人間だ!?」
琥珀色の目をした、美しい少女に支えられる。
その後ろから、スイカの被り物をした小さな女の子もトコトコと駆け寄ってくる。
『あ、……私は、夏目……』
名乗るのが精一杯で、そのまま意識を失った。
***
『ん、んん…』
目が覚めた夏目は、辺りを見渡す
「お、目が覚めたか…」
声が聞こえた方れと視線を向ければ、夏目の心臓がドクン、と跳ね上がった。
昔、理不尽な大人たちの前で、たった一人「おかしいだろ」と言い放った彼が、成長した姿で私の目の前にいる。
原始的な格好をし、耳に指を突っ込んでいる。
『石、神…?』
掠れた声で呟かれた夏目に、千空の目がわずかに見開かれる。
「あ? 誰だテメー。何で俺の名字知ってんだ」
千空は夏目の顔を凝視する。
『そっか…覚えてないよね…』
石神からしてみればなにげない日常だったのかもしれない。でも夏目には色濃く思い出が残っていた。
「は?…………、テメーは小学生の頃の転校生か!」
『え…?忘れてなかったんだ』
「お、おい!千空、知り合いなのか!?」
助けてくれた女の子が千空に問いかける。
「ああ。確か夏目だったよな?」
『ああ。…私のこと助けてくれてありがとう。えと、貴方の名前は…?』
「ワタシはコハクだ。……お前、司に復活させられたのか?」
『いや……(妖が助けてくれたなんて言ってもなぁ…)』
というか、司って誰だ…???
「おい、ゲン。…コイツのこと知ってるか?」
『…(ゲンって人も誰????)』
「……こんにちは~!って、…ん?君どっかで…」
『えと、私司って人も貴方のことも知らないんですけど……』
「おい、本当か!?」
「………んー。って君、俺のこと知らないの!?」
『え?(この人なんか有名な人だったりするのかな…?)』
「俺はあさぎりゲン!これでも有名人だったんだけどなぁ」
『す、すみません。芸能人とかに疎くて…』
「夏目、俺らの――、」
「な、夏目!?!?君ってもしかして…!!」
私の名前を聞き、驚いた様子のあさぎりさん。
『えと、どうしました…?』
「な、名取ちゃんの知り合い!?!?」
『あさぎりさんって名取さんと知り合いなんですか!?』
「うん、そうだよ!?」
「あ?名取って誰だよ」
「え、千空ちゃんジーマーで知らないの!?あの名取周一だよ?有名な俳優じゃない!」
「あーあの古くさい男か。」
『っふっは』
石神の言葉に思わず吹き出してしまう。私の近くにいたニャンコ先生も笑いを堪えている。
地雷の方は注意です。
名前変換無
****
千空の通う小学校に転入してきた「夏目」という少女は、いつも何かに怯え、誰もいない空間をひどく恐れていた
ある日の放課後。理科室の近くで、凄まじい大音響と共に窓ガラスが内側から爆発するように粉砕した。
駆けつけた教師たちが見たのは、割れたガラスの破片の中で、耳を塞いでしゃがみこむ夏目の姿。
『わ、私はやってない!』
「またお前か」「嘘をつくな」「お前が石でも投げたんだろう」
大人たちの容赦のない決めつけと冷たい視線が、小さな彼女に突き刺さる。本当は窓の外から大きな妖怪の手が這い出てきて、ガラスを叩き割ったのだ。でも、そんなこと誰も信じてくれない。
「おかしいだろ」
だが、石神千空。彼だけは私がやっていないと科学的に証明していた。大人達は子供の話なんて聞かなかった。
その後保護者代わりの親戚が呼び出され、夏目は頭を下げ続ける彼らの後ろで、ただ涙を堪えて袖を握りしめていた。
数か月後、夏目はまた別の親戚の家へと転校していった。
夏目にとって、理不尽に満ちた世界の中で、自分のために「おかしい」と言ってくれたあの少年の横顔は、理不尽を切り裂く光のように輝いて見えた。
時が流れ、高校生になった夏目は、藤原夫妻という温かい「家族」に出会っていた。自称用心棒の「ニャンコ先生」という大妖怪も加わり、時に妖に追いかけられ、時に彼らと心を交わしながら、穏やかな日々を送っていた。
そんなある日、俳優であり妖祓いでもある名取周一から、都心での妖祓いの手伝いを頼まれる。
「たまには都会へ旅行がてら、どうだい?」
塔子さんたちにお土産を頼まれ、少し浮かれた気分で東京へ向かった、その日だった。
前触れもなく、空が奇妙な緑色の光で満たされた。
「な、なんだこの光は……!」
周囲の人間が、次々と茶色い石へと変わっていく。名取が夏目を庇うように手を伸ばしたが、その指先から急速に石化が伝播していく。
「夏目、逃げ……!」
『名取さん――!?』
逃げる術などなかった。光が夏目の身体を包み込んだ瞬間、彼女の意識は深い闇へと沈んでいく。
ただ、その瞬間に彼女が強く抱きしめていた、祖母の遺品である「友人帳」。妖たちの名が記されたその紙の束もまた、主の身体と共に、分厚い石の膜に覆われて眠りについた。
人間がすべて石と化した世界。だが「妖」は人間ではない。その為、石化の光は何の影響も受けなかった。
「おい、夏目! 起きんか夏目! ……チッ、完全に石になってるな」
招き猫の姿をした大妖怪・斑こと、ニャンコ先生は、石化した夏目の前で顔をしかめた。どれだけ爪で引っ掻いても、妖力で揺さぶっても、頑丈な石の殻はびくともしない。
退屈したニャンコ先生は、世界を彷徨い始めた。人間がいなくなった地球。やがて、宇宙から帰還し、人類の最後の生き残りとなった6人の人間たちが、島で必死に生きているのを見つける。
ニャンコ先生は人間の前ではただの「妙な生き物」として振る舞い、時に魚を分け与えたり、猛獣を追い払ったりと、気まぐれに手助けをした。言葉は交わさなかった。ただ、一人の男――石神白夜だけは、その猫がただの獣ではないことを見抜いていた。
白夜が息を引き取る直前の夜。誰もいない川べりで、白夜はぽつりと言った。
「ありがとな、タヌキ。お前、誰かを探してるんじゃねえのか?」
「ワタシはタヌキではない!!ニャンコ先生だ!!!……フン。お前ら人間のように、脆くてすぐ死ぬ大馬鹿者だ」
初めて喋った猫に、白夜は驚くこともなく、ただ豪快に笑った。
「そうか! なら、俺の息子に会えるといいな。千空ってんだ。あいつなら、どんな不可能もひっくり返す。お前の探してる奴のこともきっと助けてくれるさ」
その後、ニャンコ先生は夏目の石化を解く方法を探し、何百年何千年も世界を巡った。
そしてついに、強力な封印の力を操る古の妖を発見する。
「これ以上の不老不死など、退屈なだけよ」
その妖は笑い、残された全妖力を振り絞って、眠り続けていた夏目の石殻に、解呪の呪言を流し込んだ。身代わりとなるように力を使い果たした妖は、夏目の石化がひび割れるのを見届け、光となって消滅した。
パリ、パリ、と石の殻が剥がれ落ちる。
『う……あ……』
冷たい土の上に崩れ落ちた夏目は、激しく咳き込んだ。
肌を刺すのは、現代の排気ガスの匂いではない。圧倒的な、大自然の、緑の匂いだ。
「夏目! 起きたか!」
『ニ、ニャンコ先生……? 私、一体……な、名取さんは!?』
「ワタシが夏目の元に戻って来た時には姿が見えなかった。恐らく名取の式達が安全な所へ運んだのだろう…」
『そ、そうか!よかった…!』
頭が割れるように痛む。周囲を見渡せば、ビルも道路もなく、鬱蒼とした原始の森が広がっている。混乱のまま、フラフラと覚束ない足取りで歩き出す夏目。
衣服はなく、素っ裸。そして咄嗟に手に握りしめていた、彼女と共に石化していた友人帳を固く握りしめる。
『と、とりあえずこの格好をどうにかしないとな…』
木に巻き付いていたツタを体に巻き付け、森の中を彷徨う。急激な空腹と脱水症状で視界がかすむ。
『だめだ……動けな……』
「!、夏目誰か来るぞっ!!」
倒れそうになった夏目の身体を、俊敏な動きで支える影があった。
「おい、大丈夫か! お前……どこの人間だ!?」
琥珀色の目をした、美しい少女に支えられる。
その後ろから、スイカの被り物をした小さな女の子もトコトコと駆け寄ってくる。
『あ、……私は、夏目……』
名乗るのが精一杯で、そのまま意識を失った。
***
『ん、んん…』
目が覚めた夏目は、辺りを見渡す
「お、目が覚めたか…」
声が聞こえた方れと視線を向ければ、夏目の心臓がドクン、と跳ね上がった。
昔、理不尽な大人たちの前で、たった一人「おかしいだろ」と言い放った彼が、成長した姿で私の目の前にいる。
原始的な格好をし、耳に指を突っ込んでいる。
『石、神…?』
掠れた声で呟かれた夏目に、千空の目がわずかに見開かれる。
「あ? 誰だテメー。何で俺の名字知ってんだ」
千空は夏目の顔を凝視する。
『そっか…覚えてないよね…』
石神からしてみればなにげない日常だったのかもしれない。でも夏目には色濃く思い出が残っていた。
「は?…………、テメーは小学生の頃の転校生か!」
『え…?忘れてなかったんだ』
「お、おい!千空、知り合いなのか!?」
助けてくれた女の子が千空に問いかける。
「ああ。確か夏目だったよな?」
『ああ。…私のこと助けてくれてありがとう。えと、貴方の名前は…?』
「ワタシはコハクだ。……お前、司に復活させられたのか?」
『いや……(妖が助けてくれたなんて言ってもなぁ…)』
というか、司って誰だ…???
「おい、ゲン。…コイツのこと知ってるか?」
『…(ゲンって人も誰????)』
「……こんにちは~!って、…ん?君どっかで…」
『えと、私司って人も貴方のことも知らないんですけど……』
「おい、本当か!?」
「………んー。って君、俺のこと知らないの!?」
『え?(この人なんか有名な人だったりするのかな…?)』
「俺はあさぎりゲン!これでも有名人だったんだけどなぁ」
『す、すみません。芸能人とかに疎くて…』
「夏目、俺らの――、」
「な、夏目!?!?君ってもしかして…!!」
私の名前を聞き、驚いた様子のあさぎりさん。
『えと、どうしました…?』
「な、名取ちゃんの知り合い!?!?」
『あさぎりさんって名取さんと知り合いなんですか!?』
「うん、そうだよ!?」
「あ?名取って誰だよ」
「え、千空ちゃんジーマーで知らないの!?あの名取周一だよ?有名な俳優じゃない!」
「あーあの古くさい男か。」
『っふっは』
石神の言葉に思わず吹き出してしまう。私の近くにいたニャンコ先生も笑いを堪えている。
1/4ページ
