迷宮攻略よりも文明復興の方が難しい


『その、……さっきはありがとう』
「…ん?なんの事?」
『ふ、はは…何でもないよ』
「、!…………アリババちゃんって綺麗な顔立ちしてるよね」
やっぱりゲンは優しい。ふふふと笑みを浮かべていれば、ゲンから驚くような発言を聞き、驚愕してしまう。
『え、私が?……私は十人並だよ』
「それジーマーで言っちゃってんの!?」
『え、うん…?』
 いや、確かに人並みに容姿は整ってると思うよ!?だけどねマギ世界には恐ろしい位美形な人沢山いるからさぁ!?私はというか、アリババは普通なのよ。だってモテないアリババくんだし!?
 紅玉とかヤムライハさんとか見て美人っていうのは分かるけどさ!?!?
 あのさ、ドン引きしてるような表情浮かべるのやめてもらってもいいですかね???ゲンさんよぉ??
 
 


  
「おい、アリババ、テメーも来い」
『うん』
 ゲンと盛り上がっていれば、千空に呼ばれる


  
「———————、その司という男が千空殺人事件の犯人だ」
『………………え、千空って死んでるのか!?』
「ククク……死んでねえがな」
『あ、だよな…』
「相当やべぇぞ、そいつはよ!?科学発展させねぇとか何とか……そのためなら平気で千空ぶち殺してんだろ?」
「だから死んでねぇがな?」
「はっ!……つ、つまりその司って人は悪い人でゲンはその仲間ってこと?じゃあゲンは悪い人なんだよ!?」
『…(ゲンがそこまで悪い人には見えないけどなぁ)』
「あれ?でもゲンはマグマからみんなを助けてくれたんだよ?いい人なんだよ!?」
「フッ、いいやつでも悪いやつでもねぇよ」
「ひたすらに軽薄なコウモリ男だ」
「あさぎりゲンが良かろうが、悪かろうが科学王国の仲間にゲットするしかねぇんだよ——"司、千空はちゃんと死んでた"っていう偽情報を流させる。俺らの勝利条件はそれしかねぇ」

「おう!聞いたかよゲン!テメーも見ただろうが電気をあのやべぇ科学の灯をよ!!勝ち負けとか知ったことか!司VS千空どっちが有利とかくっそくらえだ!おもしれぇんだよ!断然化学王国はよ……!」

「いやぁ熱いねー青年の主張。でも残念俺はそういうのないのよ。クロムちゃん、世界一ペラッペラな男でね、自分の損得しかみてないのよ」

「ぐっ……」
怒っている様子のコハクさん。そうだ聞きたいことがあったのだ、質問してみよう。
  
『……というか、私ってなんでここにいるの?仲間って認められたワケじゃないよな?どうしてそんな話を私にしたんだ?』
「ああゲンもテメーを庇ってる様子じゃねえし、司帝国の仲間じゃ無さそうだからな、服装もこの時代じゃねぇ、何者なんだ?」
『え…と信じてくれるか分からないけど、多分別の世界からやって来ました』
「「「は?」」」
 『ほらー、やっぱりそういう反応する…。』
案の定というべきか、その場の全員がぽかんとした顔をしている。
「別の世界?」
 最初に口を開いたのはクロムだった。
『うん。私もなんでここに来たのか分からないんだけど……気付いたら森の中にいてさ』
「そんな話、信じられる訳が――!」
「まぁ待てよ」
 コハクか立ち上がり私に近寄ろうとする。あ、死んだなこれ。まぁ待てよ、と引き止めたのは千空だった。

 腕を組み、じっとこちらを見ている。
「テメーが嘘を吐いてる可能性は100億%ある」
『だよね』
「だが別に、石化だの何だのが起きた世界だ。異世界人がいても不思議じゃねぇ」
「いやそこは不思議だろ!?!?」
千空にツッコミをいれるクロム。
 しかし千空は気にした様子もない。
「重要なのは真偽じゃねぇ。証拠だ」
『証拠……』
「テメーしか知らねぇ知識はあるか?」
 その言葉にアリババは少し考え込む。マギ世界の知識。しかし科学王国の面々に説明できるようなものとなると難しい。
『魔法とか……?』
「ほー」
「おっ」
 千空とクロムが食い付いた。
『まぁそんな感じ』
「じゃあ見せてみろよ」
『え?』
「魔法」
『…………』
 沈黙。
 全員の視線が集まる。
 アリババは冷や汗を流した。
『いや、私は使えない』
「「「は?」」」
『私、剣士なんだよ』
「紛らわしい事言うんじゃねぇよ!」
 千空の総ツッコミが炸裂した
『それに戦いが終わって、魔法は消えてしまったんだ』
「証拠ゼロじゃねぇか」
『うぐっ』
千空の容赦ない一言が胸に突き刺さる。
 
「じゃあお前の世界の話を聞かせろよ!」
クロムが興味津々に身を乗り出した。
『私の世界?』
「ああ。こっちにねぇモンとかあるだろ?」
『うーん……』
 少し考える。マギ世界で当たり前だったもの。しかし、この世界には存在しないもの。

『迷宮(ダンジョン)とか?』
「ダンジョン?」

『巨大な遺跡みたいなもので、中を攻略すると力を手に入れられるんだ』
「すごいんだよ!」
「ゲームみてぇだな」
すごい!と瞳がキラキラしているスイカちゃんと呆れ顔の千空。
う、信じてないな…!!
『いや、本当にあるんだよ』
「その力ってのは?」
『魔法が使えるようになったり……かな。』
「ますます胡散臭ぇな」
千空が即座に切り捨てる。
『だよなぁ……』
 自分でもそう思う。
石化で数千年後の世界に飛ばされたと言われた時の方が、まだ信じられる気さえしてくる。

「だが面白ぇ」
『え?』
「テメーは嘘吐きにしちゃ設定が細かすぎる」
『それ褒めてんの??』
「さあな」
ニヤリと千空が笑った。
クロムが何か口を開こうとした瞬間、コハクが何か物音しないか?と私達に問いかける
『!、……外からだ』

 科学倉庫から出て、私達が音のした方へと近寄れば
「はっ!」
「!」
「おう大丈夫かよ?ゲン!」
「だめだ。どう見ても即死だ」
「大変なんだよ…!」
『ゲン……!!』
そこには血まみれになって、倒れているゲンがいた。
「いや待て……」
 刺さっている槍を外せば、血のり袋でガードされていた。
「あちこちに入ってるんだよ!」
「やべぇぜコイツ。万一に備えて死ぬほど仕込んでやがったのか」
「フッ、やるじゃねぇか、骨の髄までマジシャンだよ。てめぇはよ」
『………………良かった。』
 マゴイ操作とかできれば、怪我の状態とか把握できたんだけど、この世界にはマゴイなんて存在しないんだろうな。



 
 「仕込みのガードで防いだとはいえ、怪我は相当ひどいぞ」
「くっそ、絶対犯人捕まえんぞ」
「犯人捜しなどより重大な問題があるぞ」
「この重症ではいつ歩けるようになるかもわからん。だが、ゲンが司の元へ戻らなければ千空は殺される」
『…』


千空と一緒にゲンの看病を手伝っていれば、千空とゲンがコソコソと内緒話をしていた。


『……(ああきっと戻るんだろうな)』







いつの間に眠っていたのか、目を覚ませばゲンは消えていた。
 
「…………やべぇーゲンのやつが消えやがった」
「あ"ー戻ったんだろ、司んとこに」
「おうやべーぞ司に教えに戻ったんじゃねぇのか?千空がまだ生きてるって」
「そもそもゲンが科学に1mmも興味もたねぇ男なら最初から協力すらしねぇだろ。俺が電気作った時点でもう、ゲンのやつは決めてたんだどっちにつく。ただ——軽薄男なりにも軽薄なりのカッコのつけ方っつうのがあんだよ」
「……面倒だな、全く男は。いつの時代も」
『……(ゲンってば千空が電気作った時なんだか眩しいものでも見るような表情していた。きっとその時から決まってたんだろうな)』
「ハ!司帝国VS科学王国初戦あさぎりゲンゲット戦争は科学王国の勝利だな!」
「コーラ1本で結んだ世界一の薄っぺらの同盟だ。クククしゃあねぇ科学駆使して作っといてやるか!!」
 
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